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「それとネルさんなんですが、やはり見た目から冒険者としては見ることができません。それにハイエルフと分かると嫌な目にあうかもしれないので魔法で見た目を変えて頂けませんか?」
「わかりました。“トランスフォーム”」
ネルが魔法を詠唱すると金色の光に包まれる。光が収まるとそこに居たのは小さな女の子ではなく、ライドと同じくらいの女の人だった。
「一応人間の18歳ぐらいを想定して見た目を変えてみました。変ではないですか?」
「はい。十分に綺麗ですよ」
先程までのネルは金色の髪が腰まであり大きな目は幼さを感じさせていた。しかし今目の前にいる女性はネルをそのまま成長させたことがわかるような顔立ちだが、幼さなどなく綺麗な女性と変わっている。
こんな綺麗な人初めて見た。少しドキドキしてしまいネルの問いかけに返事ができない。ライドも同じみたいだ。キースさんだけは変わらず先程と同じように話している。
「えっと、ソラさん変ですか?」
「ゼ、ゼンゼンヘンジャナイヨ」
ネルに話しかけられると片言になってしまった。そんな俺を見てキースさんとライドは微笑ましそうな目で見ている。
こっちは前世から女の人と関わることがなかったんだよ。そりゃドキドキぐらいするよ。
「ありがとうございます」
ネルがフワリと笑う。花が咲いたような笑顔とはこういうことなんだろう。俺はネルから目が離せない。
「コホン。じゃあ今日はもう解散だな。俺も今回採掘した鉱石で武器作りたいし」
「う、うん。ネルはどこに泊まるか決めてる?」
「いえ。奴隷の時はいつもは馬小屋などで寝泊まりしてたので…」
「でしたらソラ君と同じ宿屋に泊まるといいですよ。ご飯も美味しいですし、オススメですよ。ソラ君案内お願いできますね?」
「う、うん…」
「じゃあなー。今日幾つか持って帰るけど、残りの鉱石は明日持ってきてくれ」
ギルドの前でカバンに鉱石を詰めたライドと別れる。ということはネルと2人きりだ。緊張しながらも俺の泊まっている宿屋へと向かう。ネルを見ると目を輝かせながら歩いている人々やお店、屋台などを見ている。
「以前はこんな風に街を見ながら歩くことが出来なかったので嬉しいです」
俺の視線に気づいたネルは恥ずかしそうに言う。そういえは以前見かけたネルは下を向いていたな。この街には珍しい奴隷はどこに居ても奇異な目で見られたのだろう。
「これからはたくさん時間があるんだから、飽きるほど見れるよ」
「はい。世界中の綺麗な景色を見ましょうね」
「え?ついてくるの?」
「は、はい。お邪魔ですか?」
「ううん。嬉しいよ」
チームはメリットがあるから作ったけれど着いてきてくれるとは思わなかった。それぞれやりたいことがあるだろうし、お願いするつもりもなかった。
だからネルの言葉は凄く嬉しかった。
「あ、あそこだよ」
俺の泊まっている宿屋が見える。もうそろそろ夕食どきで忙しくなるだろう。そうなるとマーサさんが捕まらなくなるので宿泊出来ない可能性がある。
「ただいま」
食事処はまだ開店前だったようでお客さんはいなかったが、マーサさんとサリアは開店準備をしていた。戻ってきた俺に気づきサリアが近づいてくる。
「おかえりなさいソラ。そっちの女の人は?」
「俺の仲間のネル。泊まるところがないから連れてきたんだ」
「ふーん。おかーさーん。お客さんー」
何ヶ月も泊まってると歳が近いと言うだけあってサリアとは仲良くなった。もともとサリアが人懐っこい性格のせいもある。サリアはジロジロとネルを見るとマーサさんを呼びに行った。どうしたんだろうか。
ネルもじっと見られて困惑していたようだ。
「はいはい。あらおかえり。そっちのお嬢さんがお客だね」
「はい。宿泊をお願いしたくて。とりあえずご飯付きで1週間お願いします」
「あいよ。綺麗な娘だね。だからかねぇ」
「どうしました?」
「いや、なんでもないよ。部屋はあんたの隣の部屋だからね。案内してあげな」
ネルからお金を受けるとマーサさんは口元に笑みを浮かべながらネルを見た。魔法がバレたのかと思ったけどそうでは無いみたいだ。
俺は自分の隣の部屋と言われたネルを部屋まで案内する。部屋の中は俺と同じ作りになっている。
「ありがとうございます。ソラさん」
「俺は案内しただけで何もしてないよ」
「でも…」
「もう少ししたらご飯だから後で呼びに来るね。それまで少し休んでると良いよ」
「……はい。わかりました」
ネルは1度頭を下げると部屋の中に入っていった。俺も自分の部屋に戻りベッドに腰掛ける。本当は今すぐ横になりたいが、汚れたままベッドに倒れ込むのは躊躇われる。
面倒だがマジックバスを唱えて身体と服を綺麗にする。
「よし。これでおっけー」
大きな音を立てながらベッドに倒れ込む。やはり地面で寝るよりベッドの方が疲れが取れる気がする。
今度身体の疲れが取れる魔法でも作るか。それかどこでも使える簡易ベッドを作るか…。どっちでもいいな。旅に使えるならネルの分も作らないと……
「~~♪~~♪」
誰かが歌っている声が聞こえる。澄んでいる声だ。とても心地よい。できるのならこのまま聞いておきたい気がする。それになんかいい匂いがする。お腹が空いてきたぞ…
ん?まてよ。確かここは俺の部屋のはず。なんで女の人の声がするんだ
慌てて目を開けて身体を起こすと目の前にネルがいた。
「あ、ソラさんおはようございます」
「お、はよ…なんでここに?」
「食事の時間を過ぎても来られなかったので呼びに来たら寝てるのを見つけまして。一応夕食を作ってもらい部屋に運びに来たんです」
「そうなんだ。ありがとう」
どうやらあのまま寝てしまっていたようだ。さすがベッド。あのふわふわには抗えなかったようだ。机の上には持ってきてくれた夕食が置いてあった。
「ネルは食べた?」
「私は先程頂きました」
「そっか。頂きます」
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