ボルトンの思惑と今後の進路
ボルドンさんがオレ達に同行を求めた理由は幾つかあるようだ。
一つは海賊船を操船して敵性生命体である魔物がいる外海を航行するには、人手が足りないことが主な理由らしい。
うちの船にはレーダーもバリアもあるから気楽なものだけど、あちらは本当に木造船なので命懸けだ。
「ロボット兵って食べ物食べられないよね? 大丈夫?」
「栄養にはなりませんが、食べたふりをして体内で分解して水には出来ます。潜入工作のミッションもありましたから」
「そうだったな」
結局海賊船の操船にとうちの船からもロボット兵を数人出して、三隻で船団を組みヴェネーゼを目指すことになった。
オレとしてはロボット兵の正体がバレないか、不安だったから悩んだんだけどね。
セレスが大丈夫だからとボルドンさんと話し合い人員の数なんかを決めてた。
「それにしても、島から大陸は意外に近いか?」
「いえ、まともな帆船の速度ですと、風を上手く捕まえても五日はかかります。私達はここまで飛んで来ましたから」
拠点とした島からここまで約半日で、ここからヴェネーゼまでが三日はかかるらしい。
オレ達は帆船が二日か三日はかかる距離を半日で来た訳か。
「セレス。それで海賊のアジトまでは一日か?」
「はい。この風と天候だと一日で到着すると思われます」
「しかしまあ、海賊のアジトに海賊船で乗り込むなんてよくやるな。ボルドンさんも」
それとボルドンさんがオレ達に同行を求めたもう一つの大きな理由は、海賊のアジトをこのまま急襲したいからでもあった。
ボルドンさんの部下が海賊に尋問した結果、アジトには船乗りが捕らえられていて奴隷にされているとの情報があったからだ。
無論タダではなく助けた礼と海賊達の賞金などとは別に、アジトの荷物や宝があれば半分山分けの約束で急襲を手伝うことにしている。
この辺りはオレの意志というよりは流れでそうなったとしか言えなく、ボルドンさんからするとジュリア一人でいいから貸してほしいのだそうな。
「司令。少し気になることがあるので、ヴェネーゼの方に一人先に送り込みたいと思います」
「そうだな。あの人が自分の船に海賊の手下を乗せたなんて、迂闊なことするようには見えないし」
「はい。協力者か黒幕か、どちらにしろ裏がありそうですから調べさせます」
現在船はエンジンを止めて完全な風任せでの航行なのでのんびりとしたスピードで移動しているけど、エルの進言により一足先にヴェネーゼにアンドロイドを送り込み情報収集することになる。
ジュリアが言っていたボルドンさん達の強さと海賊達の弱い奴を狙うという話とは一致しないし、何よりあのボルドンさんが然う然う知らない奴を乗せるとは思えない。
確かな確証はないけど、ボルドンさん狙われたんじゃないかと疑いたくなるんだよな。
あまり率先して首を突っ込む気もないけど、巻き込まれるのも困るし情報は集めておかないとね。
「夜はマグロモドキでねぎま鍋でもするか」
「賛成。〆はうどんで」
ジュリアは先程から見張りにと甲板で素振りをしてる。釣りは流石に同行する船に迷惑が掛かるからと止めたらしい。
オレは特にやることもないので船の厨房で夕食の支度をしつつのんびりとする。
エルは要塞シルバーンや拠点と通信しながら各種の報告を受けたり指示を出したりしているし、ケティはオレが調理するのを眺めながらマグロモドキのDNAサンプルを採取して船でも出来る調査をしてる。
はっきりいうと船で一番暇なのはオレであり、料理係には一番適任だった。
一般的なこの世界の船では水は貴重品だがうちは空気中からも作れるし、船だと海水からも作れるから使い放題なんだよね。
ボルドンさんなんかの船だと真水はあるにはあるが、料理に使う以外は主にワインを水代わりに飲んでるらしい。
壊血病とか大丈夫なのかね?
まあよそはよそ、うちはうちということでオレは船の揺れに身を任せつつ、出汁を取りながら西の空に傾き始めた太陽を船の窓から眺めていた。




