とりあえず、家に連れて帰りました
一旦、レイラちゃんを家へ連れてきたのはいいものの……
「と、とりあえずなにか飲む?」
「……………………」
機嫌を損ねてしまったのか話すらしてくれません。
「あれー?クエル、お客さん?」
師匠が起きてきた瞬間、レイラちゃんが目にも留まらぬ速さで師匠に近づきカプリ、と首筋に噛みつき、そのまま血を吸い始めます。
チュウチュウ……チュウチュウ……
「ふぅ…危なかった。その…なんて言うか…ありがと」
と、ボソッとレイラちゃんは師匠にお礼を言ったが、当の本人は倒れていた。吸われ過ぎによる貧血だろうか。
「うわぁー!師匠、大丈夫ですか?生きてますか?」
「な、なんとか……ただ少し休ませて……」
師匠をベッドに寝かせ、そのまま話を続ける。
「まぁ、そんなことは置いといて……この子は誰?」
「あぁ、この子はレイラちゃんで森の中で迷子になってる所を拾いました」
「だから、迷子になんてなってないってば!散歩してただけだって!」
頑なに認めないなぁ……そんなに迷子ってことを認めたくないのかな。
「じゃあ、なんでレイラちゃんは森の中を散歩してたの?」
「うっ……そ、それは……その、家を追い出されちゃって……」
えっ!それって、捨て子?になるのか分からないけど、ダメじゃない?
などと考えていると、私の思考を察したように師匠が声をかけてきた。
「まぁまぁ、クエル落ち着いて。どうして、レイラちゃんは家を追い出されたの?」
「だから、子供扱いしないでってば!貴女も、どうせアタシより年下何でしょ!」
あ、聞いちゃいましたね…
「え?逆にレイラちゃんは何歳なの?八歳ぐらいかな?」
「んなっ!百歳よ、ひゃくさい!見た目だけで判断しないで!」
「そっかー、じゃあ私の方が年上だねー。私は五百歳なんだよー。見た目じゃ年齢は分からないねー」
と、師匠はニヤニヤしながら言っていた。我が師匠ながら、性格の悪いことだ……。
「それで、もう一回聞くけどレイラちゃんはなんでお家を追い出されたの?」
「そ、それは……」
「それはぁ?」
「…………から」
「え?聞こえないよー?」
そのくらいにして上げましょうよ……師匠
「女の人の魔力しか受け付けないから……」
意外にもすごく重い理由でした。