師匠に料理を教えます!
「クエル!私に料理を教えてっ!」
「いきなりどうしたんですか?珍しいですね、師匠が私に頼み事なんて」
吸血鬼のレイラちゃんがうちに来てから、 二週間程経った日のこと。
「だってぇ……レイラが私の料理美味しくないって……」
つい昨日、帝都での用事があって家を開けていたが……そんなことになっていたとは。
「ちょ!ちがっ……食べられなくはないって言ったのよ!」
まぁ、レイラなりの照れ隠しなんだろうけど……。
確かに、師匠の作る料理は多少味付けが大雑把なところがあるが、決して不味くはない。まぁ、ところどころ焦げていたりするのだが……。それでも、あまり料理したことないという割にはよくできていると思う。
(まぁ、この機会に師匠が料理作れるようになれば、私の負担も減るかな……)
なんて考えたりして、
「分かりました。師匠に料理の作り方を教えてあげますよ。あと…後…片付けの仕方も」
「えー、後片付けはいいよ。クエルがやってくれるから」
「それが嫌だから教えるんですよ」
「ぶー、クエルのけち!」
「はいはい、けちでいいですから。ほらやりますよ」
私はキッチンの前に立つと、準備を始めた。その後に続いて、師匠もめんどくさそうにしながらもついてきた。
「というか、師匠は今まで何食べてきたんですか?五百年も生きてたら、料理くらいしてますよね?」
「んー、まぁ三日間ぐらいなら食べなくても死なないし……お腹が空いたら、村に行けば良かったからねー」
不健康だ!それ、ただの面倒くさがりな人ですよ……。
「とにかく、師匠はちゃんと料理を作れるようにならないといけませんね……」
「えー、めんどくさいよー。特に片づけが」
「つべこべ言わないでください。料理作れるようになりたいんですよね?」
私は何とか師匠を丸め込み、プチ料理教室を開始した。ちなみに、師匠に教える料理はオムライスだ。自分で作れるようになって欲しいから。
……で、先に結論から言うと思った通りでした。一応、形にはなってるけど……砂糖と塩を間違えたり、焦げていたりしていた。昔もとりあえずおなかに入ればいいやみたいな生活してたんだろうな。
(確かに、これは素直に美味しいとは言えないよね……)
師匠の料理作りは前途多難なようです。