2
「セトって商人なの!?」
「そ!見えないだろ?商人っていやぁ大きな荷車だもんな」
あれから数十分。俺とセトはお互いの事を話していた。20歳前と思っていたセトは18歳で現在は商人として働いているそうだ。その割には身軽というか、カバンひとつも持っていない。
「さてソラに問題だ。俺は売り物をどうやって持ってると思う?」
「………アイテムボックス?」
神様貰ったアイテムボックス。特に珍しいスキルではないらしい。アイテムボックスがあれば手ぶらでも荷物を運ぶことが出来るだろう。
「残念。アイテムボックスは持っているが商品を運ぶには少なすぎる」
通常であれば多くても50個ほどしか荷物を入れられないらしい。俺はどれだけ入れられるのか知らない。神様に1度聞いたことがあるが『とてもたくさん入るよ』としか言ってくれなかった。
それよりセトの問題の答えだ。アイテムボックスじゃなければなんなんだ。
手ぶらでもできる商人って……
「ダメだ。思いつかない。ギブアップ」
どれだけ考えても答えは出てこない。自慢ではないけど、俺は頭がかたいんだ。頭を柔らかくして考えてみよう的な問題は1度も正解したことがない。
「まぁ分からないよな。この質問して答えられたやつの方が少ねぇよ。
答えはな【情報】だ」
「情報?」
「あぁ。情報もれっきとした商品だからな。どこの国の王が病気で伏せているとか、あの国が物資を集めているみたいなものから、迷い猫がどこにいるか、あの子の下着は何色かまでなんてもな」
最後のは必要なのか。でも情報の商人か。情報屋って事だよな。そんな職業もあるんだな。
「ちゃんと表向きは商人もしてるんだぜ?買い付けや販売は部下がしてるけどな。色んな国に店を構えてるんだ。その方が客から情報が聞けるし便利なんだよ」
「え、セトってすごい人なの?」
どうみたってただのヤンキーにしか見えないんだけど。いや、人を見かけで判断するのはいけないことだよな。うん。
「俺は別に凄くねぇよ。これだって親父の仕事を引き継いだようなもんだしな」
「ふーん。でもなんでそれを俺に教えてくれるの?大事なことなら隠してた方がいいんじゃないの?」
「言ったろ?唾つけとくって。俺の勘がお前と知り合いになると得だっていってんだよ」
「そんなものなのか?」
「そんなもんだ。俺の勘は外れたことがないからなっと、そろそろ俺の番だな。じゃあなソラ。先に行っとくぜ」
そういうとセトは門前の兵士の前まで走っていった。その時に何かの紙を取り出し兵士に見せている。あれは通行証だろう。国や街を行き来する商人には必須なものだ。中々なお値段がするらしい。
セトは通行証を持っていたので直ぐに門を通過することができた。次は俺の番だ。
呼ばれると俺は兵士の前まで行った。兵士は水晶玉のような物に手を置いている。
「名前と街に来た理由は」
「ソラです。冒険者になりたくて冒険者ギルドのあるこの街に来ました」
「はい。嘘は言っていないね。通行料の銀貨2枚払って」
俺はカバンから金貨1枚を手渡し、銀貨8枚を返してもらう。思ったよりも呆気なかった。
それよりもなんで嘘をついてないのか分かったんだろうか。あれもなにか魔法かスキルなのかな。
兵士に鑑定を試そうとするとセトから声をかけられる。
「ソラも無事に中に入れたんだな。このまま冒険者ギルドに行くのか?」
「あ、うん。そのつもり」
「なら案内してやるよ。この街初めてなんだろ?冒険者ギルドまで少し距離があるから迷うかもしれないしな」
「じゃぁお願い」
セトの後をついていく。街は思った以上賑わっていた。道路には屋台もありいい匂いがする。道もしっかり舗装されていて走っている馬車も大きく揺れてはいない。前世と比べると多少は人も少ないが
村から出てきたばかりの俺にとってはお祭りでもあってるんじゃないかと思うくらいの人の多さだ。
キョロキョロと建物や屋台を見て歩いているとおもむろにセトに手を引かれる。人にぶつかりそうになっていたみたいだ。
「ごめんセト」
「まったく、珍しいんだろうけど落ち着けよ。ほらここが冒険者ギルドだよ」
目の前に大きな建物がある。イメージとしては木造の建物だったが、目の前にあるのはレンガ調のしっかりとした建物だった。
俺はセトに向き合うと頭を下げる。セトがいなければここまで来るのに倍以上時間がかかるだろう。
「ありがとうセト。おかげで迷わずに着けた」
「どういたしまして。じゃあな。また直ぐに会える気がするが…頑張れよ」
そういうとセトは人混みの中に消えていった。俺もなんとなくまたセトに会いそうな気がする。
さて、今は冒険者ギルドだ。俺は、はやる気持ちを抑えながらゆっくりと扉を開けた。
ギルド内は前世での銀行のように台で区切られている。奥では職員たちが働いているようだ。手前側はたくさんの冒険者達がいる。
受付には女の人達が立っており冒険者達が並んでいる。並んでいる人数にムラがあるのはやっぱり人気とかなんだろうか。
その中に一つだけ人の並んでない受付がある。もっさりとした髪型に分厚いメガネをかけている男の人だった。
俺は迷わず男の人の前に並ぶ。
「すみません。冒険者の登録できますか?」
「え、あ、あぁ。12歳以上なら誰でもできるが…俺でいいのか?」
「?はい!!」
質問の意図が分からないが、冒険者として登録が出来るのならば誰でもいい。あの長い列を並ぶよりもこっちの方がすぐ終わりそうだし。
「じゃあステータスカードに魔力をそそいで。その後にプレートを渡すから」
そういうと受付の男はおなじみのステータスカードを渡してきた。いつ見てもコピー紙にしか見えないんだけどな。
俺はステータスカードを貰うと魔力をそそいでいく。それと同時に隠蔽魔法を使いステータスを改ざんしていく。
閲覧ありがとうございます。
誤字脱字ある場合教えて頂くと幸いです。 気に入ってくださいましたらブックマーク、評価お願いします。糧になります!!




