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俺とライドはソファに座っているが、ネルはキースさんが出ていったあとも立ったままだ。キツくないんだろうか。
「あの……」
静かな空間の中でネルの声が響く。俺とライドがネルの方を見ると、何か考えているように見えた。
「不躾なお願いだとは分かっています。私をおふたりのチームに入れて貰えませんか」
「え?」
「やっぱり元奴隷の私では嫌ですか?それともこの幼い見た目ですか?見た目なら魔法で変えることが出来ます。体力も魔力も人よりもたくさんあるしおふたりの邪魔にはならないと思います。それにアイテムボックスを持っているので荷物持ちも出来ます。なんなら最低限の生活さえ出来るならお金もほとんどいりません。だからお願いします。おふたりの」
「ストップストップ!!」
暴走しているネルの口を慌てて塞ぐ。あのままではまともに話が出来ないと思ったからだ。口を塞がれたネルは自分が暴走したことに気づき顔を赤くしながら俺から離れていった。
「すみません。熱がはいりすぎました」
「いやいいよ。ちょっとビックリしたけど。それよりさっきの事は…」
「本気です。私をおふたりのチームに入れてください」
「チームって言われても…」
「ダメですか?」
「そもそも俺たちチームなんてつくってないからな」
「え?」
チームってあれだろ?白銀の獅子みたいに名前を付けて数人で依頼を受けるってことだろ?俺たちは2人で依頼を受けることもあるけど、それぞれ個人で依頼を受けることもある。チームと言われるとなんか違う気がするんだけどな。
「でも、ネルさえ良ければ一緒に依頼を受けようよ。ね?ライドも良いだろ?」
「あぁ。ネルも強いしな。3人になるともっと楽に依頼を達成出来るかもしれないしな」
「いいんですか?私は元奴隷ですよ」
「関係ないよ。俺は気にしてないし」
「見た目がこんなに小さいんですよ」
「それはちょっと困るけど…魔法で変えれるんだったら変えて欲しいかな」
「ふふっ…わかりました。これからよろしくお願いします」
目に涙を浮かべながらネルが深々と頭を下げる。俺達もつられて頭を下げる。
そうしていると扉をノックする音が聞こえキースさんが入ってくる。纏めた報告書を俺たちに確認して欲しいとの事だった。
俺たちは報告書を読みながらネルと一緒に依頼を受けることを伝えた。
「それならチームを作るといいよ」
「チームってみんなで依頼を受けなきゃいけないんじゃないですか?」
「そんなことないよ。個々で依頼を受けても良いし、チームで受けてもいいんだ。今のソラ君たちと変わらないけどチームを作るメリットもあるよ。今勢いがあるソラくん達を勧誘したいチームが沢山あるんだ。それを断れる」
「そんなのあるんですか?」
俺たちを勧誘したいチームがあるなんて初耳なんだけど。最近ギルドにいくと色んな人に見られていると思っていたけど原因はこれか?
「なんてったってたった2ヶ月でギルドランクを上げているし、もうすぐDランクだ。皆自分のチームに入れたいけど互いに牽制し合ってるから動けないみたいなんだ」
「知らなかった…」
「ソラくん達もだけどネルさんもだ。ハイエルフだと分かればどのチームも欲しいとなるだろうね。中にはどんな手を使ってでも君たちを自分たちのチームに入れようと躍起になる輩もいるかもしれない。そんな君たちがチームを作るとなると誰も君たちを勧誘出来なくなる。
あとこれは絶対ではないけど、チーム同士お互いの場所が分かるような魔道具がある。チームにその魔道具を渡しているんだけど、もしハイエルフのネルさんが攫われても見つけることが出来るんだ」
そんな魔道具があるんだな。それは便利な気がする。互いの場所が分かると連携をとるのにも便利そうだ。
別にチームを作ることに抵抗はないし、作ることにするか。
「俺はチームを作ってもいいと思うけど、2人はどう?」
「俺もいいぞ。今までもチームのようなものだったしな」
「私はおふたりの意見に従います」
「じゃあチームを作ります」
「では書類を持ってくるのでまたこちらでお待ちください」
キースさんは俺たちが確認した書類を持って部屋から出ていく。チームになるってことはリーダーとかチームの名前を考えないといけないよな。どうしよ。リーダーはやっぱり1番年上のネルかな。でも絶対に嫌がるよな。それならライドに任せようかな。
ライドにリーダーを任せることを伝えたが
「俺の専門は冒険者じゃなくて鍛治職人なんだ。そんなめんどくさいのはお前らに任せる」
と言われてしまった。ネルに関しても
「私も辞退します」
と拒否されてしまったので、俺がすることになった。俺が1番年下なんだけどいいんだろうか。
「お待たせしました。この紙にチームの名前と所属する人の名前を書いてください」
キースさんに渡された紙に自分たちの名前を書いていく。チームの名前は考えてなかった。何にしよう。
「名前に悩んでるんですね。そうですね。ソラ君が冒険者になった理由は?」
「俺?俺はこの世界を見るためだよ。綺麗な世界を実際にこの目で見たくて」
「それなら【風光の空】なんてどうですか?風光とは自然の美しい眺めのことを表す言葉なんです」
「自分の名前が入るのはちょっと…」
「俺はいいと思うけどな」
「うーん。そのまま【風光】にします。俺の目標にも合ってるし。2人はこれでいい?」
俺の問いかけに2人とも頷く。俺はチーム名を紙に書くとキースさんに渡す。
「はい。では3人ともギルド証を一時預かっても構いませんか?」
3人がギルド証をキースさんに渡すとキースさんはまた部屋から出ていった。数分後に戻ってくるとギルド証の裏にチームの名前が書いてある。
「ギルド証の表面には名前と現在のランク、裏にはチームの名前を刻むようになっています。これで3人はチームになった事の証明になります。無くさないでくださいね」
俺は新しく刻まれた文字を見る。冒険者になった時と同じようにワクワクする。2人を見ると目を輝かせているから俺と同じ気持ちなんだろう。むしろそうだったら嬉しい。
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