第5話:地下水脈の処刑、そして暗黒の新世界へ3
前回のあらすじ:『みんなでペアペア』の裏ログ一斉暴露により、誠実な男たちの絶望は最強の暴動へと反転。男性会員の一斉課金解除により、巨大プラットフォームは一晩で事実上の倒産へ追い込まれた。これで理不尽な搾取は終わったかと思われたが、市場の闇はさらに深い地下へと逃げ込んでいた――。
――だが。これで悲劇が終わるわけではなかった。
俺は、大岩山の山頂から、電波の死に絶えた京都の街を腕を組んで見下ろしながら、冷徹な目で呟いた。
「システム(ビジネス)が消えても、何も変わらん。
人間の中に『他人の誠意をナメ、嘘をつき、搾取する本能』がある限り、男と女の地獄は形を変えて続くだけや」
相談所という後ろ盾を失い、アプリという戦場を奪われた人類。
そして、それらがあればこそ成り立っていたセーフティネットすら、壊滅してしまった。
だが、男女が「出会い、結ばれる」という本能そのものを消し去ることはできない。
恋愛ビジネスが消滅した暗黒の新世界で、さらに
社会の後ろ盾すらなくなった男女が生き残るために、さらに原始的で、さらに残酷な方法で出会い始めていた。
それは、システムによる品定めではない。
ストリートにおける、「圧倒的な力(覇気)と、本物の誠実さ(鎧)という価値観の剥き出しの奪い合い」だ。
嘘のプロフで飾れなくなった女たちは、今や生身の身体で、街中で本当に強い「価値のある男」を必死で探し、縋り付こうと彷徨い始めている。
そして、中身のないモブ男たちは、アローズやシャネルという記号を失い、完全に市場から淘汰され、一匹狼のように孤立して消えていく。
組織が消えた後に訪れたのは、本物の強者だけが女を従え、弱者は一瞬で精神的に殺される、【恋愛の超・弱肉強食時代】の幕開けだったのだ。
(第6話へ続く)
ご一読ありがとうございます。地下に隠れた中小相談所や個人アドバイザーの悪行も残さず大暴露し、地上からすべての「婚活ビジネス」を消滅させたひややっこ。しかし、システムが消えても人間の醜い本能は消えません。次回、【第6話 真美という名の北極星 〜14歳の邂逅と、固定電話越しの死闘〜1】。物語の時間は、一気に30年の彼方――1990年代へと巻き戻る。いじめと孤独の暗闇にいた14歳の俺を、100%全肯定して救い上げてくれた唯一無二の女性、真美さん。俺の人間性のルーツである彼女との出会いが明かされる――!ぜひ次回も、魂の青信号を受け取ってください。




