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お食事しながら、秘密のおはなし。

「『魔力の氾濫』がくること…みなさん本当にご存知だったんですね…。」


只今(ただいま)お昼の時間に、みなさんがどのくらい『秘密』についてご存知なのか確認してます。

きょうの料理は、まだお仕置き中のアクロスくん使用で、お野菜・煮物がメインの『和食』です。

このレシピも、もとはクロコが言い出した料理ですね。何となくなつかしい味わい深い料理なので、私も気に入っています。



「そうそう、ご存知だよ~。妖精界でも、いくらかは知られてる話なんだけどね。

でも学園でこの『秘密』の話が気軽にできるのは、クラスの建物内か学園長室だけだからね?一般生徒が混乱するとよくないし。

…あ、この『大根の味噌すーぷ』、ベース豆なのにおいしいね。」


妖精界では人間界に行く者たちの間で知られているのだと、ルイゼさんは教えてくださいました。

…お味噌、気に入りましたか?醤油の焼きオニギリもおすすめですよ?



「獣人族は、部族の『(おさ)』達なら知ってるかな。魔物討伐するのに情報は冒険者ギルドとも共有してるから、ギルドの職員や上級冒険者も『秘密』、知ってるとおもうぞ?」


山盛りの『鳥南蛮揚げ』を、もくもく頬張(ほおば)りながらエンカさんも話します。握っているフォークが止まりません。

……かなり作ったのですが、足りますかね?煮物もたべてくださいね?


冒険者ギルドの偉い方々がご存知だとすると、冒険者のかたには以外と知られているのでしょうか?とお聞きすると、少なくとも実力がBランク以上のB~SSランク位のかたでないと知らないとのことでした。

冒険者さんのランクはクラスFからなので、Bランク以上は百人もいたら多いくらいですかね?

そう考えていると、フンフン♪と鼻歌まじりにご機嫌な声がしました。



「たけの・こ♪たけの・こ♪美味しい。のこ・のこ…♪

れんれん♪れんこん♪レンの・コン~…♪」



ミカエルくんは『筑前煮(ちくぜんに)』気に入られたみたいですね。

お食事中のお行儀としては少し悪いですが、歌いながらも、人参や絹さやまでしっかり食べてます。えらいです。

ゴボウ、入れずに甘めに作ってよかったです。あれは土の味が強くて、苦手なかたが多いですからね。…私もですが。


甘め、ですから。レンコンを睨まないで召し上がってみてください?アクロスくん?レンコンは土の匂い、しないですよ?



「いやぁ~、今まであまり食べなかった植物の根っこや豆が、こんなに美味しいとは思いませんでしたねー?クロコさんとミリアムさんのお料理は、本当に個性的です。

……アクロスくん?まずは口にしてみて下さいね~?大地の力は滋養(じよう)に良さそうですよ?」


研究者にとって、あらたな味に探究心をもつのは大切な事ですよー。とホウエイ先生も勧めてくださいます。

根菜は、確かにエネルギーいっぱいで身体によいそうですからね?

大地と自然に感謝して、食事は何でもいただくべきですよ。

私は………ゴボウ以外なら。美味しくいただきますよ。



「ふっふっふっ。人間という種族は、こと食べ物に関して欲が深いですからなぁ。

とある民族など何でもたべる、毒のある魚はモチのロン。賞味期限すぎて『発酵』を見つけ。鳥の巣や(こけ)まで食べれるか試行錯誤して、『うーまーいーぞーっ!!』っとしてきたくらいです。

ザ!食欲の権化!人間!!

食は偉大なのですよっ!だから人ならば()い改めていさぎよく()いなさい悪人!お残しはゆるさんっ!」


ガボッ!っと、クロコによってレンコンを口に突っ込まれましたねアクロスくん。

……あれ、逆らえないのですよね。ご愁傷さまです。



「………ふぅ。食べきった。ごちそう、さま。」

ミカエルくんはクロコに(から)まれず、立派に食べ終わったようですね

まぁミカエルくんにはクロコも暴挙に出ないと思いますが。


ちなみに、エルフ族や(てん)族のかたがたは、寿命が長いぶん、むかーしむかしから『魔力の氾濫』については一族単位で見守ってきたのだとか。…人生で2度以上経験されたかたも、中にはいるそうです。



「おもったよりも、随分と沢山のかたが『秘密』についてご存知なのですね?…その割にわたし、地元の小国ではきいたこともなかったです。」

そんなに知られていて混乱が起きていない事が不思議に思いそう言うと、それは余りにも信じがたい内容だから噂に上がらないのだろうと、レンコンを食べ終わったアクロスくんに言われました。…そうなのですか?


「長命種族による史実(しじつ)が確かなら、『魔力の氾濫』は五百年から千年の周期で起こるとされる災害だからな。たった十数年で次が起こるなどと聞いても、ホラだと思われるのだろう。

大きな話すぎて、逆に信憑性がなくなるんだ。

何しろ『魔力の氾濫』は、人の大人にとっても記憶に新しい災害だからな…」


そうアクロスくんは言います。

たしかに当時の記憶がある方なら思い出したくもない災害ですが、偉い方々が予想しても信じられないものでしょうか?

あと数年でまた『魔力の氾濫』がおこるのなら、一般のかたがたも対策や心構えをしたほうが良いと思うのですが…。


「…まぁたしかに、予期している再度の『災害』は、人ならば一生に1度あるか無いかの災害です。『まさか』と疑うのも、無理ありませんねぇ。

みなさん、どちらかと言うと『信じたくない』気持ちが有るのでしょう………。まぁ理解できる者や、理解しなければ『ならない』地位の者は、すでに出来る限りの対策をとっているので、なんとかなりますけどね?」


出来る事が有る者は頑張ってますから…。まぁ普段は気にせず年長者にでもまかせて、学生さんは今ある日々を楽しむとよいですよー?青春は一瞬です。



そうつぶやき苦笑するホウエイ先生は、なんだかとっても『先生』らしいなと感じます。

…そうですよね?『要石(かなめいし)』や『魔力病の治療道具』の開発もされてますし、次回の『魔力の氾濫』は、きっと皆で乗り越えていけますよね?

………大丈夫ですよね?きっと。


ちょっぴり不安な気持ちになってしまい、考え込んでしまったら、なぜか皆さんあわてて話し出しました。



「…あれ。いきなり『秘密』な話を聞いて暗くなっちゃった?ミリアムちゃん。大丈夫、大丈夫♪妖精界でも、みんな結構のんびり構えてるよ?

『災害』が起きても、なんとかなるって。わらってわらって~♪」


「ん?どうした?不安か?

なんかあっても守れるように、みんな鍛練してるからな。ミリアムはもう俺の『仲間(かぞく)』だし、他の獣人族もお前を守るぞ?心配いらないからな?」


「おかしな顔をするな。必ず『要石』も『治療具』も、次の『魔力の氾濫』までに完成させる。僕もホウエイ先生もいるんだからな、絶対だ。……不安がる必要など、微塵(みじん)もないだろう。」


「おやおや、皆さん頼もしいですね~。これは年長者として、私も本腰をいれて頑張らないとですねぇ?

という訳で、不安がる必要はなさそうですよ?ミリアムさん?」


「……………………………ぐぅ。」



わたし、へんな顔してましたか?何だか暗く憂鬱な気分になりかけていたら、ルイゼさん、エンカさん、アクロスくん、ホウエイ先生と、皆さん励ましてくださいました。

…ふふ。ミカエルくんは、食後のお昼寝ですね。可愛いです。

笑みを浮かべれば、


「おぅ。お嬢様、すでににんき者?皆さんもなかなかいいますな?よきかな~よきかな。」

またよくわからないことを言って、クロコもニコニコしています。


「早くに『魔力の氾濫』がきても、いざとなったらワタシもお嬢様についてますからねっ。なんも心配いらないとですよっ!」

それよりも~先生の言うとおり、青春を皆さんと謳歌すべきです!と燃えていますね?たしかに日々を楽しむのは大切です。生きてる証ですしね。



「そうですよ~?『要石』も魔道具も、お陰で進展しそうですしねぇ。今日はいきなり研究に巻き込んでしまいましたが、あとはそちらは私たちにまかせて、ミリアムさんたちは他のことも見て、楽しんで、学んでくださいなー。もちろん、お暇になったらまた『秘密基地』見学にいらしてください?」


片付けをして、今度いらしたときは、貴女が楽しめる魔道具(おもちゃ)も用意しておきますよ。

そうホウエイ先生は微笑んでおっしゃいました。

はい!楽しみにしますね?学園の先生が用意してくださる魔道具。どんなものを見せていただけるのか、いまからワクワクします。

あ、でも午後にもう一度『秘密基地』にはお邪魔して、クロコの散らかした魔道具を掃除させていただきますよ?ちゃんと普通の『掃除機』もコピー製作したいですし、『神様からもらった道具』も複製したいですからね?『要石』の研究、大切ですからね。きちんとできるお手伝いしますよ。

そうお話していると、見ていたルイゼさんが声をあげました。


「あー、先生、簡単にミリアムちゃん笑顔にしてる。……なんか『秘密基地』要員ばっかりずるいですー。

ミリアムちゃん、楽しいものなら、明日ボクの作業場に来たらたっくさん用意しておくから、僕とも級友同士、仲良くしようね?だから明日、忘れないで来てよね?

クロコちゃんの、こないだ提案されたものも出来てるから、まってるよー。」

「おお!それはぜひに行かねばですねっ!楽しみです!」


クロコがとびついてますね、何をお願いしたのでしょう?

もちろん皆さんの担当するものを見させて頂きたいので、明日は予定どうりルイゼさんのところへ見学に伺うつもりでしたが。



「おやおや、私達はずるいですか?」

「……なんかこのままだと、先生とアクロスのとこばかり入り浸りそうじゃないですか。先生達の研究が大切なのは解りますが、僕も作ったもので着たり見たりしてほしい作品あるんですよ。

……それに彼女、せっかく僕の『体質』が影響ない女の子なんですから、普通に仲良くしたいのわかるでしょ?先生?」

「あー、はいはい、そうですねぇ。」


ホウエイ先生とお話しながら、何か相談してます?

後半はよく聴こえませんね?


「ルイゼさん?明日は予定どうりお伺いしますよ?宜しくお願いしますね?」

そういうと、ルイゼさんはとてもよい笑顔で「そう?よかった!」と微笑まれました。


「明日はちょうど、妖精界から何人か『姉』たちもくるから、妖精、みれるよ?お土産も持ってきてくれるから、お茶会しようね?」


妖精さんたちとお茶会ですか、それはますますたのしみですね。


「明日なら俺も午後ならミリアムに付き添って一緒にいくぞー。ルイゼんとこの茶菓子、旨いから楽しみだし。とっておいてな?」

「ぼくも、お茶会、いく。……ルイゼ、新しい縫いぐるみも、作って。」


と、エンカさんとミカエルくんも参加を希望されました。


「OKだよー。明日はみんな直接、僕の作業場においでねー?」

とお言葉をいただきました。


明日はミカエルくん、エンカさんも一緒に、ルイゼさんのお姉様がた……

妖精さんと、ご対面です!



……………私からも手みやげ、いりますかね?

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