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ハル・クロフォードの場合  作者: まひる
小鬼
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 ハルが解体魔法を掛けて回り、残ったアイテムをダンが(くわ)えて一ヶ所に集めていった。


 ちなみに、他のハンターが討伐したアイテムは解体不可能である。パーティーを組んでいれば別だが。


「…何でアンタがここにいるのよ。」


 茫然とハル達を見ていたジミーだったが、(ようや)く再起動したようだ。


「だから俺、言いましたよ?ダンが散歩中にこの建物に飛び込んだって。ヘイリー姉さんのにおいを覚えていて、もしかしたら気になったのかも知れませんけどね。」


 にっこりと笑顔を浮かべるハル。


 やっとの事で全ての解体が終了し、獲得したアイテムをアイテムボックスに収納する。


「ほら。ヘイリー姉さんも早く解体しないと、ロストしちゃいますよ?」


 ハルはあくまでも、ここに来た事は偶然を(よそお)うつもりだ。


 さすがにアンディから頼まれたとも言えず、下手に言い訳をするくらいならその話自体をなかった事にした方が都合良いのである。


「そう…。」


依頼(クエスト)ですよね?俺はここでの仕事は知らないんで、ヘイリー姉さんが報告しておいてくださいよ?」


 ()に落ちない様子のジミーにこれ以上考える余地を与えないよう、ハルは即時撤退の体制をとっていた。


 だが、それはダンの唸り声によって阻まれる。


「…どうした、ダン。」


  ジミーの声をよそに、ハルは周囲に警戒を向けた。


 既に異変を察したダンは、ジミーの背後…入口とは逆の方向を睨み付けている。


「何よ、その黒猫。」


「あちゃ~、マズいなぁ。」


 ジミーの問い掛けに、ハルは残念そうに顔を片手で覆った。


「だから、何よ。」


「あ~…、新手(あらて)の登場です。」


 苛立ったように再度問うジミーだったが、答える必要なしとばかりにハルは掌を上に広げて差し出す。


「はあ?…何でゴブリンだけじゃなくて、オークまで出てくるのよ。」


 不満げに背を振り返ったジミーは、目にした現実に愕然(がくぜん)と両手を下に落とした。


 オークは猪の頭を持つ亜人種であり、小柄なゴブリンと違って人間とほぼ同じ背丈をした野蛮な魔物である。


 しかも、再び子分のように複数のゴブリンを引き連れてきていた。


「ヘイリー姉さん、どうします?ここは俺の管轄じゃないんで、判断はお任せしますよ。」


 ハルはジミーに判断を(ゆだ)ねる。


 この場の依頼(クエスト)受諾者はジミーであり、ハルはあくまでも乱入した側に過ぎないからだ。


「そんな事言ったって…、このまま帰してはくれないでしょう?」


 溜め息混じりに答えるジミー。


 既に手元の(クォーラル)を確認している。逃げるが勝ちの場合も多々あるが、今回は依頼(クエスト)内容を完遂すらしていないのだ。


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