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大岩山から絶望を配信する〜男は耐えろと抜かす世界を、低級霊のウイルスで完全チェックメイトしてやった〜  作者: ひややっこ万次郎
第6章:『評価経済(ソドムの街)の終着駅 〜剥き出しの承認欲求(バグ)に自滅する、泥人形どもの黙示録〜』
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番外編19『因果のロスカット・パレード』最終章:大岩山の黙示録 〜魔王ひややっこの瞑想と、ストリートに蠢く有象無象への憐憫〜

【読者の皆様へ(免責事項)】この物語は完全なフィクションであり、実在の人物、地名、特定の結婚相談所、および動画・書籍・マッチングアプリ等とは一切関係ありません。作中の婚活事情や心理描写はエンターテインメントとしての痛烈な風刺・創作であり、特定の生き方や価値観、性別、信仰を誹謗中傷・否定する意図は一切ございません。あらかじめご了承の上、純粋なビター・ドラマとしてお楽しみください。

老人の冷酷なチェックメイトによって、槍(やり) 珍太(ちんた)の社会的インフラと外面パッケージが完全更地化されてから、数ヶ月が経過していた。

ストリートは何事もなかったかのように駆動を続け、今夜もマッチングアプリの海には、愛と承認のインフラを求める新たなカモ(女性資源)とハッカー(地雷男)たちがログインを繰り返している。

丑三つ時の真夜中2時。

京都・伏見、大岩山のてっぺんにひっそりと佇む、大岩神社。

奇妙な幾何学模様の鳥居が闇に浮かび上がるその境内で、冷徹なるトップハッカー・ひややっこは、静かに胡坐を組み、瞑想(システム・クレンジング)を行っていた。

彼の脳内プロセッサを、この数年間ストリートで観測してきた有象無象の「生体ログ」が、走馬灯のように高速スクロールしていく。

SNSの肯定の沼に脳を浸し、不機嫌の盾を構えて健気な男たちの魂を粉砕していったサツキ。

学生時代の怨念のインフラを駆動させ、女たちの人生資源と命を搾取し尽くした挙げ句、己の名前に貫かれて自滅した珍太。

そして、時間も、財産も、尊厳もロスカットされ、自ら構築した幻影の監獄の中でゆっくりと老化し、あるいはアスファルトへと墜落していった美咲、奈緒、莉子、沙織、怜奈、恵子たち、泥人形でしかなかったモブの群れ――。

彼ら、彼女らの叫びと怨念のデータが、真夜中の大岩山の静寂の中に反響し、ひややっこの精神システムに同期していく。

ひややっこは、ゆっくりと瞑想の瞼を開いた。

眼下に広がる京都の街明かり。

それは、何百万人もの人間が「寂しさ」という名のバグを抱えながら、互いの人生をハックし合っている狂気の戦場のインフラそのものだった。

「元々は、ただ愛したい、愛されたいと願う、あまりにも脆弱で素朴なプログラム(心)だったはずなのに――」

ひややっこの口から漏れたのは、冷徹なハッカーのそれではなく、天の神、あるいは奈落の悪魔が、人間の原罪を見下ろすかのような、底冷えするほどの深い「哀れみ(憐憫)」を孕んだため息だった。

彼は立ち上がり、夜の底に向けて、すべてのモンスターと犠牲者たちを総括する最後の言葉を、魔王のように放った。


「愛を叫ぶ者も、愛を貪る者も、みな等しく飢餓の監獄に囚われた囚人だ。己のスペックに溺れて他者を値踏みする女も、過去の傷に狂って他者を踏み台にする男も、本質は何も変わらない。互いの隙間をハックし合い、傷つけ合い、最後は自ら構築した欺瞞の檻の中でロスカットされていく。……ああ、哀れな泥人形どもよ。お前たちのその不器用で、傲慢で、しかしどうしようもなく必死な『業』のすべてを、このストリートの夜が優しく更地にしてやる。せいぜい次の夜明けまで、その安っぽい純愛の夢(バグ)の中で踊り狂うがいい」

彼の放った冷酷な祝福の言葉は、伏見の竹林を揺らす夜風に溶け、眠らないストリートのインフラへと吸い込まれていった。

善も悪も、光も闇も、すべてを等しく呑み込みながら、因果のパレードは終わらない。街明かりの液晶の向こう側で、今日もまた新たな魂が、自らのハンドルを握りしめて彷徨い続けている。

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