第3話 祭りを待つ村
3話
第3話
鳥の声で目を覚ますと、窓の外はまだ薄い朝靄に包まれていた。ルシアンは寝台の上で大きく伸びをしてから、ゆっくりと身を起こす。昨夜、ガルディオが無事に戻ってきたことを思い出すと、それだけで胸の奥が少し軽くなるのを感じた。
階下に下りると、マーサはいつものように竈の前に立っていた。
「おはよう、ルシアン。今日はよく眠れたかい?」
「うん、ちゃんと眠れたよ」
昨夜の緊張がまだ少し胸に残ってはいたが、朝の匂いと光の中では、それも随分と柔らかく感じられた。パンとスープの朝食を済ませ、ルシアンは外へ出る。
村の通りはいつものように活気づいていたが、今日はどこか、いつもより賑やかな雰囲気が漂っていた。あちこちの家の前で、飾り布を吊るす準備をしている人々の姿が見える。
「あ、ルシアン、おはよう!」
声をかけてきたのはリゼだった。彼女は両手に色とりどりの布を抱えている。
「おはよう、リゼ。それ、何をしてるの?」
「知らないの? もうすぐ収穫祭だよ。今年は少し早めに準備始めるんだって」
「収穫祭……」
そういえば、毎年この時期になると、村では豊作を祝う小さな祭りが開かれる。子供の頃から何度も参加してきたが、こうして準備の様子を目にすると、不思議と胸が弾むのを感じた。
「今年は何か手伝うことある?」
「あるある! 広場の飾り付けとか、屋台の準備とか。あと、今年はダリオが力仕事担当なんだって。ガルディオさんも手伝ってくれるかもって、村長さんが言ってたよ」
「そうなんだ。じゃあ、僕も何か手伝えることがあれば」
「じゃあ、一緒に広場行こう。今、準備してる人達がいるから」
リゼに促され、二人で広場へと向かう。市場を抜けた先にある村の中心の広場では、既に何人かの村人たちが飾りつけの準備を進めていた。木の骨組みに色布を結びつけたり、灯籠を並べたり、屋台の位置を確認したりと、皆それぞれの仕事に取り組んでいる。
「おお、ルシアンか。手伝いに来てくれたか」
声をかけてきたのは、木材を運んでいた中年の男だった。村の大工を務める人物で、祭りの度に舞台や屋台を組み立てている。
「はい、何か手伝えることがあれば」
「じゃあ、これを運ぶの頼んでいいか。灯籠を吊るす柱だ」
差し出された木の柱を受け取り、指定された場所まで運ぶ。作業をしていると、周囲から色々な声が飛び交ってくる。
「今年は五大連盟から旗も届いたらしいぞ」
「へえ、豪華だな」
「隣の村からも、今年は多く人が来るって話だ」
そんな会話を聞きながら、ルシアンは黙々と作業を続けた。柱を立て、縄で固定し、灯籠を吊るす場所を確認する。単純な作業ではあったが、村全体が一つの目的に向かって動いている、その空気の中にいるだけで、なんとなく心が満たされていくのを感じた。
しばらく作業を続けていると、村長のオズワルドが広場に姿を見せた。
「おお、皆、精が出るね。今年もいい祭りになりそうだ」
「村長、旗が届いたって本当ですか?」
リゼが尋ねると、オズワルドは笑いながら頷いた。
「ああ。レグナリア国からの贈り物だそうだ。五大連盟の旗を掲げると、また一段と華やかになるだろうね」
その言葉に、村人たちの間からわずかな歓声が上がった。だが、オズワルドはふと、視線をルシアンの方へ向けた。
「ルシアン、少しいいかい」
「はい、なんでしょう」
村長は、周囲に他の人がいないことを確認するように、少しだけ声を落とした。
「昨夜のガルディオの報告のことだが……お前も聞いているだろう」
「はい。爪の跡が見つかったって」
「うむ。あれから、自警団の方でも再度、警戒を強めることになった。ただ、これは祭りの準備には関係のない話だ。今は、みんなで楽しい時間を作ることを優先していい」
オズワルドはそう言って、穏やかに微笑んだ。だが、その微笑みの奥に、僅かな懸念が隠されているように、ルシアンには感じられた。
「祭りの日には、五大連盟から巡回の騎士も一人、様子を見に来る予定になっている。心配することはないが、念のため頭に入れておいてくれ」
「分かりました」
村長はそう言い残し、また別の場所へと歩いていった。リゼがその背中を見送りながら、少し不思議そうな顔をする。
「なんの話だったの?」
「……祭りの日に、五大連盟の騎士が来るかもしれないって」
「へえ、ちょっと緊張するね。でも、いつもよりお祭りが賑やかになりそうで楽しみ」
リゼはそう言って、明るく笑った。ルシアンもその笑顔に釣られるように、小さく笑みを返す。まだ何も起きていない。この村は、今日もいつも通り、祭りの準備で賑わっている。それだけで、十分に安心できることだった。
昼近くになり、作業も一段落する頃、広場の隅で子供達が遊び回っているのが見えた。その中には、トビーの姿もあった。
「ルシアンお兄ちゃん!」
トビーが駆け寄ってきて、ルシアンの服の裾を引っ張る。
「お祭りの時、お兄ちゃんも屋台出すの?」
「僕は屋台はやらないと思うけど……何か手伝うことがあれば、参加するよ」
「じゃあ、一緒に飴細工の屋台見に行こう! 隣の村から来る人が、すごい細工作るんだって!」
「飴細工か、楽しみだね」
トビーの無邪気な笑顔に、周囲の大人たちも自然と目を細めていた。祭りが近付くにつれ、村全体が少しずつ浮き立つような空気に包まれていく。それは、ここ数日の間に積み重なった小さな不安を、ほんの少しだけ薄めてくれるような、優しい賑わいだった。
昼食の時間になると、リゼが自分の家に戻り、トビーも母親に呼ばれて駆けていった。ルシアンも一度家に戻り、マーサと共に簡単な昼食を取る。
「今日は広場で祭りの準備してたのかい」
「うん。もうすぐ収穫祭だから」
「そうだったね。今年もあっという間だ」
マーサはそう言って、懐かしそうに目を細めた。
「あんたが小さい頃、初めて祭りに連れて行った時のこと、覚えてるかい」
「ううん、全然」
「あんた、灯籠の光をずっと目で追いかけてね。飴を落としても気付かないくらい、夢中になってたよ」
その話に、ルシアンは少し照れたように笑った。記憶にはない幼い自分の姿が、マーサの言葉の中には確かに存在している。この村で過ごしてきた年月の積み重ねを、改めて感じる瞬間だった。
昼食を終え、再び外へ出ると、午後の日差しは先ほどよりも柔らかく村を照らしていた。広場ではまだ準備作業が続いており、活気ある声が絶え間なく聞こえてくる。ルシアンは再びその輪の中に加わり、祭りの日を待つ、この温かな時間の一部となっていった。
広場での作業がひと段落すると、大工の男が額の汗を拭いながら声をかけてきた。
「ルシアン、ちょっと休憩にしよう。この時間はさすがに堪えるな」
「そうですね。少し休みます」
木陰に腰を下ろすと、リゼが井戸から汲んできた冷たい水を分けてくれた。
「はい、これ飲んで」
「ありがとう」
水を飲みながら、広場を見渡す。飾りつけの骨組みはすでに大方が組み上がり、色布があちこちで風に揺れていた。灯籠の並ぶ位置には目印の紐が張られ、屋台を出す場所にも印がつけられている。数日前まではただの広場だった場所が、少しずつ祭りの気配を纏い始めていた。
「なんだか、こうしてると本当にお祭りが近いんだなって実感するね」
リゼがそう言って、嬉しそうに周囲を見回した。
「うん。毎年思うけど、この準備してる時間が一番好きかもしれない」
「分かる。祭り本番も楽しいけど、みんなで一緒に作ってる感じが、なんか特別だよね」
そんな話をしていると、少し離れた場所から、聞き覚えのある声が響いてきた。
「おう、ずいぶん賑やかにやってるじゃねぇか」
振り返ると、ガルディオが大きな木材を軽々と肩に担ぎながら歩いてくるところだった。昨夜の疲れなど微塵も感じさせない、いつも通りの様子だ。
「ガルディオ、体は大丈夫なの?」
「ん? ああ、平気だ平気。ちょっと森を歩き回っただけだからな。それより、祭りの準備なら俺にも仕事寄越せよ。力仕事ならいくらでも手伝うぞ」
「じゃあ、あそこの柱を立てるの手伝ってもらえますか」
大工の男が声をかけると、ガルディオは快く頷き、太い柱を軽々と担ぎ上げて所定の位置へと運んでいく。その逞しい背中を見ながら、ルシアンは昨夜の緊張が少しずつ和らいでいくのを感じた。
「そういえば、村長から聞いたけど、祭りの日には巡回の騎士が来るんだって?」
リゼが小声で尋ねてくる。ルシアンは頷きながら答えた。
「うん。念のため、様子を見に来るだけみたい」
「ふうん。まあ、いつもより厳重になるってことか」
「かえって安心かもね」
「そうだね」
二人がそんな話をしていると、ガルディオが柱を立て終えて戻ってきた。
「なんの話してるんだ?」
「巡回の騎士が来るって話」
「ああ、俺も聞いたぞ。まあ、五大連盟の連中が定期的に見回るのは、別に珍しいことじゃねぇ。むしろ、ちゃんと目を配ってくれてる証だ」
ガルディオはそう言って、腕を組みながら頷いた。その言葉には、いつもの豪快さの中に、確かな安心感が込められていた。
「それより、俺は今夜の夕飯が気になるんだよなぁ。ルシアン、マーサさんの飯、今日は何だ?」
「まだ聞いてないよ」
「じゃあ後で聞いといてくれよ。美味そうなら、俺も便乗しに行くから」
「ガルディオ、それずっと言ってるけど、実現したことないよね」
「今度こそ本当に行くからな!」
そんな軽口を叩き合いながら、三人はまた作業に戻った。午後の日差しは徐々に傾き始め、広場に伸びる影が少しずつ長くなっていく。
作業を続けるうちに、村の女性たちが屋台で使う布や飾りを持って集まってきた。中には、初めて見る鮮やかな刺繍の入った布地もあり、リゼが目を輝かせて駆け寄っていく。
「これ、すごく綺麗!」
「ああ、これは獣王国から仕入れたものだよ。今年は少し豪華にしてみようと思ってね」
布を持ってきた女性が誇らしげに笑った。この村には、様々な種族の文化が自然と溶け込んでいる。獣王国の織物、魔皇国の香辛料、時には海洋国からの珍しい貝殻の装飾品まで、祭りの準備を通して、その多様さが目に見える形で表れていた。
「そういえば、隣の魔族の商人が、今年は変わった提灯を持ってくるって言ってたな」
ガルディオがふと口にした話に、リゼが興味津々の様子で尋ねる。
「変わった提灯って?」
「なんでも、魔力で色が変わる仕掛けらしい。ゼルヴァニアの職人が作ったとかで、村長も楽しみにしてたぞ」
「わあ、見てみたい」
そんな会話をしながら、作業はゆっくりと進んでいった。夕方に差し掛かる頃には、広場の骨組みはほとんど完成し、あとは当日に灯籠へ火を入れ、屋台に商品を並べるだけという段階まで整っていた。
「よし、今日はここまでにするか」
大工の男がそう言って、額の汗を拭った。周囲の村人たちも、それぞれ道具を片付けながら、満足そうな表情を浮かべている。
「お疲れ様でした」
「ああ、ルシアンもリゼちゃんも、よく手伝ってくれたね」
村人の一人がそう言って、二人の頭を軽く撫でるようにねぎらった。
作業を終え、広場を後にする頃には、空はすでに橙色に染まり始めていた。夕暮れの光が、組み上がったばかりの骨組みや、風に揺れる色布を柔らかく照らし出している。
「なんだか、もう少しで祭りが始まるって思うと、わくわくするね」
リゼが空を見上げながらそう言った。
「うん。当日が楽しみだ」
「私、飴細工の屋台、絶対見に行くから」
「僕も一緒に見に行くよ」
そんな約束を交わしながら、二人は市場の方へと歩いていく。途中でガルディオとも別れ、それぞれの家路についた。
家に戻ると、マーサはちょうど夕飯の支度を終えたところだった。
「おかえり、ルシアン。今日も遅かったね」
「祭りの準備、結構大がかりだったんだ。柱立てたり、布を運んだり」
「そりゃ、いい汗をかいただろう」
食卓に着き、夕食を取りながら、ルシアンは今日一日の出来事をマーサに話した。獣王国の織物のこと、魔皇国の不思議な提灯のこと、ガルディオの元気な様子のこと。マーサはそれらを、いつものように静かに、けれど楽しそうに聞いていた。
「今年の祭りも、賑やかになりそうだね」
「うん。みんな楽しみにしてるみたい」
「あんたも、今年は少し違った気持ちで祭りを迎えるんじゃないかい」
その言葉に、ルシアンは少し首を傾げた。
「違った気持ち?」
「さあ、どうだろうね。ただ、なんとなくそう思っただけさ」
マーサはそう言って、意味深に笑った。ルシアンにはその真意がよく分からなかったが、深く問い詰めることはせず、そのまま食事を続けた。
窓の外では、夕暮れの空がゆっくりと藍色へと移り変わり始めていた。祭りの日が近づくにつれ、村全体が少しずつ活気づいていくのを感じながら、ルシアンはこの穏やかな時間が、もう少しだけ長く続くことを、静かに願っていた。
夕食を終え、後片付けを済ませると、マーサは布巾を手にしながら、ふと思い出したように口を開いた。
「そういえば、今夜は自警団が村の周りを重点的に見回るらしいよ。オルガさんが井戸端でそんな話をしていたね」
「昨日のことがあるから?」
「そうだろうね。祭りも近いし、念には念をってところさ」
窓の外はすでに夕闇が濃くなり始めていた。ルシアンは椅子から立ち上がり、少し外の空気を吸いたくなって戸口へと向かった。
「ちょっと外、見てくる」
「あまり遅くならないようにね」
「うん」
外へ出ると、藍色に染まった空にはすでにいくつかの星が瞬き始めていた。通りには夕食を終えた家々から漏れる灯りが並び、時折、子供たちのはしゃぐ声が遠くから聞こえてくる。祭りの準備が進んだ広場の方角からは、まだ作業を続けている者がいるのか、木材を打ち付けるような音がかすかに響いていた。
家の前をゆっくりと歩いていると、隣家の戸口からガルディオが姿を現した。手には水桶を持っている。
「おう、ルシアン。散歩か?」
「うん、ちょっとだけ」
「そうか。今日は疲れただろう、祭りの準備で」
「ガルディオも大変だったんじゃない? あんな重い柱運んでたし」
「これくらい、俺にとっちゃ準備運動みたいなもんだ」
ガルディオはそう言って、笑いながら井戸の方へ歩いていく。ルシアンも自然とその後をついて行った。
井戸の周りには、既に他の村人たちが数人集まっていて、明日の祭りの話や、収穫の出来について、和やかに言葉を交わしていた。
「今年は麦の出来がいいらしいな」
「ああ、天気に恵まれたおかげだよ」
「祭りの日、雨が降らなきゃいいけどな」
そんな他愛のない会話に耳を傾けながら、ルシアンは水を汲むガルディオの隣に立った。
「なあ、ルシアン」
ガルディオがふと、いつもより少し落ち着いた声で切り出した。
「昨日、森で見た爪の跡のことなんだが」
「うん」
「村長には報告したが、正直、俺自身もあれが何の跡なのか、はっきりとは分からねぇんだ。狼や熊にしちゃ大きすぎるし、かといって、俺が知ってる魔物とも違う感じがした」
ガルディオは水桶を持ち上げながら、静かに続けた。
「不安にさせたくねぇから、あまり大袈裟に話すつもりはねぇ。だが、お前には正直に言っておく。もしかしたら、この村の周りでも、少しずつ何かが変わり始めているのかもしれねぇ」
その言葉に、ルシアンは胸の奥が僅かに引き締まるのを感じた。旅人の噂話。狼族の集落での獣の声。見張り台からの遠吠え。そして、今のガルディオの言葉。それぞれは小さな欠片に過ぎないはずなのに、少しずつ、確かな輪郭を持ち始めているような気がした。
「怖い、か?」
ガルディオが不意に尋ねた。ルシアンは少し考えてから、正直に答えた。
「……分からない。怖いというより、なんだろう、そわそわする感じ」
「そわそわ、か。それは悪いことじゃねぇよ。何かに気付ける、ってことだからな」
ガルディオはそう言って、ルシアンの肩に軽く手を置いた。
「だが、今すぐどうこうって話じゃねぇ。祭りも近いんだ。今は、そっちを楽しみにしてればいい。何かあった時は、俺や自警団、村の大人達がちゃんと動く。お前はまだ、そこまで気負う必要はねぇんだよ」
その言葉には、いつもの豪快さの奥に、確かな優しさが込められていた。ルシアンは小さく頷き、少しだけ肩の力が抜けるのを感じた。
「ありがとう、ガルディオ」
「なんの礼だよ。当たり前のことを言っただけだ」
ガルディオはそう言って、豪快に笑い、水桶を抱えて家の方へ戻っていった。
井戸端に残った村人たちも、それぞれ夜の時間を過ごすために家路につき始めていた。ルシアンもしばらく夜空を見上げてから、自分の家へと足を向けた。
家に戻ると、マーサはすでに寝支度を整えつつあった。
「おかえり、思ったより早かったね」
「うん。ガルディオと少し話してた」
「そうかい」
寝る前、ルシアンは自室の窓辺に立ち、もう一度外の景色を眺めた。祭りの準備が進む広場の方角には、まだいくつかの灯りが揺れている。国境の森は、夜の闇の中に静かに沈んでいた。
昼間の賑わいと、夕方のガルディオとの会話。相反するような二つの空気が、今のこの村を形作っている。祭りへの期待と、少しずつ積み重なる小さな不安。それでも、この村での暮らしは、今日もまた、確かに温かく、優しいものだった。
「明日も、いい日になるといいな」
そう呟いて、ルシアンは寝台に横たわった。窓の外からは、虫の音と、遠くの見回りの足音がかすかに聞こえてくる。それは、この村がいつも通り、静かに、そして確かに守られている証だった。
目を閉じると、今日一日の光景が、次々と瞼の裏に浮かんでは消えていく。獣王国の織物、魔皇国の不思議な提灯の話、リゼの弾んだ声、トビーの無邪気な笑顔、そしてガルディオの静かな言葉。
祭りまでは、あと数日。
その日を迎えるまでの間に、この村を包む小さな違和感が、どのような形を成していくのか――それはまだ、誰にも分からないことだった。
ただ、確かなことがひとつだけあった。
たとえ何が起きようとも、この村には、互いを想い、支え合う人々がいる。血の繋がりだけではない、確かな絆で結ばれた人々が。
その温かさを胸に抱きながら、ルシアンはゆっくりと、深い眠りへと落ちていった。
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