46、ハヌマン
†
ゴアアアアアアっ!!
巨大な体格の獣人たちが次々と襲い掛かって来る。その手には槍や剣の他にも、自らの角や爪を振るうものさえいるようだ。
すでに、俺の周りには8人の屈強な獣人たちが倒れている。しかし、まだ10人以上の獣人たちがやる気満々で挑みかかって来る。その膂力は普通の人間をはるかに凌駕する。そして、素早く連携も取れた攻撃が間断なく繰り出されていく。
ガアアアアアアアアアっ!!
俺は襲い掛かって来る獣人たちの首筋に手刀を落としていく。すると、糸が切れた人形のように倒れていく。
あがっ!!
うぐっ!!
新たに2人の獣人が倒れていく。
業を煮やしたのか俺の戦いを見ていた一際大きな獣人がのっそりと俺の前までやって来た。
「どけどけどけいっ!!俺が相手になってやるっ!他のヤツは手を出すんじゃねえぞっ!」
鋼鉄製の棍棒を頭の上で振り回している。うわっ、三国志のリアル張飛みたいなのが出て来たよ。それなのに、ネコミミって……トラネコ?あ、虎の獣人か。周りの獣人たちも息を飲んで俺たちの戦いを見守っているようだ。
ん?何この状況って?それは今から1時間ほど前にさかのぼる。
†
「まだなの?もうすぐ着くっていってからかれこれ1時間ほど歩いてるんだけど。」
ガラハド大森林帯の植生は謎い。針葉樹林が続いたと思えば、広葉樹、そして、今は熱帯雨林のジャングルのようだ。俺は、馬から下りて道なき道を進んでいるのだ。気分は昔のヒーローがやっていた探検隊の気分だ。道案内に一人のエルフの少年がついて来ている。ちなみにメンバーは俺とエルフの少年クリン、それから自称俺の弟子のミコトの3人。
俺たちは、今、〝十長老”からガラハド大森林帯にある有力集落に氏族連合を呼びかける書状を持って、獣人最大の集落ハヌマンを目指しているのだ。
アイリたちは別の集落に向かっている。サフィーナとノアがついて行っている。で、居残り組がクロ子とダイチ、アヤノだ。あいつら絶対喧嘩してるんだろうな。
「あ、はい。そろそろ小川があるはずなんですけど、おかしいですね……迷ったかな。」
「……って、おーい!!それ、もうちょっと早めに教えてくれるかなっ!!」
クリンは悪びれる様子はなく、なぜか照れたように頭をポリポリと掻いている。
「あはっ♪救世主様としゃっべっちゃったよ~♪えへへへ~。」
「ちょ、ちょっとクリン君。しっかりしてくれないと困るんですよ。変な虫がいっぱいいるから僕もそろそろ限界ですよ。」
うん。なんでこの人選したんだろうな……。
ん?気配感知に反応がある。人?こっちに向かってくる。
「おい、お前ら。誰かがこっちに来る。クリンは危なくなったら隠れてろよ?」
「うわわっ♪名前呼んでもらっちゃった~~♪」
大丈夫か?こいつ……。
ガサガサっ
目の前の下草が揺れ、一人の獣人が現れたのだ。ネコミミを持つ少女だった。俺と同じくらいの年ごろだろうか……。彼女は手には弓を持ち、こちらに矢を向けている。
「何者だっ?ここはハヌマンの領域だっ!今すぐ立ち去れっ!!これ以上、警告はしないっ!!」
さらにギリギリと弓を引き絞る。
「良かったですよ。ハヌマンの人に出会えて、これで何とか仕事を果たせそうですよ。」
ミコトの顔が緩み、近づこうとする。その瞬間、ミコト目がけて矢が放たれ、足元に突き刺さる。
「これ以上近づくなっ!人間めっ!!」
兎獣人の少女は噛みつくように言い放つ。一応、看破してみるか。
――――――――――――
■ステータス
名前/テト
Lv.7
種族/虎獣人 年齢/17歳 職業/ハヌマンのレンジャー
HP 190/190
MP 75/75
腕力 175
体力 200
敏捷度 200
器用度 195
知力 90
精神力 80
装備:野獣の革鎧 龍骨の弓
スキル
ユニークスキル【身体強化】
-スキル【弓術/Bランク】【短剣術/Cランク】
-種族スキル【咆哮】
――――――――――――
歳の割にはしっかり戦えるようだ。レベル的にはエイラムにいた騎士では勝てないだろう。
「俺たちはエルドランからやって来た者だ。族長へ書状を預かっている。できれば、ハヌマンの集落まで案内してほしいんだが……。うちの道案内がちょっと迷っちゃってね。」
俺は懐から書状を出し、肩をすくめる。
「書状の中身は何だ?」
「うーん、さすがにここで開けちゃマズイだろう。これは族長宛てだ。だた、この書状に押された、この印がエルドランの代表が持つことが許される印章だ。」
「ふんっ!そんなものニセモノかもしれないだろう。それに、エルドランはエルフの集落のはずだ。なぜ人間がそれを持っている?」
「エルドランで色々あって族長が変わってね。その時、俺が活躍しちゃったもんだから、俺が代表でここに使わされたんだ。なら、これならどうだ?」
俺はもしもの時にと預かった印章が縫い込まれたハンカチを取り出した。
「そ、その印章はトータティス様のっ!!」
うわぁ……族長より有名人なんだな。あの人。
「信じてもらえなかったらこれを見せろとトータティスさんに言われたんだが、信じてもらえたか?」
「失礼しました。それでは今からハヌマンの集落にご案内します。」
よかった。信じてもらえたみたいだ。口調も丁寧になったし、険悪な雰囲気は消えたようだ。
「いや、エルフの集落の代表者が人間なら不審がるのも当然だからな。改めて、自己紹介しておくな。エルドラン代表として来たユウマだ。こちらは残念な道案内のクリン、でこっちがミコトだ。」
「わっわっわ~救世主様が僕の名前を呼んでくれた~~。」
「僕は師匠の一番弟子のミコトですよ。」
クリン、いい加減に慣れろよっ!!って、ミコトは弟子じゃないしっ!!
「きゅ、救世主様?い、いや何でもない。私の名前はテトだ。」
そういうと、俺たちに背を向けて歩き出したテト。ハヌマンの集落には5分とかからず到着したのだ。俺はクリンをジト目で見ていたが、目を合うと照れるクリン……はぁ……もう、いいわ。
ハヌマンの集落はかなりの大規模集落だった。トータティスさん曰く、1万人以上の獣人たちが生活しているそうだ。高い見張り塔が6つ周囲にそびえたち、その周囲に堀が掘られている。防壁というほどのものはなく、簡素な木の柵がある程度だ。中には、ドーム状のテントのような住居が点在している。
俺たちはその中でも巨大なテントに通された。普通の屋敷よりも巨大かもしれない。
「ほう。おめぇさんがエルドランの使者ってことか。俺がハヌマンの族長、コウシンだ。まずは書状ってのを見せてみな。」
出迎えたのは山のような巨体の老人だった。赤ら顔で全身を白い体毛が覆っている。イメージするなら白いゴリラ。おそらくサルの獣人なのだろう。後ろには、これまた屈強な獣人たち。野牛、獅子、象、虎、鷲などそれぞれの動物の特徴をもつ獣人が居並ぶ。
「エルドランの使者、ユウマと申します。こちらがエルドランの新族長ハウザーより預かってまいりました書状でございます。」
俺は懐から書状を取り出し、進み出て渡そうとすると、脇に控えていた痩身の獣人が代わりに書状を受け取り、族長コウシンンへ手渡した。
「なになに……ほぅ、中にはトータティス殿の手紙も入っておるな。むぅ……うーん……そうか……ファルスが……なるほどな。」
書状に目を通しながらブツブツと呟きながら、コウシンは鼻をポリポリと掻いている。
「よし、ちょっと場所を変えようか。前の広場に腕自慢を集めろい!ちょっとユウマとかいうエルドランからの使者をボコボコにするぞ!」
「そうですか。わかりま……はっ!?今、俺をボコボコにすると聞こえたんですが、ハヌマンの方言か何かですか?あ、『歓迎する』がボコボコっていうんですね。面白い表現です。」
「ん?ああ、まぁ歓迎の意味もあるが、物理的にボコボコにするのは同じだぞ!」
コウシンはニコニコしながら、獣人たちに準備を指示している。
「はぁぁぁぁっ!?」
と、まぁ、こんな流れで冒頭部分に話は戻るのだ。
†
おわっ!? よっと!
俺は今、鋼鉄の棍棒を寸でのところでよけ続けている。しかし、相手も次第に棍棒を振るスピードが上がってきている。俺を試しているのか?轟!と凄まじい唸りをあげながら、俺の顔があった場所を棍棒が通り過ぎる。
あれ、当たったら痛いんだろうな。ん?看破!
【アダマンタイト製の棍棒】:レアランクC。表面は鋼鉄で仕上げられているが、そのほとんどがアダマンタイトで作られている。総重量は100kgを超え、常人では持ち上げることも難しい。
――――――――――――
■ステータス
名前/バルバス
Lv.11
種族/虎獣人 年齢/40歳 職業/ハヌマンの戦士長
HP 300/300
MP 75/75
腕力 200
体力 230
敏捷度 195
器用度 145
知力 90
精神力 100
装備:虹蛇の鎧 アダマンタイト製の棍棒
スキル
ユニークスキル【身体強化】
【棍棒術/Aランク】【斧術/Bランク】【弓術/Cランク】
―種族スキル【咆哮】
――――――――――――
いやいやいや、あれを持ってきてる時点で俺を殺しに来てるよね!?しかも、レベル高いし!
それでも、俺のスピードにはまだまだ余裕がある。ついに巨躯の虎獣人の棍棒を振るスピードが上がらなくなる。これが限界ということか。そして、獣人の顔が引き攣りながら笑顔を作るという、小さい子が見たら泣き出してしまうような凶悪な顔になっている。
俺は、獣人の懐に入り込むと胸に肘打ちを入れる。動きが止まった所で背後に回って頸動脈を締める。
10秒ほど力を入れ続けると、獣人の力がだらりと抜ける。俺は、丁寧に地面に獣人を横たえ、周囲の獣人たちを【威圧】を込めて睨み付ける。すると、たまらず獣人たちは膝をつき、立てないでいる。
「むぅ……そこまでっ!!」
ここでようやく族長コウシンから終わりの合図が告げられる。
「族長さん、これはどういうことだっ!エルドランと友好的だと聞いたが、氏族連合の話には反対ということでいいんだなっ!!」
「ん?何の話だ?氏族連合の話はもちろん賛成だぞ?」
「はぁっ!?じゃあ、なんで皆で襲い掛かって来たんだよ!?」
「なんで?なんでかって……そりゃ、お前が強そうだったからな。でも、本当に襲うなら弱そうなそっちのエルフの坊やからやっている。」
コウシンは、俺の戦いぶりを見ていたクリンとミコトの方を顎でしゃくる。あぁ……言われてみれば、そうだけど……獣人って皆こんな脳筋なヤツらだっけ?ガート村のアゴラとペギーなんかはそんなことはなかったが……
「さすが救世主様ですっ!!獣人さんたちが手も足もでなかったなんてっ!!」
おい、クリン。今、周りの獣人からものすごーく睨まれているぞ?俺、知らんからな。
「師匠っ!勉強させていただきましたですよっ!!」
だから、ミコトは弟子じゃないっての。
「いやいや、悪かったな。ハウザーってエルドランの新族長に、お前がものすごく強いヤツだって書かれてたからよ。本当かどうか試させてもらった。なんでも精霊王の分体を退治したんだって?すげぇな。それに、タイタスの巨孔の再封印もやっちまったてな。いやはや、大したヤツだな。」
はぁ……ハウザーさんも人が悪い。ハヌマンの族長がこんな人だって教えてくれても良かったのに……
「まぁ、解ってもらってなによりです。で、先ほど氏族連合には賛成と言ってましたが、そんな簡単に決めちゃってもいいんですか?他の人たちと話し合うとか、集落の皆に是非を問うとか……」
「はっはっはっは!!まぁ、獣人は本能的に強いヤツに従うからな。今の戦いを見た連中は、お前……ユウマだったな。ユウマの言う事なら大抵聞くんじゃないか?ほれ、あのぶっ倒れてるデカイ虎獣人なんか、お前のことに服従するんじゃねぇか?」
うん、思ってた以上に脳筋な連中だな。服従ってまんま動物かよ!まぁ、話が早くていいっちゃいいんだけど……
「ま、まぁ、俺としてはハヌマンが協力してくれるなら心強いです。他の獣人の集落にも協力のお声かけお願いします。」
「んあ?まぁ、適当に声かけとくから任せとけって!で、この書状に書かれている『蘇生薬』ってのはマジもんか?すげぇな。異世界人ってのは何でもありなんだな。あ、そうだ!ユウマ。お前を見込んで頼みがあるんだが……。」
ん?頼み?なんだろう……
「俺にできることであればお手伝いさせてもらいますが、何です?」
「師匠ならどんな問題でもちょちょいと解決ですよ!」
こら、ミコト余計な事をいうなっ!
「それは心強いな。ところでユウマ、竜人って聞いたことあるか?」
「ええ、たしかエイラムの冒険者ギルドのマスターがそうだったと思います。めちゃめちゃ強かったですけどね。」
まぁ、今なら何とかなるだろうけど、空は飛べるしブレスは吐けるし、厄介なことに変わりないだろう。
「おう、なら話が早いな。ガラハド大森林帯の深奥部にこの竜人集落があってな。言うなれば獣人にとって上位存在に当たるんだ。エルフにとってのハイエルフのようなもんだ。ここに御伺いを立ててみないとな。ガラハド大森林帯全体を国とするなら、竜人の許可は避けては通れないだろうしな。でもな……かなりの偏屈な人たちだ。この集落にユウマたちも挨拶に行ってほしい。もちろん、俺もついて行く。」
「わかりました。その深奥部というのは、ここからどれほどかかりそうですか?危なそうなら、クリンとミコトはエルドランに帰さないといけないので……。」
「むぅ……まぁ危険だわな。ここから歩いて3日ってとこか。言っておくが馬や乗り物は使えねぇからな。一応、ハヌマンの強者を一人護衛につけるが、ユウマほどの者はいねぇからな。」
3日か……エルドランからハヌマンまでも3日、一度、ハヌマンの協力を得たことを伝えるため返して方がいいだろう。
「ミコト。お前はクリンを護衛してエルドランに帰れ。」
「そ、そんなっ!師匠っ!!僕は何があっても師匠について行くですよっ!!」
「むぅ……でもクリン一人、ハヌマンに置いていくわけにもいかないだろうが!」
俺たちが言い争っていると、コウシンが割って入る。
「ユウマ、それならバルバスを護衛につけてそのエルフの坊やを送らせよう。それに、その坊やには、俺からの書状を持たせればいい。ハヌマンは氏族連合に協力するってな。おい!バルバスっ!いつまで寝てるんだっ!」
なるほど、書状を書いてもらえるなら話が早い。最悪、エルドランにいるクロ子に意識を飛ばしてハウザーさんに伝えてもらおうと思ってたが、これなら問題ない。
俺が締め落としたデカイ虎獣人バルバスが、むっくりと起き上がる。
「ん……んあ?俺は……寝ちまったのか……あれ?族長。どうしたんです?」
「ボケっ!お前はユウマに負けちまったんだよ!で、お前はそこのエルフ坊を明日、エルドランにまで送っていくんだよっ!!」
「えぇぇっ!?負けたんですか?俺……そうか。負けちまったか。ふぅ……なら俺はあの人間に服従す……べがあぺぽっ!!」
「ゴチャゴチャ言ってねぇで宴会の準備だっ!!ほれっ!!さっさと動けっ!!」
うん、このバルバスってアホだな。にしても、コウシンは豪快な族長だな。あの巨体を持つバルバスを吹っ飛ばしてるぞ……
「すまねぇな。ユウマ。今日はハヌマンでゆっくりしていけ。お前の戦いを見た女から猛烈なアプローチがあるかもしれねぇがなっ♪ワシャッシャッシャッ!!」
マジか……それは、楽しみ……いやいやいや、ダメだダメだ。俺にはアイリという大切な人が……。にしてもコウシン、なんちゅうゲスい笑い方してるんだよ。
その後、俺たちは改めてコウシンから歓迎の宴に誘われる。俺の前には引っ切り無しに獣人たちが押し掛けてくる。うーん……いや、期待してたわけじゃないんだよ?
でもな……
なんで押し寄せるのが野郎ばっかなんだよっ!!やれ、戦い方を教えてくれとか、武勇伝を聞かせてくれとか、どんな流派なのかとか……しつこいんだよっ!!一応、奥の方で、俺に熱い視線を向けてる女の子たちもいるんだよ?でも、それを押しのけて、ムサい野郎たちがわんさかやって来るのだ。
「い、いや、今日はゆっくりさせてくれ。それに、エルドランとハヌマンが協力関係になればいつだって行き来できるんだ。その時になったら、いつでも教えてやるさ。」
俺が何か話すとその都度、目をキラキラさせる野郎たち。もう無理、【威圧】を軽く込めて近づいてくる野郎たちに向けて放つ。すると、フラフラと千鳥足になって立てなくなってしまう。まぁ、酔っぱらったと勘違いされるだろう。
「あ、あの……ユウマ様。」
ようやく野郎地獄から解放された後、女性の声に名前を呼ばれ、振り向くとテトが立っていた。ハヌマンに案内してくれたネコミミ少女だ。
「ん?ああ、テトさんか。どうしました?」
「お、恐れ多いでござりまする。さん付けなんて、普通に話していただいて結構で、ござる?」
かなり恐縮して変な口調になっている。ござるってどこの武士だよ!
「それならテトも普通にしゃべりなよ。慣れないのモロバレだよ?」
「あぅぅ……」
なに、この反応、カワイイ……い、いや、いかんいかん。
「で、俺に何か用事か?」
「ああ、竜人に会いに行くと聞いて、私もついて行きたい。その……父を……バルバスを打ち負かした相手だから。興味が湧いた。」
へぇ……テトはバルバスの娘さんだったのな。全く似てないな。それにテトの耳はネコミミではなく、厳密にはトラミミだったのか。まぁ、気持ち肉厚で丸っこいかな?よく解らん。
「あー!ユウマ様、聞いてくださいよ。テトったら恋人はバルバスさんより強い男がいいってずっと言ってたのー。」
ん?誰?見るとキツネか?フサフサの尻尾を持つ獣人の女の子がテトを後ろから抱きしめていた。
「こ、こら!マリアン!ユウマ様に変な事言うなっ!」
「えぇー、だってだっていっつもテトってば、愚痴ってたじゃん。当分恋人できないーって♪チャンスだよー。応援してるからねー♪」
「マリアンっ!!だからユウマ様に聞こえてるっ!!ユウマ様、な、なんでもないからっ!本当に、マリアンはちょっとおかしい子だから……」
「えー、ひどくなーい?あ、そっかーマリアンお邪魔だったねー。じゃ、頑張ってねー♪私、あそこの木の影でしっかり覗いてるから安心してー♪」
「えっ!?いや、すまない。邪魔じゃないから……って覗くんかいっ!!あぁ……行ってしまった。」
な、なんだ、さっきの野郎地獄から一転、ラブコメ空間……いや、それにしてもテト、ナイスツッコミ。マリアン恐ろしい子……あれは、完全にテトで遊んでるよな。まぁ、いい子そうではあるけど。
「俺は気にしてないぞ。でも、危険らしいぞ?そこそこ戦えるみたいだけど、大丈夫か?」
うはっ……しっかりこっち見てるよ。あのマリアンって子。
「ああ、大丈夫。自分の身は自分で守れる。だから……」
「解った。何かあったら俺が守ってやる。一応、お前の父さんと族長さんにも断りを入れておけよ。」
「解った。ありがと。今から聞いてみる。」
そういうと、テトはコウシンの所に向かっていった。
あぁ……マリアンがオーバーリアクションでガッツポーズしてるし……
「ユウマ殿……でよかったか?いやぁ、強いな。あんた。俺はバルバスってんだ。最後のはどうやったんだ?俺を眠らせたらしいが、魔術か?」
「いや、あれは体術の技の1つだ。バルバスでも使えるぞ。」
「おぉ!すげぇ!教えてくれよっ!!俺もアレをやってみてぇんだ!」
「ん?いいぞ。まずは……」
俺はバルバスに締め技を教え込んだ。頸動脈の位置さえ分かれば、あとは正確に押さえることができれば、人は簡単に落ちる。脳に酸素がいかなくなるからだ。首が太いとか筋肉の太さで落ちにくくはなるが、決まれば、力の差など関係なく意識を奪うことができる。
プロレス技でもスリーパーホールドなどがいい例である。決まれば眠るように落ちてしまう。この他に、三角締めや肩固めなど、足や肩、相手の腕を使った方法をバルバスに教え込んだ。
あ、バルバスに【体術/Cランク】が付いたな。【教育者】が機能したようだ。
「おぉ!!すげぇっ!!これで俺はまだまだ強くなれるってことか!!こりゃめでたいなっ!!ユウマ!!お前は最高だっ!そうだ!俺の娘を、テトをお前の嫁にやるっ!!なかなか美人だぞ!!」
「へっ?」
なにぃーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!
最後まで読んでくださってありがとうございます。




