表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

16/40

第16話 王都郵政監査会への帰還

王都へ戻る馬車の中で、私は証拠箱を膝に抱き続けた。


 中には未着私信、廃印一覧、料金所跡小屋から出た郵袋札、受取票、脅迫状、そして燃え残った急使便確認票の切れ端。全部、途中で止められたものの痕跡だ。


 王都郵便監査局の裏口で待っていたグレーテは、箱を見るなり鼻を鳴らした。


「よくここまで揃えたわね」


「止められていたぶん、残っていたので」


「皮肉ね」


 監査会の場には、局長、郵政省次官、印章係、軍務連絡官、そしてユリウスとセリーヌまで揃っていた。私を見る目に、以前の見下しはない。代わりに警戒がある。


 私は最初に未着一覧を広げた。


「北辺から王都へ届かなかった公文三十二通、年金関連十七件、私信二十一通。すべて料金所跡小屋または隠し箱から回収しました」


 続けて、配達整理記号と廃印一覧を並べる。


「差替え指示の略号、旧型印章、受取票の偽造印。この三点は、ユリウス・フェルデン係の管理下でしか扱えないものです」


 ユリウスが立ち上がった。


「証拠にならない。係内では共有されていた」


「では、こちらはどうですか」


 私は私信の箱から一通を出した。三年前の手紙。差出人は亡父の従者。封筒の開封跡の脇に、ユリウス特有の筆圧で日付メモが残っている。私に渡す前に、内容確認のため自分で開けた証拠だ。


「婚約者の私信まで係内共有で開けていたんですか」


 場がざわめく。局長の顔色が変わった。


 私はさらに燃え残りの切れ端を置く。


「婚礼前夜に焼かれた急使便確認票です。これと同筆跡の追記が発送簿控えに残っていました」


 記録は揃った。あとは相手がどこまで崩れるかだけだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ