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閑話・戦闘機パイロット冒険者ギルドに行く

「なんだ? その変な格好は。鎧も買えんのか?」


 チッ。これだから未開の文明は。


 パイロットスーツも知らんくせに絡んでくるな!


「おい! ここでオレを無視するとはいい度胸だな」


 魔法があるファンタジー世界だからって、手っ取り早く金を稼ごうと冒険者ギルドに来たはいいが。


 ギルドの中に酒場なんかあるもんだから、酔っぱらいのクズが絡んで来やがった。


「失せろ」


「テメエよそ者だな。ここのギルドは新人とよそ者はオレに挨拶する決まりなんだよ」


 周りじゃニヤニヤとした連中が勝敗で賭けをしてやがるし、ギルドの職員は見てみぬフリかよ。


 こりゃダメだな。




「礼儀ってもんを教えてやるぜ。田舎者が」


「お前。今まで何人そうやって弱いもの虐めしたんだ?」


「ギャハハハ。みんな喜んでオレに挨拶しにくるぜ」


「そうか。じゃあ礼儀を教えてもらおうか。街の外でな」


 オレも決して行儀は良くねえが、弱いものいじめは大嫌いなんだ。


「おう! いいぜ。好都合だ」


 街の中はザルながらに法があるが、街の外は何が起こるか分からないし、何が起こっても不思議じゃない無法地帯だ。


 絡んで来なければ見逃してやったものを。




「よう、ギルドには登録出来たか?」


「いや、あそこはダメだ。クズみたいな奴がたむろしてるし職員は見てみぬふりをしてる奴ばかりだ。あんなクズを野放しにしてる連中と一緒に仕事する気はねえ」


「ああ、バルカスのやつか。あの野郎腕だけは確かだから、ギルドでももて余してんだよってバルカス!」


「なんだ?兵士に助けでも求めたのか?」


「お前ら何しに……」


「ちょっと礼儀を教えてやるだけだぜ」


「礼儀ってバルカス。この男は……」


「街の外は何が起こっても自己責任でいいんだよな?」


「あっ……ああ」


 ついさっきまで昨日の臭え盗賊の死体探しに行ってた兵士のあんちゃんに声をかけられたが、こいつはとんでもねえクズらしいな。


 昨日聞いたんだよ。基本的に街の外は自己責任だと。


 まあ犯罪は犯罪なんだが証明するのは難しいらしい。


 犯罪やらを見抜く能力がある奴も居るらしいが、こんな田舎には居ないと言われて疑われたんだから忘れるはずはねえ。


 それに殺しと盗みさえしなければ、兵士はほとんど取り合わないのも聞いてる。




「早かったな。バルカスは?」


「森の中でお寝んねしてるよ」


「お前。流石に殺しは……」


「殺しちゃいねえよ。なんなら見てくるといい」


 クズは所詮クズだった。


 森の中で不意打ちしようとしたところを、殴って手足の骨を折ってやっただけだ。


 運が良ければ這ってでも帰ってこられるさ。


 運が良ければな。




「あの、ギルド長がすぐに来いと」


「オレはお前んとこのギルドに縁もゆかりもねえはずだけど?」


「私に言われましても……」


「姉ちゃん。ガキの使いじゃねえんだ。そんな理由で行くと思うか? ギルド長とやらに伝えとけ。一度失った信頼は二度と取り戻せねえってな」


 バルカスとかいうカスは取り巻きの子分に助けられたらしい。


 クズのくせに運がいい。


 翌日にギルドの見てみぬフリをしていた姉ちゃんが理由も告げず呼びに来たが、二度と冒険者ギルドには関わる気がねえから行く気もない。


 まあ大方オレが盗賊退治をしたことを、後から知って取り込もうとでもしたんだろうがな。


 とりあえず盗賊退治の金があるうちに海でも目指すか。


 港町なら米を知る商人か船乗りが居るかもしれんし。


 この街はダメだ。


 あー、腹一杯どんぶり飯が食いてえ。



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