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「ねぇライド。ドーラ神の加護ってライドがギルドを追い出された事に関係してる?」
「なんでそれを…」
なるよねー。そりゃ、なるよねー。うんうん。わかる。でも気になっちゃったんだもん。好奇心旺盛な12歳なんだもん。
まぁでも鑑定のことライドになら言っても良いかもしれないと思ってたし。今後俺専属の鍛治職人になってもらうなら魔法の全属性持ちの事とかも言わなきゃならないだろうし。今回はその練習みたいなものだと考えよう。
「俺鑑定持ちなんだ。さっきチラッとライドの事見ちゃって。勝手にゴメン」
「ソラは鑑定持ちか。鑑定持ちは珍しいがまったくいないわけじゃないからな。だからあのガラクタから俺の作ったものだけを選べたのか。納得だ」
他にも色々と隠しているけど今は言えないんです。ごめんライド。いつか言うと思うから。
「そうだな。鍛治職人にとってドーラ神の加護って喉から手が出るぐらいに欲しいものなんだ。今の鍛冶ギルドでも10人ぐらいしか持っていない。そんな貴重なものをまだひよっこの俺が持っているのを気に食わないやつがいてさ。
それがギルド長の息子のように若い奴らだったんだ。お世話になってた鍛冶場への嫌がらせも合って俺はつい手を出してしまった。手を出したことに関しては後悔はしてないけど、親父さんには迷惑かけちまったなって」
「そんなことが…」
「っと。こんな湿っぽい話をするために呼んだんじゃなかった。専属の鍛治職人について話をするぞ。
まず専属の鍛治職人についてはそのままでソラの武具だけを作る鍛治職人だ。防具なんかは身体が大きくなるにつれて買い換えないといけないし、武器だって刃こぼれしてくるだろう?それをメンテナンスしたり、新しい防具を作ったりするのが専属の鍛治職人だ。
専属だけあって、その人のクセにあわせて作ることが出来る」
俺のクセに合わせてもらえるなんてとってもいい事じゃないか。それならみんな専属の鍛治職人を持ってそうだけど…
「ただし専属にするには金が必要なんだ。費用としては最初にギルドに金貨50枚、個人に金貨20枚。その後は毎年ギルドに金貨10枚ずつ、個人には報酬としてその都度お金を渡さなきゃならない」
「結構お金がかかるんだね」
「だろう?だからあんまり鍛治職人と契約してるやつは少ないんだ。けれど俺はギルドから追放されてからギルドにお金を払う必要はない。それに俺自身金貨20枚も要らない。まぁ最低限生活出来る金は欲しいけどな」
お金なら母さんたちがくれた金貨100枚が手元にある。けれどこれは俺の事を思ってくれた金だ。これを簡単に渡してしまってもいいのだろうか。
ライドの作る武器は欲しいし、これかも作ってもらうために専属の鍛治職人になってもらいたい。けれど一番の問題はお金だ。まだ駆け出しの冒険者である俺は2人分の生活費なんて簡単には稼げない気がする。
「いっそライドも冒険者になればいいのに…。そうだ!!ライドも冒険者になろうよ!!」
「はぁ?」
俺の唐突な申し出にライドは訳の分からないといった顔をする。まぁ当たり前だと思うけど。
けれどライドはゴブリン数十匹を相手にすることもできるし、強い。それに自分で魔物素材を採取できれば費用もだいぶ抑えられる。
もし怪我をした場合でも俺なら治すことが出来る。
俺は今考えていたことをライドに伝える。聞いているうちにライドも納得してくれたようだ。
「それに冒険者ランクが上がって竜とか倒した時は竜の素材で武具作り放題だよ?買うならすごーく高いんだろうけど、自分で倒したなら無料だよ?」
「ソラの言いたいことはわかった。でも鍛治職人である俺が戦えるか?この間だってゴブリン相手にギリギリだったんだぞ?
それに鍛冶ギルドとはいえギルドを追い出されたやつがまたギルドに入れるのか?」
「ギルドの事はわからないから後でキースさんに聞いてみよう。それに強さは問題ない。俺が保証する」
まぁ年下の男に保証されてもって思うだろうけど。
ライドは色々と考えているのか喋らなくなった。俺は出来るだけライドの気持ちを尊重したいと思い口を出さずに時間が過ぎるのを待っていた。
「わかった。冒険者になろう」
数分後にライドが口を開く。想像していた言葉だったが断られる可能性だってあったから安堵した。
「良かった。じゃあ今すぐ冒険者ギルドに行く?」
「そうだな。ここで時間を潰すのも勿体ないし」
俺はライドと冒険者ギルドに向かう。受付はやはりキースさんに頼んだ。
まずは鍛冶ギルドに追い出されていてもギルドに入れるのか訪ねる。
「問題ないよ。それにあまり知られてはいないけどギルドの掛け持ちだってして大丈夫なんだ。鍛冶ギルドや商人ギルドの中にも冒険者ギルドに入っている人もいるからね」
そうなんだな。ギルドに関してはやっぱり知らないことだらけだ。
問題なく入れるとの事だったのでライドも冒険者登録をしてもらう。説明を受けている間暇だったので依頼書を眺めている。
「上のランクはやっぱり魔物討伐系が多いな。それに金額も大きい。この依頼書なんて成功すれば金貨30枚。あの宿に3ヶ月は泊まれるぞ」
「なんだボウズ。この依頼を受けたいのか?」
突然後ろから声をかけられる。依頼書を読むのに集中しすぎて人が来ていることに気が付かなかった。
俺は横にズレて今いた場所を譲る。声をかけてきた人物を見るとスキンヘッドの筋骨隆々の男だった。男は5人程の仲間と一緒におり中には女性がいる。
「だよなぁ。こーんなヒョロっちいガキがCランクの依頼なんか受けたら直ぐに死ぬだろうな」
「まぁキースの受付に行くぐらい変わったガキだ。死ぬのも怖くないかもしれねぇな」
「ギャハハハハハ」
不快な笑い声が耳につく。どこの世界にもこういう奴はいるんだよな。いままで会ってきた人たちが優しい人ばかりだから忘れてた。
こういう奴らは反論しても付け上がるだけだ。それなら下手に出ている方が良い。
「冒険者になったばかりなのでどんな依頼があるのか眺めていただけです。俺みたいな子供はまだ薬草採取や害虫駆除しか出来ませんからね。貴方達みたいに強そうな人でしたらCランクの依頼すぐに達成出来るんでしょうが」
「あぁ。なんてったって俺たち白銀の獅子は精鋭揃いだからな。ここにある依頼なんて難しくもない」
俺の言葉に気分を良くした男は俺の見ていた依頼書を奪うとそのまま受付に行った。受付では数人並んでいたが全てを押しのけ受付嬢の前に行く。押しのけられた冒険者達も声を出すことはなく渋々と譲っていて、また受付嬢も何も言わず依頼を受けているのをみて高位の冒険者でこれが日常的に行われているのだと思った。
「依頼が終わったら今度こそ飲みに行こうぜクイナちゃん」
「これで依頼を受注しました。行ってらっしゃいませ。白銀の獅子様」
「ッ…行くぞ!!オラッお前もさっさと来るんだ!!」
スキンヘッドの男はクイナと呼んだ受付嬢に声をかけるが一蹴されしまう。恥をかかされた男は声を荒らげながらギルドから出ていく。その中には先程気づかなかった小さな人物を見つけた。俺よりも小さい金色の髪をした女の子だ。首には鎖がついており、鎖の先は先程のスキンヘッドの男が持っている。
女の子と一瞬目が合ったと思ったがすぐにそらされてしまった。男たちが出ていったあと一瞬静かだったギルドはすぐに喧騒に包まれた。
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