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チェンジ・オブ・ペース  作者: 藤井 頼
12/18

game12 契約関係

今しがた月南るなの前で俺の彼女だと名乗ったこの子は、水瀬みなせ高等学校、1年小湊こみなとましろだ。俺との接点といえば図書委員会ということのみ。話をしたのもつい先日だ。


「いや、もしかして俺が鈍感で思わせぶりな態度を取ってしまっていたなら謝るんだけど…」


「そんなに焦らないで下さい。私たち、付き合ってませんよ?」


その言葉を聞いて安堵したものの、なら何故彼女のフリなんてしたのかと言う次の疑問が浮上した。


「先輩は本当に百面相ですね! わかりやすくていいですが、傷つく人も少なくないですよ」


よく分からないがクギを刺された気分になる。


「だってあのマネージャーさん、私の名前聞いたとき彼女だって思ってましたよね? 何か事情がありそうだし、永井先輩焦ってたから話合わせたんですよ!」


あぁ、そうゆうことか。って、めちゃくちゃ話がややこしくなってるー!!


「いや、何か空気を読ませてごめん」


「私は全然構いませんよ。でも私もいつのまにか巻き込まれちゃったので、ちゃんと事情を説明して下さいね」


というわけで、一旦保健室に行き昨日起こったであろう一連の流れを仕方なく彼女に説明する。たまたま保健の先生は出勤前で保健室に2人きりだった。


「なるほど、マネージャーさんのことが気になるけど幼馴染の情か本当に恋なのかわからないと。そして私は元カノに似ていて、話の流れで私が今カノに設定され誤解を解けないままでいるってことですか? なんとも思っていた以上に不器用な人ですね、先輩は」


「返す言葉もありません」


「で、どうするんですか? 先輩が説明出来ないなら私からマネージャーさんに話しましょうか?」


「いや、こればっかりは自分で解決を…」


これ以上、小湊さんを巻き込むわけにもいかない。でも今の月南が小湊さんは彼女じゃないと説明して納得してくれるはずもない。


「わかりました! 先輩は私と付き合ってみたらいいと思います」


「どうしてそうゆう話になるのかな? 余計と話がこじれてくよね?」


そうゆうと彼女はベッドに座る俺の横に腰掛けると一つの提案をしてきた。相変わらず距離感近めだなと思う。


「マネージャーさんのことが本当に恋なら、私と付き合ってもドキドキしたり抱きしめたいとか、キスしたいって思わないですよね? だからお試しで付き合ってみて確かめてみるんです。いわゆる契約みたいなものですね」


「キ、キスって!!」


「で、やっぱりマネージャーさんのこと好きってわかったら私とは契約解消。別れたってことにしたらいいと思います」


彼女は何を言ってるんだ? 好きでもない俺と付き合ってなんの得になるのか? それ以前に俺が好きでもない子とは付き合えない。お試しだったとしても、またあの時みたいに…


「いや、小湊さんも俺も好きじゃないのにそこまでする必要がどこに…」


「…先輩はもう忘れちゃったかもしれませんが…」


彼女は立ち上がると俺の前に立ち真剣な眼差しで俺を見た。


「私はずっと先輩のこと好きでしたよ」


そう言って小さな唇が俺の唇と重なった。

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