(4)
「君が、いじめを受けてて、補修の宿題を全部やらされてる訳だね?」
「い……いえ……ち……違いま……」
「じゃあ、何で、この前、君を含めた複数の生徒が、補修の宿題で同じ間違いをしてたの?」
「え……えっと……ですから……その……」
「『補修の宿題を手分けしてやってるからです』って言いたいのかな?」
た……たすかった……福田は、まだ正気だった……。
「うん、僕も、この高校の生徒だった頃、似たような事をやってたよ」
「はい、その通りです。すいません、心を改め……」
「残念だったね。ここで、下手に罪を認めたら……君が全部悪い事にされる。君へのいじめは更に悪化するよ」
「えっ?」
いや、何なんだよ、これ?
「君がいじめられているのは明らかだ。僕は君をいじめっ子から守りたいんだ……」
おい、何を言ってる?
たのむ。
いつもの福田に戻ってくれ。
おねがいします、ガタイはクソ良いのに、気は異様に弱い、ボンクラ教師に……戻って……おねがいします。
「待てよ……君の口から言ってもらう必要は無いんだ」
へっ?
「携帯電話を出して」
なに? どういう事?
「通話やMaeveの履歴を見れば手掛かりはつかめる」
「ちょ……ちょっと待って……下さい、それ、プライバシーの侵害……」
「わかってくれ、きみをまもるためなんだ」
「いや、ですけど……」
「わかってくれ、きみをまもるためなんだ」
「あのですね……先生……」
「わかってくれ、きみをまもるためなんだ」
駄目なSFものに出て来るブッ壊れたアンドロイドみたいに、ニコニコとした……けど「顔に貼り付いてる」って感じの不自然な表情のまま、延々と同じ台詞を繰り返し続ける福田。
だめだ……たすけて……だれか……おれを……このくるったせかいから……たすけて……。
「だいじょうぶ、ぼくがきみをまもるから……」
だから、だれでもいいから、あんたから、おれをまもってほしいんだよ……。




