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大岩山から絶望を配信する〜男は耐えろと抜かす世界を、低級霊のウイルスで完全チェックメイトしてやった〜  作者: ひややっこ万次郎
第7章:『確定シグナル(おしっこ)の誓約と、解剖学的ファクト(死体) 〜綺麗事(クリーン)のファイヤーウォールを内側から爆破する、剥き出しのバックヤードログ〜』
163/254

番外編22:『排泄誓約のスクリーニング・ブルー』〜おしっこ愛好以外は至って平凡な男が、靴底を濡らした湯気の起源をカミングアウトし、男女の生体インフラ論で完璧にハックされるまで〜3

【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の人物、地名、特定の結婚相談所、および動画・書籍・マッチングアプリ等とは一切関係ありません。作中の婚活事情や心理描写はエンターテインメントとしての痛烈な風刺・創作であり、特定の生き方や価値観、性別、信仰を誹謗中傷・否定する意図は一切ございません。あらかじめご了承の上、純粋なビター・ドラマとしてお楽しみください。

◇

そして、2人の関係をビジネス(搾取)から「究極の等価交換(信頼)」へと昇華させた、前代未聞の逆ハックが執行される。

ある夜のセッションの終わり際、高志は真面目な顔で、マリカにこう申し出た。

「あのさ、マリカ。女の子って、男のおしっこをまじまじと見る機会って、ないでしょ? 普通の客は自分だけ満足して帰るし……。もしよかったら、俺のも、見てみる?」

マリカの動きが、一瞬フリーズした。

風俗嬢として数千人のオスの欲望を処理してきた彼女のログ(経験)にも、そんな「双方向通信(ギブ&テイク)」を提案してきた客は一人もいなかった。

普通、客は金を払って一方的に搾取していく器物として自分を見ている。

だが、高志の目は、どこまでも誠実で、ピュアな「バグ」に満ちていた。

彼はマリカを性処理の道具として消費するのではなく、お互いの最も秘匿された裏ログをさらけ出し合う、対等な「一人の人間(実存)」としてハッキングしようとしていたのだ。

マリカの口元が、ふっと柔らかい弧を描いた。

「……ふーん。じゃあ、見せてもらおうかな。プロの査定(スコアリング)、厳しいよ?」

お風呂場の白いタイルの上で、今度は高志がおしっこをする。

マリカはそれを、本当に珍しいゲームの隠しイベントを観測するような、眩しい瞳で見つめていた。

「へえ……男の人って、こういう風に出るんだ。なんか、ちょっと新鮮かも」

その瞬間、2人の間に敷かれていた「金銭のプロトコル(風俗の壁)」は粉々に爆破された。

お互いのおしっこ(実存)を等価交換し、全肯定し合った2人だけの世界。

それは世間の薄っぺらい綺麗事で繋がった100万組のカップルよりも、遥かに強固に同期(シンクロ)した、アングラな純愛システムの稼働ログだった。

◇

だが、どれほど完璧に最適化された防衛シェルターを構築しようとも、現実(ストリート)のタイムラインは無慈悲に進む。

高志には、その当時、アプリで知り合って数ヶ月になる「表の彼女」がいた。彼女との関係は、相変わらず「まともな男」の仮面を被ったままの不毛な通信。

マリカとの間に駆動した「本物の信頼」を知ってしまった高志にとって、現実の彼女との普通のセックスは、もはやただのエラーノイズにしか感じられなくなっていた。


結局、おしっこの趣味をカミングアウトすることなど1ミリもできないまま、「なんとなく価値観が合わない」という、ストリートにありふれたありきたりな理由で、彼女との接続は切断(別れ)された。

高志は傷つきもしなかった。

自尊心サーバーは最初から、別の場所(マリカ)でホールドされていたからだ。


そして――おしっこが好きということ以外はどこまでも普通なノーマル男だった高志が、なぜこれほどまでに「体内分泌物」という確定システムに魂をジャックされるに至ったのか。

そのすべてのバグの発生因果、彼の幼少期のタイムラインに隠された「致命的なシステムバグ」の記憶が、次なるログで完全に解剖されることになる。

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