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007 人と魔族



「謝らないからな」


 そっぽっを向いままたギンカは言う。

 謝らないという割には、後ろめたそう顔をしてちらちらと僕の様子を見ているところを見ると、反省はしているらしい。

 こうなった原因の大半は僕にある訳ので、ギンカが気に病む事ではないと思うのだが。


「まあ、悪ふざけが過ぎた事は謝るよ」


 そう言って僕が頭を下げると、ギンカは更にばつの悪そうな顔をしたが、僕は指摘せず話を続ける。


「それで、良かったらそろそろ真面目な話をしようと思うのだけれど、いいか?」

「え? あ、うん」


 ギンカはコクコクと頷く。

 その様子を見て微笑ましいくもあったが、逆に後ろめたい気持ちにもなったが、


「ギンカはここにいつまでいるつもりなんだ?」


 僕は、ここまで避けていた話を切り出した。


「そ、それは・・・」

「分かっていると思うが、今回は僕が来たのは君にとってはラッキーだったとしか言いようがない。魔族と言うだけで迫害されるなんてよくある事だと聞いている。

僕は田舎者だから実際に見た事は無いけれど、ここらの城下町・・・例えばグレルリア王国なんかでは魔族を奴隷にする事が流行っているとも聞いた。

まあ、この噂が本当かどうかは知らないけど」

「・・・・・」


 僕の言葉をギンカは青い顔をして聞いていた。特に、グレルリア王国という言葉には露骨に反応を示した。

 ・・・・・・・・・。


「金は持っているのか?」

「・・・・持ってない」

「そうか」僕は懐に入れておいた袋を取出し「ほれ」それをギンカに投げた。


「うわ、ちょっと!?」


それをギンカは慌てて掴む。


「開けてみろ」

「?・・・ !! な、なんだよこの大金!?」

「お前の取り分だ」

「と、取り分!?」


 ギンカは袋の中身と僕の顔を何度も往復するように顔を振る。


「取り分ってなんだよ!?」

「取り分は取り分だ。今回の僕に依頼された魔物退治の」

「ま、魔物なんてここにはいないだろ?」

「確かにそうだが、幸か不幸かギンカが追い払ったという二人組の男達が分かり易く化け物に出会ったと証言しているらしい。

 確かに魔物はいなかったが、いたという事実が出来上がっている訳だ。これを利用しない手は無い。このまま村に帰って退治してきたと言えば、村の奴らは信じるだろう。

 そうすれば僕は10000ガルが手に入る。

もしも、証拠を見せろと言われたら場合はすぐにでも君にここから出て行ってもらって無人になったこの洞窟を見せればいい。まあ、そんな度胸を持った奴がいるとは思えないが」

「・・・・」

「いやか? それならそれは返してもらう」


 そう言って僕が手を差し出すと、ギンカは迷うように手に持った袋を小さく上げ下げを繰り返す。

 そうして、彼女は僕の予想とは逆に、


「返す」


 そう言って、僕の手に5000ガルの入った袋を乗せた。


「・・・金額に不満があったのかい? なら、15000の半分7500ガルでならどうだい?」

「そうじゃないんだ!」


 涙を目尻に溜め、犬歯をむき出しにしてギンカは吠える。

 その迫力に、僕はたじろいだ。


「トウヤは分かってないんだよ!!」

「な、何が分かってないっていうんだ?」


 僕は堪らずそう尋ねる。

 いや、尋ねてしまった。


「私がこんな人間ばかりの土地でお金を貰ったって何にも出来ないんだよ!!」


 その答えは、人が魔族をどれほどまでに嫌悪しているかを僕に教えるにはあまりに衝撃的過ぎた。


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