やっと、アヴァロンに着きました
ぴんぽんぱんぽーんと、アナウンスのチャイムがなった。
『えー、まもなくアヴァロンの飛竜船発着場に到着します。お乗りの方は着陸時の衝撃に注意してください』
「そろそろ着くみたいですよ、師匠にレイラちゃん」
「ん、そうみたいだね。あー、ずっと船の中ってのも疲れるねぇー」
「毎日家に引きこもってる人が何言ってるんだか」
「それとこれとはまったく違うんだよ、レイラ」
何が違うか教えて欲しいくらいですが……まぁ、いいでしょう。
「それより、なにかに捕まってた方がいいんじゃないの?」
既にベッドの端に捕まっているレイラちゃんにそう言われ、私は近くにあった手すりに手をかけた。
「じゃあ、私は……ここでいいかな」
そう言って師匠は私の腰のあたりにしがみついてきました。
「ちょ、師匠!どいてくださいよ!」
「えー、いいじゃん。別に減るものでもないし」
いやまぁ、いいんですけど…いきなりでびっくりしましたよ…
「まったく……二人でイチャイチャしないでくれる?」
「し、してないよっ!全然してないから!」
「えへへー、そうかなぁ?」
なんで師匠はちょっと嬉しそうなんですか。
「そんなことより、衝撃に備えないと危ないわよ」
そう言われた瞬間、少しだけ衝撃が伝わってきた。
(これが着地の衝撃か。身構えた割には意外と大したことなかったなぁ……)
そう思い、手すりから手を離したら
ドンッ!
と、もう一度衝撃が来た。しかも、前回のよりも強く。
「あわわわっ!」
思わず、尻餅をついてしまった。いつのまにか師匠は手すりつかんでるし。
(いてて……お尻がヒリヒリするぅ……)
「まったく、なにやってんだか。飛竜船は、本体がついた後の竜の着地の方が危ないのよ」
やれやれ、と言わんばかりにレイラちゃんが言ってくる。拗ねてるのかな?
「そんなことより、早く降りようよ」
師匠は、目をキラキラと輝かせながらウズウズしていた。
「はいはい、分かりましたから。いてて……行きましょうか」
私たちは、荷物を持って飛竜船を後にした。
「ふぅー、久々な感じだなぁー」
「なにを言っとるんじゃ。ちょっと前に来たじゃろうが」
と、後ろからアスモデウスさんが声をかけてきた。師匠は、私たちと来る前に一度来ているようだ。
「へー、アヴァロンもなかなかいい所じゃない。こういう雰囲気好きよ」
「ふふっ、レイラさんは吸血鬼ですからね。魔族の国になにか惹かれるものがあってもおかしくないでしょう」
「さて、城までは少し歩くからの。城下町の説明をしつつ行くぞ」
私は、始めて来た魔族の国に興味を持ちつつアスモデウスさんたちと共に城下町の散策を始めました。