表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/26

第18話 愛人が隠した婚礼通知

セリーヌは最後まで、涙で片づけようとした。


「わたくしはただ、困っている人のお手紙を集めていただけですの。運び方まで管理していたわけでは……」


「では、この婚礼通知も偶然ですか」


 私は彼女が同封してきた写しではなく、文通会倉庫から押収された原本を机へ置いた。差出人はユリウス、宛先は郵政省上層部数名。内容は『エルマ・シュタールとの婚礼は急使便不祥事により中止、新たにセリーヌ・アルヴェとの婚礼を進める』。


 日付は、私への婚約解消届より前。


「つまりあなたたちは、私へ正式通知を出す前から婚礼差替えを進めていた」


 次に示したのは、慈善文通会の仕分け帳だ。そこには『要隔離』の印と共に、私宛て私信、北辺年金申請、そして私の婚礼関係書類まで同列に並んでいた。


「便種が違うものを同じ基準で止めています。あなたは“読まれて困るもの”を拾っていた」


 セリーヌの唇が震える。


「だって、ユリウス様はわたくしを選んだのに、あなたの周りにはいつも仕事の人がいたでしょう! 手紙まであなたの味方をするなんて、ずるいじゃない!」


 あまりに身勝手な本音だった。


「手紙は味方なんてしません」


 私は静かに返す。


「差し出された先へ届くだけです。途中で選別していたのは、あなたたち」


 聖女ぶった女の仮面が、そこでようやく崩れた。監査会長は慈善文通会の即時業務停止を言い渡し、セリーヌへも不正関与の調査命令を下す。


 拍子抜けするほど、終わりはあっけなかった。長く苦しめられた嘘ほど、証拠の前では案外弱い。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ