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ハル・クロフォードの場合  作者: まひる
小鬼
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「ヘイリー姉さん、お一人でもいけそうですか?俺、お邪魔なら帰りますけど。」


 ハルは笑顔のまま、ジミーに問い掛ける。


 あくまでパーティーを組む気はないのだ。そしてそれは、ジミーも同じである。


「アンタなんかとパーティーを組む気はないからね。だいたい、私は一度も手伝ってくれだなんて言った覚えはないよっ。」


 オークの登場に愕然(がくぜん)としていたジミーだったが、ハルの売り言葉に直(す)ぐ様(さま)反応した。


 ジミーにとって、ハルに弱味を見せるなどは死よりも忌(い)むべき事のようである。


「そうでしたねぇ?じゃあ、俺はここで見物させてもらいますよ。オークなんて闇に属する魔物、滅多に出会えませんからね。」


 ハルはジミーの様子を観察して、クククッと面白そうに笑いながら腕を組み、そのまま壁に背を預けた。


「ふんっ。オークの住む闇より、アンタの方がどんだけか黒いよ。そんな所にいたんじゃ、私が間違ってアンタに矢(クォーラル)を当てても文句は言えないからねっ。」


 苛立ちを見せてクロスボウを構えたジミー。


「ヘイリー姉さんが間違って人(おれ)に矢を当てるなんて、そんなヘマをする筈ないじゃないですか。」


 ハルはその怒りの矛先を笑顔で躱(かわ)す。


「…ふんっ。」


 そんなハルの言葉に何も言えず、とりあえずツンと顔を背(そむ)けたジミーだった。


 だが、今は目の前に魔物がいると言う緊張状態なのである。


「オ前、ダチ、…オデザマ、ガ、相手ダ。」


 オークが怒鳴るような、荒々しい未発達の言語で話し掛けてきた。


 その手には、丸太かと思える大きな木が握られている。


 オークの周囲にいたゴブリンが、キィキィと耳障りな歯軋(ぎし)り音をたてながら壁沿いに広がった。


「煩いんだよ。魔物風情が、この私に話し掛けるんじゃないよっ。」


 ジミーは構えたクロスボウで、オークの周囲のゴブリンを立て続けに3体射抜く。


 遠距離攻撃タイプのジミーにとって、ある程度の距離を置かれている現状はやり易(やす)いのだ。


「グガ…、人間ガ…オデ、ノ…手下…ヲ…ッ!」


 オークが両手を掲(かか)げて怒鳴る。


 ある程度の知能がある為か、仲間が攻撃を受けた事に怒りを表した。そしてガウガウと人語ではない言語でゴブリンに指示をする。


「へぇ~…。オークって顔はいまいちだけど、案外頭良いんだなぁ。」


 第三者的な立場で戦闘を見ているハルだが、オークを実際に目にしたのは初めてなのだ。


 世界には溢(あふ)れんばかりの魔物がいる為、名もない魔物は少なくない。人里に現れる魔物に、便宜上名前がつけられているに過ぎなかった。


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