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死なない魔女の日常譚  作者: 夕張時雨
六章 師匠が料理を作るそうです
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師匠がどこかへ出かけていきました

まぁ、食べれなくはないけど……少し、危険だなぁ……。

「ねぇ、クエルどうかなぁ?美味しい?」

師匠が無邪気な笑顔で聞いてくるものだから、

「お、美味しいですよ……」

と、答えるしかなかった。これは仕方ないことなんだ。

「ほんと?よかったー」

師匠、笑顔が眩しすぎます。

「いやいや、そうじゃない!師匠、砂糖と塩間違えてますよ!あと、焦げてますし。食べれなくはないですけど…」

危うく笑顔の前に流されてしまうところだった。

「え?ほんとだ、ハンバーグ作ったはずなのに甘い。なんだー、先に言ってよー」

やっぱり、素直に伝えるって大切ですね。

「でも、調味料を間違えたり作ってる料理から目を離さなければ、美味しいと思いますよ。あと……もう少し切り方を細かくしましょうね」

そう、師匠の最大の欠点は味付けでもよそ見でもなく、切り方(・・・)だった。ハンバーグに入れるグランド二オンを四等分して、ボウルの中に入れようとした時は流石に止めに入った。

(ちなみに、グランドニオンとは一抱えもあるぐらい大きい野菜の事です。普通の料理には使わないんだけどなぁ……)

使うとしたら、大人数でパーティーをやる時(それでも相当な人数の場合のみ)や村のお祭りで全員で一つ使い切る、くらいだろう。

「師匠、まずは野菜の切り方からやりましょうか」

「分かったよー。で、何を切るの?」

「とりあえず、野菜をいくつか持ってきてください」

「はいよー」

そう言うと、師匠は家の後ろの畑に野菜を取りに行く。

数分後、帰って来た師匠の抱えているカゴの中にはたくさんの野菜が入っていた。面倒くさがりなくせに畑の世話だけはかかさない。

「さて、始めますよ。まずは、ニンジンでから」

私達は、たくさんの野菜を切った。切って切って切って……

結果、その日の晩ご飯は大量のサラダと野菜がたくさん入ったカレーになりました。

「うえぇ……当分野菜なんて見たくないよぉ……」

「あら、そう?野菜美味しいじゃない。ローリスも見た目通り子どもなのねー」

と、レイラちゃんが師匠を煽ってました。

「むっ、そんなことないから!ちゃんと食べれるもん。それよりも、レイラもたくさんのこってるけどどうしたの?」

子供の喧嘩ですか。そんな見た目でも100歳超えてるんでしょうが……。

でも、特訓のお陰で師匠は少しだけまともな料理が作れるようになりました。

当の本人は作りたくないと、言っていましたが……。


翌日、私が起きるとテーブルの上に二人分の朝食とメモが置いてありました。

『ちょっと、用事で外に行ってくるねー。朝食は作っておいたから、食べてね。(味は保証しません。P.S.夕ご飯までに帰れると思うよ、多分』

(あの面倒くさがりの師匠が、全員分の朝ごはんを作っていくなんて…)

やっぱり、教えてよかったと思います。

でも、用事って何なんだろう……私の中に、それだけが引っかかっていました。

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