# 第二話「ドジっ子新人、現る!」
# 第二話「ドジっ子新人、現る!」
翌朝。
「おはようございます!」
店のシャッターが勢いよく開いた。
朝倉ひなたは、満面の笑みで飛び込んでくる。
「今日からよろしくお願いします!」
「よろしく。」
悠斗が笑顔で迎えると、父・正一は腕を組んで言った。
「まずは自己紹介だ。」
「はい!」
ひなたは深呼吸をして、大きな声で言った。
「朝倉ひなた、二十四歳! 家電修理が大好きです!」
「趣味は?」
「家電量販店巡りです!」
店内が静まり返る。
悠斗が苦笑いする。
「……ライバル店に通ってるの?」
「あっ!」
ひなたは口を押さえた。
「ち、違います! 勉強です!」
正一は大笑いした。
「正直でよろしい!」
---
仕事が始まった。
「まずは掃除から。」
「はい!」
ひなたは元気よくモップを持った。
しかし──
ツルッ!
「きゃあああ!」
そのまま滑って、モップを振り回し、
バン!
掃除機に当たり、
ゴロン!
掃除機が転がり、
ドン!
悠斗の足元へ。
「いたっ!」
「ご、ごめんなさい!」
正一はお腹を抱えて笑う。
「朝から店が賑やかだ!」
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そこへ電話が鳴る。
プルルル……
悠斗が受話器を取る。
「はい、さくら電器です。」
受話器の向こうから慌てた声。
「冷蔵庫が冷えないの!」
「すぐ行きます!」
悠斗は工具箱を持つ。
「ひなた、一緒に行こう。」
「はい!」
---
依頼主は商店街の八百屋、
**山田青果店**。
店主の山田さんは青ざめていた。
「このままじゃ野菜が傷んじまう!」
悠斗は冷蔵庫を調べる。
「コンセントは……」
刺さっている。
「ブレーカーも大丈夫。」
ひなたも真剣な顔。
「中を見てもいいですか?」
「どうぞ。」
冷蔵庫を開ける。
そこには──
野菜がぎっしり。
ぎっしり。
ぎっっっしり。
キャベツ。
白菜。
大根。
スイカ。
メロン。
とうもろこし。
ひなたが首をかしげる。
「……詰め込みすぎじゃありません?」
「え?」
「冷気が回らないです。」
「えぇぇぇ!」
山田さんは驚いた。
少し中身を整理すると、
ブォォォ……
冷気が流れ始めた。
「あっ! 冷えてきた!」
「故障じゃなかったんですね。」
山田さんは頭をかいた。
「恥ずかしいなぁ。」
---
帰り道。
山田さんは二人に袋を渡した。
「助かったよ!」
袋の中には、
新鮮なトマト。
きゅうり。
ナス。
悠斗は苦笑いした。
「また野菜が増えた。」
ひなたが笑う。
「今日の晩ご飯は決まりですね!」
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店へ戻ると、
正一が袋を見て吹き出した。
「また現物支給か!」
「今度はトマトです。」
「うちは八百屋になる気か?」
三人は大笑いした。
その笑い声を、店の外から誰かが見つめていた。
黒いスーツ姿の男。
彼は商店街の向かいに建設中の大きな建物を見上げる。
「もうすぐオープンだ。」
看板には大きく書かれていた。
**『メガライフ電器 岡町店』**
町最大級の大型家電量販店。
その店長・**黒川慎吾**は、小さな「さくら電器」を見つめ、静かにつぶやく。
「昔ながらの電気屋か……。」
「この町も、もう変わる。」
その言葉を、まだ誰も知らなかった──。
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## 次回予告
**第三話「大型量販店、襲来!」**
商店街に巨大なライバル店がオープン!
町の人々は次々と新しい店へ向かい、「さくら電器」はかつてない危機を迎える。
それでも悠斗は、「町の電気屋にしかできない仕事がある」と信じて立ち上がる。
笑いと涙、そして恋が少しずつ動き始める――。




