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転生先ではゆっくりと生きたい  作者: ひつじ
旅立ち
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14



「えー。コホン」

「あ、ごめんにゃ」


ロイさんの咳払いでネルから離れていくシオンさん。ネルはシオンさんが離れるとライドの背中に隠れる。そんなネルを見て「すっぽり隠れてる。可愛にゃー。抱きつきたいにゃー」と小さな声で呟いているのが聞こえたが、聞こえないふりをしておこう。


「3人には今日から護衛についてもらいます。昨日伝えた通りネルさんはシオンとアリス様を。ライドさんとリークはエリス様、ソラさんとクリスはアレク様をお願いします。交代は9の鐘がなる頃です。移動時は2人とも後ろに。部屋の中にいる時は基本は1人は外、もう1人は一緒に部屋の中にいてください。主人の命令がある時は離れても構いませんが傍に侍従がいることを確認してください。いいですか?」

「「「はい」」」

「ではお願いしますね」


それだけ言うとロイさんはすぐさま部屋の外に行ってしまった。やっぱり忙しい人なんだな。俺たちのせいで時間を割いてしまって申し訳ない。


この屋敷には至る所に時計が置いてある。高級と言われる時計がこんなにあるなんてさすがは公爵様だ。

チラッと時計を見ると9の鐘がなるまではまだ30分ほどありそうだ。それまでに詳しく聞いておかないと。


「クリスさん。質問いいですか?」

「なんです?」

「護衛がついて行けない場所などありますか?」

「基本は全てついて行きます。例外は風呂とトイレ。どちらも扉の前で待機することになるっす」

「わかりました。もし敵が現れた時は魔法や剣を使用してもいいんでしょうか」

「どちらも使用可能っす。仲間を傷つけないよう気をつけてほしいっす」

「はい」

「他にはないっすか?」

「大丈夫です」

「ではそれぞれ交代の場所に向かうっすよ~」


クリスのこの話し方はどこが気が抜けそうだ。

ほかの人たちに挨拶をしてクリスについて行く。今から向かうのはアレク様の執務室だそうだ。

アレク様は食事以外は執務室に篭って仕事をしていることが多いらしい。護衛も基本は扉の中と外で1人ずつ立っているとの事。


「アレク様は今までも狙われてたんですか?」

「立場上敵も少なくないっすからね。けれどここまで堂々と狙われるようになったのはここ最近っすね」

「何かあったんですか?」

「腐れ貴族の報復っすよ」


何か黒いワードが聞こえてきたんだけど。腐れ貴族って何。報復ってなんで。


「話すと長くなるんで簡単に説明すると、賄賂や密売、横領をしていた腐れ貴族達の権力を奪ったんすよ。腐れ貴族達は納得なんてするわけなくて、ツテを使って暗殺者たちをアレク様に差し向けてるんです。最近は2~3日に1人は暗殺に来るっすよ」

「そんな簡単なノリで話さないでください」


どんだけ狙われてるんだよアレク様。本当に1ヶ月で黒幕が分かるの?

しばらく歩いていると1つの扉の前に立っている人を見つける。同じ服を着ているから護衛の人だろう。


「もう交代の時間っすよー」

「了解。今夜も異常なしだぞ。ん?そっちの坊主は?」

「ロイさんお墨付きの期待の新人っすよ」

「ふーん。俺はハンクスって言うんだ。よろしくな」

「よろしくお願いします」


無精髭が似合う男の人だな。俺も髭を伸ばせば少し大人っぽく見えるのかな。けど悲しいことにまだ全然生えてこないんだよな。


ハンクスさんが扉を4回叩くと中からもう1人の人が出てくる。それと入れ替わるようにクリスさんが中に入っていく。


「あら、貴方は…」

「隊長秘蔵っ子のソラだってよ」

「そう。私はラミカよ。よろしくね」

「よろしくお願いします」


ラミカさんは赤い髪が特徴の女の人だ。ネルがそうだったように女の人はアリス様の護衛をすると思っていたから少し驚いた。それにしても護衛をしている女の人はなんでこうも背が高いんだろう。どこにいてもだいたい俺がチビだ。


「貴方今日が初めてなのよね?それなのにクリスが中に入るって……ご愁傷さま。まぁ24時間後には交代だからそれまでは頑張ってね」

「え、どういう…」

「じゃぁ私たち行くわね」

「じゃぁな坊主」

「えっ、ちょっと!!」


不吉な言葉を残してそそくさと帰っていく2人。理由が分からないがとりあえず仕事だ。

こんな広い廊下で外に1人で護衛をするなんて目が足りない。だからここは索敵を使う。この屋敷以外の人物が現れるとどの位置にいるか分かるようにしておく。同時に鑑定(名前と種族のみ)をすることで、外部の人間でも商人か暗殺者かが分かるようにしておく。


「まぁ狙われているとはいえ、そんなに沢山来ないだろ」




と思っていた時もありました!!

護衛の任務について5時間。すでに10人の暗殺者を捕まえた。どんだけくるの!?1時間に2人も来るなんておかしくない!?ダブルブッキングだよ!?


しかも暗殺者たちは律儀に執務室の正面から来るので自ずと俺が相手をしなくちゃいけなくなる。せめて窓の方から来てくれればクリスさんが相手をするのに…。


けれどこいつら暗殺者の割にはとても弱い。1番弱い風魔法でも捕まえることが出来るし、剣にしても10秒もあれば相手を倒すことが出来る。こんなのが公爵を狙った暗殺者たちなのか?



閲覧ありがとうございます。

誤字脱字ある場合教えて頂くと幸いです。 気に入ってくださいましたらブックマーク、評価お願いします。糧になります!!

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