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第一話 「ようこそ、さくら電器へ!」

第一話

「ようこそ、さくら電器へ!」

「…今日も暇だなぁ。」

朝九時。

商店街にある小さな店。

さくら電器。

店主は二十六歳。

桜井悠斗。

父から店を継いで一年。

今日も店内は静かだった。

「お客さんゼロか…。」

暇なので掃除を始める。

十分後。

ピンポーン!

「いらっしゃいませ!」

飛び出した悠斗は満面の笑み。

「電球ありますか?」

「あります!」

「一本ください。」

「ありがとうございます!」

売上。

百五十円。

「……今日の売上、終了。」

悠斗はレジを見つめた。

「……泣いていい?」

すると奥から笑い声。

「そんな顔するな。」

出てきたのは七十歳の父。

桜井正一。

「昔なんて、一日電球一本の日もあった。」

「今もそうだけど?」

「そうだな。」

二人で笑った。

その時。

ガラガラッ!

勢いよく扉が開く。

「助けてくれぇぇぇ!」

近所のおじいさん。

田中さんだった。

「テレビが映らん!」

「わかりました!」

悠斗は工具箱を持って飛び出した。

田中さんの家。

「どれどれ。」

テレビを見る。

「壊れましたか?」

「昨日までは映った!」

悠斗は確認する。

電源。

アンテナ。

配線。

異常なし。

「おかしいなぁ。」

その時。

悠斗はリモコンを見る。

「あれ?」

テレビのリモコンではない。

「これ…エアコンのリモコンですよ。」

「……。」

「……。」

「テレビは?」

「そっちです。」

テレビのリモコンは座布団の下から出てきた。

ピッ。

ニュースが映る。

「映った!」

田中さんは大喜び。

「ありがとう!」

「いえいえ。」

帰ろうとすると、

田中さんが野菜を持ってきた。

「これ持ってけ。」

「えっ?」

「畑で採れた。」

「ありがとうございます!」

帰り道。

悠斗は笑った。

「修理代より野菜の方が多いな。」

店へ戻ると、

父がニヤニヤしていた。

「今日は売上より、大根が増えたな。」

「経営、大丈夫かなぁ。」

その時だった。

カランコロン。

鈴が鳴る。

店に入ってきたのは、

ショートヘアの女性。

工具箱を抱えている。

「すみません。」

「はい?」

「ここ、求人募集してます?」

悠斗は目を丸くした。

「え?」

「電気屋で働きたいんです。」

その笑顔に、

悠斗の時間が少し止まった。

(かわいい……。)

しかし次の瞬間。

女性は脚立につまずき、

豪快に転んだ。

ドガーン!!

店中に掃除機が倒れる。

父が一言。

「……うちにぴったりだ。」

店内は大爆笑。

こうして、

さくら電器に新しい風が吹き始めるのだった。

次回予告

第二話「ドジっ子新人、現る!」

工具を持てば落とす。

脚立に乗れば転ぶ。

なのに、なぜかお客さんには大人気!?

新人・朝倉ひなたが「さくら電器」の仲間になり、町はますます大騒ぎ!

笑いあり、恋の予感あり。

そして、さくら電器に最初の大きな依頼が舞い込む――。

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