退却!無理はしない派です。
仕事が……忙しくて……
ザシュ!ガキン!ブシュ!
ゴブリンの首から血が吹き出る。
アキトの周りには3匹のゴブリンが倒れていた。
「ふぅ。結構慣れてきたな。」
アキトはあれから戦闘を繰り返す日々を送っていた。
魔物と遭遇しては戦闘してHP・MPを消費したら拠点に戻るを繰り返し、遭遇した魔物は全て倒していった。
全て倒していったと言ってもほとんどゴブリンと狼ばかりだった。
「俺もなかなか強くなってきたかな?魔力の通りも、感覚も前より研ぎ澄まされてる感じがするし。鑑定。」
名前: アキト
種族: 人間
年齢: 15歳
クラス: 無
Lv12
HP:152
MP:216
スタミナ:171
筋力:84
敏捷:92
魔力:72
知力:53
運 : 34
スキル
剣術 Lv3
短剣術 Lv2
槍術 Lv2
体術 Lv4
魔力操作 Lv5
魔闘技 Lv2
気配察知 Lv2
鑑定 Lv5
固有スキル
世界案内アーカイブLv3
「おぉ~久々に自分のステータス見たけどかなり成長してるな。これがこの世界で一般的な成長なのかどうかはわからないけど。」
アキトはこの世界に来てからまだ人間と出会った事がないので基準がわからないのであった。
「ソフィア。一般的な成人男性って何レベくらいなの?」
「一般的な成人男性のレベルは10レベル程です。就く職業によりレベルの平均は変化します。」
「ふーん。じゃあ今俺は普通の村人より少し強いくらいか。」
この時アキトは気づいていないが、アキトの場合レベル以外に日々の鍛錬によってステータスが底上げされていたので、同じレベルの人間でも全く強さは違うのであった。
「ソフィア、その職業に冒険者とか騎士ってあるの?」
「冒険者という職業は存在しませんが、騎士は存在します。職業は、この世界ではクラスと表示され各主要都市にてクラスを選定することが可能です。」
なるほどね。クラスによって獲得するスキルやステータスの上昇が違う感じか。
ん?じゃあ俺クラス無ってなってるけど、もしかして無職!?
異世界に来てまで無職とか……くっ(泣)
「やっぱり人を探そう!一刻も早く無職という称号を書き換えなければ!!」
アキトはゴブリンの後処理をし、先に進んでいく
「今回は狩りだけじゃなくて本格的に散策も進めよう。この前倒したゴブリンが持っていた剣もあるし大丈夫だろ。」
アキトは狩りを進めていく中でゴブリンの上位種、ゴブリンソードマンを倒していた。
武器:粗悪な短剣その名の通り粗悪な短剣。手入れも何もされていなく刃こぼれが酷い
アキトは短剣を握りしめ奥へと進んでいく
ん?なんだこの気配?
アキトは奇妙な気配を感じ警戒し出す。
すると前方から巨体がゆっくりと表れてきた。
種族: エノルメネグロベア
ランク:D
Lv23
HP:354
MP:102
スタミナ:269
筋力:218
敏捷:138
魔力:21
知力:16
運 : 27
スキル
身体能力上昇 Lv2
腕力上昇 Lv2
咆哮 Lv1
「いやいやいやいやいや!!!勝てるわけねーだろ!!!!」
アキトを見つけたネグロベアはすぐに咆哮を放つ
「グォォォォォォ!!!」
「っつ、なんだこれ、痺れる。」
ビリビリと空気を震わせる咆哮をアキトは全身で浴び怯んでしまった。
それを見てネグロベアは突進してきた。
「ぐぅ!なんだよこいつ。どこがベアだよ!俺が知ってる熊と全然違うわ!!」
なんとか突進を避け距離をとることができたが、ネグロベアの顔はアキトが日本で見たことがある熊とは違い、もっと禍々しい顔をしていた。
アキトは落ち着きながら短剣を握りしめ、全身に魔力を張り巡らせる。
全身を覆うだけじゃなく身体の内側、血管や神経にも枝のように張り巡らせるイメージで魔力を練っていく。
更に短剣も魔力で纏う。
日々の鍛錬とレベル上げにより魔力を練るのに時間がかからなくなった。
アキトは腹を決めネグロベアを観察する。
弱点らしきものは特に確認できないので、顔と心臓付近に狙いを定める。
ネグロベアはそんなアキトを気にもせずにまた突進する。
「ふっ!」
アキトはギリギリで避け、背後から心臓を狙って短剣を振りかざす。
ザシュ!
「マジかよ…。」
心臓を狙った渾身の一撃だったが、ネグロベアの体毛に防がれ薄皮1枚しか傷つけることしかできなかった。
「無理ゲーすぎだろ。勝てるわけがねぇ。」
アキトは距離をとり一目散に走りだした。
「あんなの相手にできるかよ!」
全速力で逃げ出したが、後ろから凄い音がする。
ネグロベアが木々をなぎ倒しながらアキトを追ってきた。
「やばいやばいやばいやばい!!!!!」
アキトは更に速度を上げる。
「なにかないか、なにかないか…あった!」
アキトはコースを外れ茂みに飛び込む。
ネグロベアも追いかけるが、アキトを見失う。
辺りを見回すがアキトの姿はない。
「グォォォォォォぉ!!!!」
雄叫びを上げながら辺りを引っ掻き回す。
しばらくしてネグロベアは辺りを荒らし、獲物が見つからないので戻って行った。
「あっぶねぇぇぇぇぇぇ。」
アキトは茂みの先の少しだけ段差になっている窪みの中に隠れていた。
以前採取などをしていた時に偶然見つけた場所だった。
周り一面草だらけなので遠目からはわからない場所だったのが幸いした。
「あんなんどうやって倒すんだよ。」
魔力を通した短剣でも歯が立たず、ステータスもレベルも負けている。
「ソフィア。どうしたら良いと思う?」
「………選択しが多く回答に困ります。」
ほぅ。選択しが多いって事は俺にはまだ伸びしろもとい、あの化け物に勝つ方法があるってことか。
「ソフィア、今の俺のステータス、戦闘方法にあった最適な方法を教えてくれ。」
「………アキト様は魔力操作、魔力が一般的なレベルよりも上昇していますので、魔術を習得し戦術の幅を広げるのが最適だと判断します。」
「いや俺も魔術使ってみたいし覚えたいけど、魔術ってのがどういうものなのか、どうしたら使えるかわからないんだけど?」
「アーカイブのレベルが3に上がったことにより、一般的な基本の魔術書などを読むことができますが、朗読しますか?」
………
「いやそういうことはレベルが上がった時にもっと早く言えよ!!!」
うん。魔術覚えられるみたいです。