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転生先ではゆっくりと生きたい  作者: ひつじ
旅立ち
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16



陽の光が顔にかかる。そのせいで目が覚めてしまった。幸いにも数時間ほど寝れたようで寝る前に感じていた気だるさも今は全くない。

時間としては何時だろうか。部屋に時計は置いていないからわからないが、廊下からはいい匂いが漂ってくるから夕食の時間が近いんだろう。お腹が鳴るのがわかり、お腹を押さえる。


チラッとベットで寝ているライドを見る。見た感じすぐに起きそうにはない。待つのもいいが先に食堂に行こう。もし俺が食べ終わるまでに起きてこなかったら軽食でも持ってくればいいんだし。


ライドの枕元に食堂に行くことを書いたメモを置いておく。これで起きた時にどこに行ったのか分かるだろう。

俺は極力音を出さないように部屋を出ていった。


「おっ、ソラ殿。今から夕食でごじゃるか?」

「リークさんこんばんは。えぇ。お腹が空いたので食べに行こうかと」

「ライド殿は一緒じゃないでごじゃるか?」

「ライドはまだ寝てます。余程疲れたみたいで」

「そうでごじゃるか。それなら拙者と一緒に食堂に行くでごじゃる」


そのままリークさんと2人で食堂に向かう。宿舎の食堂はレベルが高い。身体仕事だからか量も多く食べ盛りの俺にとってめちゃくちゃ嬉しいご飯だ。


「ソラ殿、今日は疲れたでごじゃるな」

「もしかしてリークさんも知ってました?」

「そりゃあの。護衛仲間で知らぬ者はおらぬよ」

「そうですか。エリス様達の所も同じよに暗殺者が?」

「2人のところは滅多に来ないでごじゃる」

「そうなんですね。ライドが珍しく疲れきっていたので何かあったのかと思ったんですが」

「あー…ライド殿は奥方たちにな…」


リークさんの話を纏めると、エリス様のお茶会で護衛をしている時に狼族の獣人は珍しいと注目の的になったわけだ。耳や牙を見られ、触られ、でも立場の上の人に反論もできず、気疲れしたんだろう。オロオロしているライドが目に浮かぶようだ。


これで暗殺者でも来ていたら最後の方は使い物にならなかったんだろうな。


「ネル殿の方はほ暗殺者も来ず、きちんと護衛出来ていたようなんじゃが…シオンがな。初日と同じでネル殿に向かっていってたようなんじゃ。それを相手にしながら護衛の仕事もきっちりと行なっていたようで疲れたらしいんじゃ。シオンがすまんな」

「いえ。大丈夫です」

「一応昨日と今日ロイ殿が注意しておったから明日からは大丈夫だと思うでごじゃる」


それなら安心だ。ネルは余程シオンさんのことが苦手みたいだな。今度気持ちが落ち着くものでもプレゼントしようか。ポプリなんていいかもしれない。


「おー。ソラ、リークさん」

「お、ライド殿起きたでごじゃるか。初めての仕事もお疲れでごじゃる」

「ありがとう。仕事自体はそんなに疲れなかったんだけどな」

「女の人にかこまれたんだってぇ~。良かったじゃん」

「良くねぇよ。獣人族にあの香水の匂いはダメだ」

「いい匂いだと思うんだけどな」

「いい匂いとは思うけど、俺の場合は原液を目の前に差し出されてるようなもんだからな」

「それはちょっとキツイかも」

「あたしもキツいにゃ」

「あ、シオンさん…とネル?」


会話に入ってきたシオンさんを見ると後ろにネルが立っていた。ちょっと意外だ。ネルはシオンさんの事を苦手だと思っていたから仕事以外では関わらないかと思ってたけど。


「シオンさんに無理やり連れてこられたんです」


俺の考えていたことが分かったのかネルは隣に座りながら説明してくれた。シオンさんは当然のようにネルの隣に座る。


「シオン。ロイ殿に怒られてなかったでごじゃるか?」

「ん?怒られたにゃ。ネルっちの嫌なことするなー!って」

「ならなぜ一緒に?」

「ちゃんと今回は聞いたにゃ。一緒に行くか、ネルっちの部屋でご飯を食べるかって。それなら一緒に行くって言ったのにゃ」

「ほぼ選択肢はありませんよね。それにあの方と2人きりは恐いですから」


シオンさんの話にネルが小声で付け足していく。まぁシオンさんには悪気はないんだよな。ただネルと仲良くなりたい一心なんだろうな。


「そ、そうでごじゃるか。まぁ2人ともご飯を取ってくるでごじゃる」

「そうするにゃ。ネルっち行こう」

「……わかりました」


シオンさんに連れられてフラフラと歩いていくネルを見送る。あれは半分諦めてるな。悪気がないシオンさんに強く言えないんだろう。というか強く言っても変な方向に捉えられそうだ。


「シオンが申し訳ないでごじゃる。よほどネル殿の事を気に入ったみたいでごじゃるな」

「見たいですね。まぁネルも諦めてるみたいなので、暫くはこのままにしておきます。ネルがどうしても無理となった時は手を出させてもらいますけど」

「それは構わないでごじゃる。でもシオンは強いでごじゃるよ?」

「俺も負けませんよ?」


ニヤリと笑うリークさんに俺も同じように返す。仕事ではクリスさんの強さは分からなかったが、ロイさん達がキメラに押されていたのをみると俺たちの方が強いのかもしれない。


「自信満々でごじゃるな。まぁいいでごじゃる。

ソラ殿達の次の仕事は3日後。その間は街に買い物に行ってもいいし、訓練所を使用しても構わないでごじゃる」

「訓練所なんてあるんですか?」

「そうでごじゃる。警備や護衛達が訓練する専用の場所でごじゃるよ。行きたいのなら案内するでじゃる」

「では明後日お願いします」

「分かったでごじゃる」


訓練所にいけば他の人の戦い方や練習が見れるって事だよな。クアールの街にいた頃はあまり他の冒険者の戦いなど見れなかったのでいい機会だ。

ライドは明日リークさんに刀を見せてもらう約束をしている。本当にライドは武具が好きだな。



閲覧ありがとうございます。

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