プロローグ:耐えるだけの人生の終焉
主人公は、幼少期からのいじめや孤独に耐え、47歳になった今も過酷な深夜勤で社会を支えてきた男です。マッチングアプリや恋愛市場で理不尽なドタキャンや拒絶に遭い、世間から「男ならもっと耐えて頑張れ」と自己責任を押し付けられたことで、ついに彼の我慢は限界を迎えます。彼は世界を「完全損切り」することを決意し、地元・京都府京都市伏見区にある心霊スポット「大岩山」へと向かいます。そこで山に渦巻く低級霊たちの怨念と自身の絶望をシンクロさせ、デジタルウイルスとしてネットワークに解放し、自分を虐げてきた世界への冷酷な復讐劇を開始します
「男なんだから、それくらい耐えなさい」
「成果が出ないのは、あなたの努力が足りないからよ」
幼い頃から、耳にタコができるほど聞かされてきた言葉だ。
小学校、中学校での陰湿ないじめ。
地元での完全なる孤立無縁。
誰一人として味方のいない暗闇の中で、俺はただ「耐えろ」という世間の同調圧力に従い、歯を食いしばって生きてきた。47歳になった今もそうだ。
社会のインフラという名の深夜勤という、誰もが嫌がる時間帯に命を削って働き、社会の歯車として汗を水に変えてきた。「今の仕事に誇りを持て。自分の人生を全肯定しろ」
そう自分に言い聞かせ、なけなしの貯金を叩いて、四条河原町のユナイテッドアローズで3万円の最高に身体が映えるセットアップの鎧を調達し、ブルーシャネルの香水をまとった。
マッチングアプリの戦場へ殴り込み、店までバチッと決めて、何度も何度もドタキャンされる理不尽に耐え、
それでも「大人の余裕を持て」と自分を奮い立たせてきた。
だが、あの夜。1年間、閉店後の喫茶店で、何時間も本音で深い話を共有し、
彼女のために映画を観て、好きな漫画を必死に読んで勉強し、魂の底から寄り添い続けた女――ルナから届いた、たった一枚のLINEのスクリーンショットが、
俺の脳の防衛線を完全に消し飛ばした。
『ここのアカウントは、あくまでお店の案内と本の紹介のためのものです。バーの評判に変な誤解を招くようなメッセージは困ります。公私の線引きはきっちりしていただくよう、お願いいたします。』『変な誤解をされても困るし』
『プライベートなやり取りを続けるのは、お店の営業にも差し支えます。これ以上は私にとっても迷惑ですので、節度を持った対応をお願いします。』
きつい言い方ですらない。事務的な、ゴミを見るような冷徹な拒絶。
世界中の人間が俺をストーカー扱いし、
YouTubeの結婚相談所動画の女どもが「男の失点だ」「がっつくな」「もっと耐えて頑張れ」と画面の向こうから嘲笑っていた。
耐えて、耐えて、耐えて、成果もないのに、なお耐えて頑張れって、そんなもん人間、ダメージを食らいすぎて死ぬに決まっているだろう。
「……もう、やめやめ。全部やめや。こんな狂った世界、こっちから完全損切りや」
その瞬間、俺の胸の奥で、47年分の純愛と誠実さが、ドス黒い、圧倒的な「覇気」へと反転した。
世間が男にばかり理不尽なコストを要求し、女のワガママと嘘を全肯定するなら、俺はそのシステムそのものを、根底からハックして破滅させてやる。
俺はアローズのジャケットを羽織り、シャネルの香水を首筋に吹き付け、伏見の自宅を飛び出した。
向かうは、地元・伏見区の深き闇に眠る霊山――大岩山。世の中を、極上の混乱と絶望に落とし込んでやるための、俺の本当のリアル戦線が始まった。
初めまして、作者のひややっこ万次郎です。ご一読いただきありがとうございます!47年分の純愛と誠実さが圧倒的な「覇気」へと反転し、狂った世界のシステムそのものをハックして破滅させることを決意した主人公。次回、【第1話 大岩山をハッキング1】。アローズのジャケットを羽織り、シャネルの香水を首筋に吹き付けた男が向かうのは、地元・伏見の深き闇に眠る心霊スポット「大岩山」。世の中を極上の混乱と絶望に落とし込んでやるための、俺の本当のリアル戦線が始まります――!もし面白い、続きが気になると思ってくださったら、ぜひブックマークや評価での応援をよろしくお願いいたします!




