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side???
「ここは……」
目が覚めてゆっくりと身体を起こす。空はすでに真っ暗になっており今が夜だということが分かる。
けれどなんでここにいるんだろうか。俺はゴブリンに追われていたはずだけど
「あ、起きました?」
背後から声を掛けられる。俺は慌てて距離を取るが身体がふらつく。
「あぁ、無理をしないでください。体力は回復できたけど流れた血液までは元には戻せないので」
よく見ると目の前にいるのはまだ小さい子供だった。12、3歳くらいだろう。なんでこんな所に子供が…。
それにゴブリンが見当たらない。
「落ち着いてください。俺は貴方の敵ではありません。取り敢えずご飯を食べませんか?」
少年に器に入ったスープとパンを渡される。俺は警戒しながらもゆっくりと近づいていく。
「君はなんだ?」
「なんだと言われても…。あ、俺は冒険者のソラです」
自分のことをソラと言う少年はギルド証を出してくる。偽造している様子もない。どうやら嘘ではないようだ。
俺は緊張を解くとソラの近くに座る。
「疑って悪かったな」
「いえ。あの状況では仕方がないことです。それよりご飯食べましょう。貴方はしばらく寝てたんですから」
ソラから貰ったスープを1口飲む。暖かい液体が喉を落ちる感覚が心地よい。俺は息を着く暇もなく目の前に出された食事を食べていく。
そんな俺をみてソラも食事を始めている。
「ご馳走様」
「お口にあったようで良かったです」
ソラは使った食器を洗ってカバンの中に仕舞っている。どうみても普通の子供だ。こいつが俺を助けたのか?
「ソラが俺を助けてくれたのか?」
「はい。たまたまゴブリンと貴方を見つけたので。俺が来た時にはゴブリンは息も絶え絶えだったので魔法で簡単に倒すことが出来ました。それと聖魔法も使えるので貴方の傷も塞いでいます」
「そうか、ありがたい。俺は獣人族のライドだ。これでも鍛治職人をしている」
「不躾な質問でなければ何の獣人か聞いてもいいですか?」
「あぁ。俺は白狼族だ。外見上じゃ分からないがしっぽがある」
「へえ。俺獣人族初めて見ました。昨日村から出てきたばかりなので今までの見たことなくて」
「ってことは12歳か?ソラは強いんだな」
「いえ本当にたまたまだっただけですよ」
sideソラ
最初の鑑定でライドさんの名前を見つけた時は驚いた。同じ名前の人かと思ったらまさかの本物だ。これはちょっとワクワクする。
「それより間違いなければソラの着ている鎧って」
「はい!ライドさんのです。他にも剣と短刀も持ってます」
「よくあんなガラクタの中から見つけれたな」
鑑定を持っていますから…とは言えないな。俺は持っていた剣と短刀をライドさんに見せる。ライドさんは少し恥ずかしそうだ。
「お店の方も素晴らしい武具だと言っていました。他にも作っていないか今度直接行こうかと思ってたんです」
「セバスさんがそんなことを?嬉しいな」
あ、やっぱりあの人セバスさんなんだね。見た目まんまの名前なんだな。笑顔を浮かべたライドさんだったが、直ぐに表情が曇る。どうしたんだろうか。
「悪いなソラ。持ってるやつ以外何も作ってねぇんだ」
「え、なんで…」
もしかして身体が悪いとか?それとも何か他の理由が。
ライドさんが話してくれるのを待っていると、ゆっくりと口を開いてくれる。
「セバスさん他に何か言ってなかったか?」
「いえ、何も」
「そっか。俺がここにいる理由でもあるんだけど材料が手に入らないんだよ」
材料?材料ってあの剣を打つのに必要な鉄とか鎧を作るのに必要な皮ってことだよな。それが手に入らなってことは…なんでだ?
「鍛治職人は鍛冶ギルドに所属してそこで材料を買うんだ。魔物の牙や皮など珍しいものも手に入る。俺も鍛冶ギルドに所属してたんだけど、何かと俺に絡んでくる厄介な奴がいてな。ギルド長の息子だったんだけど、嫌がらせもしてくるもんでムカついて殴っちまったんだ。
そしたら怒ったギルドから追い出されちまってな。みんなギルド長に目をつけられたくないからと材料を売ってはくれないし、工房も借りれないから何も作れなくなったんだよ。
それで今朝ギルド長の息子が来て『リザードマンの皮を取ってきたらギルドに戻れるよう取り計らってやる』と言われて教えてもらったここに来たんだ。腕っ節にはある程度自信があったしな。
けれどそこにはゴブリンの巣窟でリザードマンなんかいなかった。俺は何とかゴブリンを倒しながら逃げてここで倒れてるのをソラに助けてもらったってわけだ」
そんな理由があったのか。やっぱり嫌な奴ってどこにでもいるんだな。そのギルド長の息子だってライドさんの腕前に嫉妬したに違いない。
でも材料がないってことはこれ以上ライドさんの武器を買えないって事だよな。
「ねぇライドさん。材料さえあれば武具って作れるんですか?」
「簡単なものなら家にも小さな鍛冶場があるからな。しっかりとしたものを作るには設備が足りないけど…」
「俺が材料を取ってくるので、俺のために武具をつくってくれませんか?」
俺の元のステータスであれば素材集めなんて難しくないはずだ。簡単に作れるものでもライドさんの作った武具なら俺にはありがたい。
「俺はいいがソラになんのメリットがあるんだ?」
「大ありですよ!俺はライドさんの作る武具に一目惚れしたんです。これから先もライドさんの作ったもので戦いたいと思ってるぐらいに。だからライドさんがここで作るのを辞められると困るんです」
勢いよく言うとどこかライドさんが引いているような気がする。早口すぎたか?
「そ、そうか…」
耳が赤いライドさん。引いているんじゃなくて恥ずかしかったんだね。引かれなくて良かった。どうしても自分の興味のあることは早口で捲し立ててしまう。母さんたちにもゆっくり話せって何度も言われたっけな。
「わかった。お前の言葉を信じよう。助けてもらった恩もあるしな。今度材料を持って俺の家にこい。お前専属の鍛治職人になってやるよ」
「専属?いいんですかライドさん」
「敬語なんていらねぇよ。助けてもらったし、ギルドに入れないからな。誰かの専属になるしかないんだよ。その点ソラなら安心して契約できるからな」
「わかった。じゃぁこれからよろしくライド」
「よろしくなソラ」
「じゃぁ今日はもう遅いから明日の朝帰ろうか。俺も一緒に街に行くから」
「あぁ。何から何までありがとな。おやすみ」
「おやすみなさい」
焚き火が消えたり燃え移らないように魔法をかけ、風魔法で辺りに結界を張っておく。これで獣が入ってくることもないだろう。
寝息を立てているライドを見ると俺も眠りにつく。
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