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「もう、ジャスティンで遊ばないでよ。…でも彼女達、このまま連れていくのは可哀想よ?ただでさえその…、ハル達に見られてるのに。」
僅かに頬を赤らめるクラウディア。
「そう?ん~…、じゃあアイテムボックスにでも収納していく?」
顎に手で触れ、暫く考えていたハルだっが、凄く良い事を思い付いた様に笑顔を見せる。
「…それは…。」
「さすがに…。」
「ダメでしょっ!」
困ったようなジミーに続けるジャスティンだったが、すぐにクラウディアの否定する叫びが響いた。
「だってさぁ…。見せちゃダメだって言うし、このまま一息にギルドに飛ぶ事なんて出来ないし?ほら、食べ物だって品質の状態静止が出来るんだから、生き物だって可能な筈だろ?」
言い訳がましくハルが告げる。
ちなみにアイテムボックス内に入れた料理は、そのままの状態を維持される。つまりは温かい物は温かいままで、という事。入れた時のままで、次に取り出すまで時が止まっているのだ。
「温度も質も変化しないんだから、大丈夫じゃね?」
「やった事ないんでしょ?それなのに適当に言わないでよっ?!」
再びニッコリ言い放ったハルに、クラウディアは本気で怒っていた。
「クラウディア、怖い。」
「まぁまぁ、少し落ち着きなさい。ハル、やるなら他の生き物で試してからにしてくれる?さすがにアイテムボックス内で窒息死されても困るし、連れ帰らないとならないっていう依頼条件にも、生きている事が望ましいのでしょ?」
唇を尖らせたハルに、今度はジミーが柔らかく打開案を提示した。
「そ、それなら良いわよ。」
ジミーの案にクラウディアが賛同する。
このまま女性達を見世物にするのも嫌だったし、そうかと言って物の様にアイテムボックスに格納するのも気が引けたのだ。
「…分かったよ。えっと…、あ、あれで良いか。…風翼。」
視線を向けた先でジャスティンが無言で頷いたのを確認すると、ハルは周囲を見回して手近な生物を探す。
そして空を行く一羽の鳥に目をつけると、周囲が確認する間もなくその場から飛び立ち、次に戻ってきた時には胸に抱える程の鷲を連れていた。
「…魔術師、本当に人間か?」
「本当に、恐ろしい子…。」
独り言を呟くジャスティンとジミー。クラウディアに至っては、あんぐりと口を開けて停止してしまっている。
そんな中でもハルは我関せずで、アイテムボックスに鷲を格納した。
「んじゃ、暫く待つ間に食事でもしようか。」
ハルが皆へ視線を向けた時、何故だか他の3人は無言で何度も頷いたのである。
やけに聞き分けの良いパーティーメンバーに僅かに首を傾げたハルだが、特にそれ以上気にする様子もなく、次から次へとアイテムボックスから休憩道具を取り出すのだった。




