太陽の恵み
赤い高栄養溶液、超古代の人口植物を解析して応用したそれが
タンクからチューブを通りフードディスペンサーに注入される
その機械は各種の電磁波を様々な方向から照射して
形状、色、硬さ、味を形成する
「完成しました、冷めないうちにご賞味ください」
指向性音声が昼食の完成を知らせてくる
膳を取り卓に並べる
私はローストビーフ、グリーンリーフ、マッシュポテト、焼きトマト
デウーゾは麦、麦のかたまり一つ、ヌグル豆、一粒
「まだ、そんな食生活をしているのか」
思わずなじるような声が出る
「これでもご馳走さ
古代人の主食はヌグル豆、ハスク芋、トオウルンの実だ
ハスナ・グナでもエルフ・エイスでも明日巣州でもそうさ
麦はめったに食えないご馳走だった
私たちの食生活が豊かになったのはここ2百年ぐらい
肉食の普及に至ってはフードディスペンサーの普及以降になる
それより前だと、みょんの冬の前あたり、大戦争の前あたりには
いくらか食生活が良くなり始めていた
ジャガイモやきのこや大豆製品なんかが普及し始めていたのさ
これは明日巣州の話だが他も似たようなもんだ
まあ其の程度だったんだ
それで、その、なんだ、その・・・・・牛、そう牛だ
巨人よりも大きかったんだっけ」
話を引き取る
「体長は数倍、重さは数十倍はあったようだね」
「超古代人はそんな化け物を食っていたのか」
「当時は大層なご馳走だったようだ」
そう言ってローストビーフの一切れを口に運ぶ
「大変に美味だ
超古代人が食っていたのだから君が食べても問題ないだろう」
「超古代人なんか知るもんか、僕は古代人の気持ちが知りたいんだ」
いつもの会話がいつものように途切れる
食事を終えると仕事の支度に取り掛かる




