家を広げることにしました
アヴァロンから帰ってきて一週間ほどたった頃。
「そーいえば、レイラって自分の部屋要らないの?」
突然、師匠がレイラちゃんにそんなことを聞いていました。
「うーん……今のままでも困ってないし、別にいいわ」
「そっかー……ならいいや」
「何かあったんですか、師匠?」
「え?いや、そろそろこの家も増築しようかなぁ……って。レイラって、来てからずっとクエルの部屋で寝てるでしょ?」
あと、単純にもう少しスペースが欲しい。
と、付け足していました。
「私はいいと思いますよ?広くなるのは嬉しいですし」
(レイラちゃん、たまに夜中寝ぼけて私の魔力吸ってるし……)
「で、でも……広いと掃除とか大変だし……」
「あれあれー?もしかして、一人で寝るのが怖い……とか?」
ビクっ、とわかりやすく反応するレイラちゃん。
「そ、そそそそんな訳ないじゃない。何を言っているのかしら?」
動揺してるのがバレバレだよ……。
「ふーん……じゃあ、問題ないね。ということで、今日から増築していこっか」
ニヤニヤしながらレイラちゃんをいじっている師匠を見て、変わらないなぁ……と思いました。
「で、増築はどうやっとするんですか?材料とか、作り方とか……」
「材料は森から取ってくればいいし、作りかたなんてただ木を組んでいけばいいだけでしょ?」
雑極まりない……そんなので、本当にいいのか……
「ね、ねぇ……増築するのなら、そういう人に頼んだ方がいいんじゃないかしら?」
「そうかなー?現にこの家も二人で建てたしなー」
二人……アスモさんとかかな?
でも、それを聞くのはなんだかいけないような気がして、結局聞けなかった。
「でも、建ててる間どこに泊まるんですか?まさか野宿とか言い出すんじゃ……」
「え?クエル野宿がいいの?もー、しょうがないなー。弟子の願いだし、しなきゃいけないなー」
うっ……露骨な棒読みやめてくださいよ……
「えー、あたしはイヤよ?外で寝るなんて。ましてや、二、三日程度じゃないんでしょ?」
「うーん……じゃあ、村の宿屋しばらく借りる?」
「あたしはそっちの方がいいわ」
「私は……たまには、外でってのもいいと思います」
「まぁ、そんなに長い時間は要らないと思うからね。たまには、そういうことをしてみるのも楽しそうだね……と、いうことになったけどレイラはどう?」
「あ、あたしは……それでもいいわよ。というか、この状況で嫌って言えないじゃない……」
少し目を背けて、照れながら言うレイラちゃんはすごく可愛いです。
「じゃ、明日は材料とか取りに行こうか。もちろん、建ててくれる人は私の方から頼んでおくよ」
その日のご飯は、少しだけ豪華にしました。
なんだかんだで、優勝祝いしてませんでしたからね。