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第6話 本当の強さ

少し長いですm(_ _)m

「ヨッシャ〜!!遊びに行こうぜ」

ワタルやシノブ達は、1日の終わりを喜んだ。

「カラオケ行こうぜ。」

突然、カイが出てきて周りを驚かせた。

「いつの間にいたの?」

いつもの日常的な行動だった。


た〜け〜は、イスから立ち上がると

「わりぃ、今日はパスする」

そう言って、去っていった。


「最近付き合い悪いな」

シノブ達は、た〜け〜を見て言った。


「もしかして…」

後輩達は顔を見合わせると、ニヤニヤした。

「あいつ…もしかして1人で楽しい事してやがるな。実は、お菓子食べ放題のお店に行ってるとか」

カイは本気で思った。後輩達は、全員ため息をはいた

「カイ兄じゃあるまいし…あれは、女だよ」

後輩達は、た〜け〜に女が出来たと思いにやけた。


「いや、ただバイトか何かしてるんじゃないのか?」

タカシとリョウは冷静に話した。


「食べ放題だ」

カイは自分の思いを曲げようとはしなかった。



そんな訳で、みんなで次の日、た〜け〜ね後をついて行く事にした。

「しかし、こんな裏道に行って、やっぱり女とデートだな。た〜け〜も意外とやるな」

た〜け〜は、coolで女には冷たい男だ。しかし、後輩の中ではモテる方だったのだ。


「ここに食べ放題の店があるんだな。」

カイはまだ、食べ放題の店がある事を信じていた。


「それはいいけど、何でカイ兄は、そんな格好してるんだよ」

ワタルはカイの格好を見て突っ込んだ。緑のコートにスーツと。まるで、『踊る大捜査線』の刑事だ。

「おっ入ったぞ」

た〜け〜は、一つのビルに入った。

恐る恐るみんな入って行くと、目の前の光景に驚いた。


そこは、ボクシングジムだった。

「何で?」

と思ったら、着替えたた〜け〜が出てきた。

とっさに隠れ見る事にした。

大きなサンドバックをひたすらに殴りつけるた〜け〜。その一生懸命さに、みんな真剣に見ていた。


何も言わずにジムを後にした。

「驚いたな。た〜け〜がジムに通っていたなんてな」

カイはた〜け〜の意外な場面を見て嬉しかった。


「そういえば、た〜け〜の親父もプロボクサーだったよな」

「そうだ。昔に雑誌に乗っていたよな。」

シノブ達は、カイに説明した。

「まっ。何かに真剣になることはいいことだ。」

カイはた〜け〜を誇りに思い歩いた。



それから、一週間後。

た〜け〜には知らないフリをして、遠くから見守った。


夜、カイは家の用事で街にいた。

ふと、た〜け〜が通っているジムの前を通ると、た〜け〜がいた。

「ちょっと止まって」

カイは、運転手に言うと、た〜け〜の前に行った。

「カイ兄。」

カイはた〜け〜に、知ってる事を話した。

「そうか。知ってんだ。」

「しかし、お前見直したよ。やっぱり俺の後輩だな」

カイは笑顔で言った。

「別に…」

相変わらず、coolなた〜け〜だが、カイは嬉しかった。



次のひ。帰りの駅にいると

「大変大変!!」

またシノブが走ってきた。

「どうしたの?シノブちゃん」

カイは赤ちゃんに話すように聞いた。

「もう、キモイ。

そんな事よりさ…」

カイは、シノブの言葉に傷ついた。


「オレキモイのか…」


カイを無視しながらシノブは話した。

「た〜け〜のさ、通ってるジムなんだけど、乗っ取られるんだってさ。」

「どういう事だ?」

リョウは聞いた。

「よくは知らないけど、今月末には取り壊されるみたい」

「じゃあ、た〜け〜は何でまだ通ってるんだ」

みんな疑問に思った。


そんな時にた〜け〜が来た。

「何を話してるんだ?」

シノブ達は話した。

「ああ、知ってるよ。だから、通ってるんだ。」

全員わけが分からなかった。

「た〜け〜、お前もしかして…」

カイは急に、立ち上がり聞いた。

「オレが強くなって、あのジムを奪い取るんだ。」

た〜け〜は、そう言って電車に乗り行った。


「奪い取るって、1人で出来るのかな?相手は、大勢だよ」

ワタル達は、心配したがカイがいる事に気づいた。

「カイ兄。また助けてくれるんでしょ?」

シノブは、カイに話しかけると

「嫌だ。今回は手は出さない。」

そう言った。

「何で?た〜け〜が危ない目に合うとしてるんだよ?」

「これは、オレ達には関係ないからな」

カイは、そう言って離れて行った。


疑問に思いつつ、その日をあとにした。


その夜。カイは、青龍会の連中にあのジムの事を調べてもらっていた。

「若。これが買い手の奴らです。そして、コイツが主犯者です。」

一枚の写真を見せた。

カイは見て驚いた。

「これは…」

カイは写真を持ったまま震えた。

「しかし、コイツは今。行方がわからず、止める事は出来ません。」

ホッとしたが、カイは胸騒ぎがした。


次の日、た〜け〜を呼び出した。

「お前、本当に奪い取るつもりなのか?」

公園のベンチに座りながら、カイは聞いた。た〜け〜はゆっくりと深呼吸して話した。

「俺の親父さぁ、あのジムの出身なんだ。小さい頃に一回連れて行かれた事があるんだ。初めてよ、親父の強い所見たよ。かっこよくてさ、オレもなりたいって思った。

今どこにいるかも知らないけど、あのジムにいるとさ、いつか会えるんじゃないか?って思えるんだ。だから、何がなんでも、あの場所は守るんだ。」

た〜け〜は、胸の内を話した。

カイは、ぐっと拳を握ると

「しかしなぁ、強くなるって言っても…」

カイの言葉を割るように

「カイ兄達には、迷惑かけないよ。これでも、強くなったからよ。オレが1人でやってやる。」


カイは、悲しい目をした。

「た〜け〜、こんな事で強くなっても、誰も喜ばないぞ。痛い目にあうのはお前だぞ。こんなのは、強さじゃない」

カイの言葉を無視しながら、た〜け〜は歩いて行った。


「誰に何と言われても、力が強ければ、それでいいんだよ」

わかってもらえず、離れて行った。


そして、その日は来た。


「カイ兄。何やってんだよ。」

シノブ達は、カイに怒鳴った。

「何で止めに行かないんだよ。」

黙ったまんまのカイだ。

「もういいよ。オレ達は行く」

シノブ達は、た〜け〜のもとへ行こうとした。


「待ちやがれって言ってんだよ。」

あまりにも、怖い顔でカイは怒鳴った。

「今行って、た〜け〜は助かる。だが、そこで何が変わるんだ。力で止めたって、何も変わらねえんだよ。本当の強さは、力だけじゃない。」

シノブ達は返す言葉がなかった。



一方、ジムには数人の男達が来ていた。

「さっさと、渡しな。じゃないと痛い目にあうぞ」

高笑いして、ジムをめちゃめちゃにした。

「お前らを絶対に倒してみせる。」

ガンとしてた〜け〜は動かなかった。

「威勢のいい少年だが、容赦なくいくよ」

男達は一斉にた〜け〜を殴りつけた。

た〜け〜は、抵抗したが、勝てるわけがなかった。



二時間後。ジムはめちゃめちゃになり、た〜け〜は体中に傷だらけで倒れていた。

「弱い者は、おとなしくしておきな」

男達は、笑いながら去って行った。



場面は変わり、シノブ達はた〜け〜を待っていた。

そこにた〜け〜は来た。

ボロボロな体を支えながら、みんなに近づいた。


「大丈夫か?」

心配しながら、た〜け〜を支えた。

「参ったよな。何もできなかったなんてよ」

笑いながら、た〜け〜は言った。

「カイ兄の言うとおりだったな。オレ、力に溺れていたよ。力だけじゃなく、心も強くなければ、意味なかったな。ダサいなオレ…」

笑いながら、カイの前を通り過ぎた。


「バカ…」

カイは顔をあげ言った。

「泣くぐらいなら、これから強くなりやがれ。た〜け〜!!」

後ろを向きながら、た〜け〜は泣きじゃくった。

「わかってるよ。絶対強くなる。誰よりも…負けない…ぐらいに…今度は負けねぇよ。親父を超えてみせる…」

泣き声で叫んだ。


シノブ達は、初めて見るた〜け〜の涙に驚いた。


「さてと…あとは任せろ。」

カイは立ち上がると、どっかに行った。



ここは、た〜け〜のジムだ。

1人の男が笑みを浮かべながら立っていた。


その後ろにカイはいた。

「なぜだ。なぜお前が…」

男は振り向いた。

「これはこれは…青龍会の跡継ぎさん。鬼澤さん」

「てめぇ、息子が必死に守ってる所だぞ?」

この男は、た〜け〜の父親だった。

「あいつは、オレの息子だが、今はオレはここの新土地主だ」

そう、主犯者はた〜け〜の親父だった。

「なら、しかたないな。」

カイは、た〜け〜の親父と対立しようとした。


「まぁ待てよ。誰も、あんたらと対立しようとしてるわけじゃない。」

カイは、わけが分からなかった。


「実はよ…ここは狙われているんだ。だから、オレが買った方が、あいつが傷つかずにすむんだよ。」

ますます分からなかった。

「誰にだ?」

カイが聞くと同時に、銃声が鳴った。

とっさに身をまるくしたが、その前に、何かが被さった。


目を開けると、た〜け〜の親父がいた。

「おい!」

た〜け〜の親父は、銃弾を浴びていたのだ。


「あいつか?」

カイは走り、銃を持っていた男を殴りつけた。


そして、親父さんのもとにまた戻った。

「今待てよ。救急車を…」

カイが行こうとすると、親父さんは止めた。


「いいんだ。これで…

俺は、た〜け〜に何もしてやれなかった。あいつの姿をさっき見て嬉しかったよ。強くなってさ…」

今にも死にそうな声で話した。

「あいつは、てめぇを待ってるんだよ。生きて、あいつを誉めてやれよ」

カイは必死に叫んだ。

しかし、親父さんは首を振り言った。

「すまないと言ってくれ。それと、このジムはまだ買い取ってない。」

そして、一枚の権利書をカイに渡した。

「た〜け〜を頼むな」

静かに目を閉じ、息絶えた。





数日がたち、カイは本当の事を言えずにいた。

ジムは、元通りに再開して、た〜け〜は通っていた。


「カイ兄。」

カイの姿を見ると、た〜け〜は近づいてきた。


「よっどうだ?」

カイは明るくふるまった。


「今日すごい事聞いたよ。コーチがさ、あの事件の後に、ある男が来て『ここは、オレが守ってやる』そう言ったみたいなんだ。それがさ、親父だったってさ」

た〜け〜は嬉しそうに話した。

カイは、真実を知らないた〜け〜を見てると、胸が痛かった。


「親父、どこにいるかな?やっぱりすげーよな。オレが守れなかった所を守ったんだからよ。

早く会いたいな。

ねぇカイ兄、また会えるよな」

た〜け〜は、とびっきりの笑顔で言った。


カイは拳を強く握ると

「ああ、すげーよな。お前の親父は…

その親父を早く超えてゆけよ。そうすれば、また会えるさ。」

必死に笑顔で言った。


「オレ、超えてみせるよ。親父を…

そしてまた、大切なものを守るんだ。今度は心も鍛えてな。」

た〜け〜は、今まで見せた事ない笑顔で答えた。

純粋な子供みたいに。




その夜。カイは1人公園にいた。

ケータイを取り出しリオの番号を押した。


「もしもし?」

リオは元気に出た。

「リオ…」

声を聞いた瞬間カイの中で何かが切れて泣いた。


「カイ?どうしたの?」

「オレ…今日ウソついた。た〜け〜によ。親父に会えるなんてさ…オレ…ウソついたんだ。あいつの…悲しい顔なんか…見たくなくてよ…ダメだよな…」

カイは、声をつまらしながら言った。

内容を少しわかるリオは

「そっか…カイは悪くないよ。た〜け〜のためについたんだからさ。大丈夫だよ。ね?」

カイはリオの優しい声に安心して泣き続けた。


夜の公園には、カイの切ない泣き声だけが聞こえた。



一週間が過ぎ、また変わらない毎日が始まった。


「ヨッシャ〜。遊びに行くぞ〜」

またカイの元気な声が響いた。


「ったく…いつもうるさいよな」

ワタルは、耳をふさぎながら言った。


た〜け〜は、ふと笑うと

「うるさいな。バカだし子供っぽいし…でも、最高の兄貴だよな」

そう言って、coolに歩いて行った。


その言葉に、後輩達やリョウ達は驚いた。


「オレらの、最高の兄貴だ」

た〜け〜は心の中で思った。

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