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22、夢の装備品!

 †



 翌日、再び3人で買い物に出かけた。もちろん3人とも黒いマントを纏っている。今日は『バミリア皮革店』のシムラーに教えてもらったお店を回るつもりだ。宿り木亭のリリーさんにはすでに1週間分の宿代を支払っている。当分、このエイラムを拠点にブラブラとするつもりだ。


 中央通りから脇にそれた職人街をしばらく行くと、お目当ての店『バミリア衣料品店』『バミリア武具店』が並んで営業していた。


「あ、ユウマー。あったよ。あのお店だよー。」

 サフィーナがお店を見つけて走り出す。

「あんまり走るとまた人の足踏んだりするから気をつけろよー!」

「わかってるってー。」

 テテテテーと走っていき、ドンとお店の前に立っていた人とぶつかる。わざとか!!

「ごめんなさいー。」

 サフィーナがぶつかった相手に謝っている。

「すみません。俺の連れが失礼なことをしてしまって。」

 俺も慌ててフォローに入る。前みたいな失敗はしたくないからな。

「いえいえ、こちらこそぶつかってしまって申し訳ない。お嬢ちゃん大丈夫だったかい?」

 ぶつかった相手はドワーフのようだ。そして、シムラーに似ている。というかほぼシムラーだ。

 違うのは顎鬚の編み上げ方くらいだろうか。シムラーは顎鬚を二つに分けていたが、この人は太い一本の束にして編み上げている。

「うん。大丈夫……ん?シムラー?」

 サフィーナも気付いたようで、不思議そうに目の前のドワーフにシムラーの名前を出している。

「あぁ、シムラーを知ってるのかい。あれは私の弟だよ。私はカムラー。この店の店主をしてるんだよ。」

「そうでしたか。私たち、シムラーさんにお店を紹介されてきたんです。」

 アイリがカムラーさんに挨拶する。なるほど、お兄さんだったのか。

「そうですか。お、ってことはそのお揃いのマントはシムラーのところで?」

 ニコニコと笑うカムラーさんは目ざとく俺たちのマントに気付く。

「そうなんですよ。とてもいい買い物でした。俺はユウマと言います。今日は3人の服と武器を買いに来まして……一応、冒険者なので動きやすくて防御面も優れているものがいいんですが……あと、下着とか着替えも数着。」

「はいはい。じゃあ、奥の家内を呼んできます。女性の着替えなどは同性の方がよいでしょうからね。」

 カムラーさんは奥から奥さんを呼んできた。なかなか接客の対応ができている。シムラーはもっと職人気質な感じだったのに……

「それは助かります。正直、下着を一緒に選ぶとか気まずいと思ってましたし。」

「はははは。それはそうでしょうね。で、ご予算はどれくらいでお考えですか?通常の布では多少丈夫という服はありますが、防御力というほどのものはありません。魔物素材や魔法素材などを用いた物は防御力は見込まれますが、お値段が張りますからね。」

「そうですね。俺は金属製の鎧なんかも考えてるので、2人の主装の服と3人の着替え込みで予算は8千Gほどで考えてます。あと、これを見てもらえますか?」

 予算を聞かれると普通それ以上の商品を持ってくるのが商売の基本だ。なので少し低めの予算を伝えておいた。これで合計1万でまとまればいいだろう。俺はそんなことを考えながら、リュックから出すフリをしてインベントリから以前から作り貯めていた『魔鋼糸』の束を取り出した。【鋼糸】に魔力を込めて時間が経過しても消えることのないようにした特殊な糸だ。


 俺は【鋼糸】がBランクになった後、一人で色々実験してみたが、これにも術技が存在していた。それは『形状変化』『性質変化』の二つだ。これによって、産毛ほどの細さの糸から人差し指と親指で輪っかを作ったほどの太さまで『形状変化』できるようになった。また、鋼ほどの硬度から通常の糸ほどの柔らかさ、粘度を持たせることができ、さらに粘着性を任意に持たせることも可能になっていた。

 これで、頭に目玉の妖怪を乗せたあの人のように、髪の毛から針を飛ばすことも可能だったり、太い棒状にした魔鋼糸を槍のように振るうこともできた。


「これは!?『魔鋼糸』ですか!?これを……どこで?」

 はい、自分で吐き出しました……なんて言えません。

「魔物から採取したんですよ。たまたま運が良かったんで、採れるだけ取りました。これを買い取ってもらう事って可能ですか?」

 俺はそういって、一抱えもあるほどの魔鋼糸を取り出した。

「えーと……ちょ、ちょっと待ってくださいね。今、確認しますので!!」

 カムラーは急いで店の奥に魔鋼糸を抱えて引っ込んでいった。手持無沙汰になった俺はアイリとサフィーナの方を見るが、いろんな服をとっかえひっかえ体に当てたり、キャッキャしている。これは……長期戦か……。


「時間がかかるようなら俺、隣の武具店の方にいますんで、ゆっくりで大丈夫ですよ。うちの子たちも服選びに時間かかりそうなのでー。」

 俺は店の奥に行ったカムラーさんに声をかける。奥からは「助かりますー!」と返事があった。これで、大丈夫だろう。一応、アイリたちにもゆっくり選ぶように言って隣の武具店に足を運ぶ。


 そこには、男のロマン、ゲームによくある武器屋さんがあった。うわっ!!感動だっ!!あの剣とか槍……本物だー!!板金鎧もあるっ!!これは鎖帷子っ!!ファンタジーだー!!ロマンだー!!

 ジロジロと俺が店を覗いていると、奥から視線を感じる。やっぱりシムラー、カムラーさんにそっくりのドワーフがこっちを見ている。


「あ、あの、おはようございます。シムラーにお店を紹介してもらって……。」

「……そうか。」

 ん?無口な人なのか。顎鬚は3つに分かれ、それぞれ編み込まれている。この人が三男か?

「俺、ユウマといいます。今日は俺の鎧とナイフとか弓とか買おうかと考えてて……」

「……ツムラー。」

「あ、ツムラーさんね。今日はよろしくお願いします。」

 カムラー、シムラー、ツムラー……なんか日本人ぽい名前だな。見た目ドワーフだから違和感あるな。

「……おう。」

 そういってツムラーは店の奥にひっこんでいった。あれ?武器とか防具よく解らないから色々と聞こうと思ってたに……。しかたなく、俺は、手近にあった短剣を手に取ってみる。よく砥がれているのか刃が怪しく光っている。うーん、やっぱり武器屋すげー。うわっ、あっちに斧とかある。でけー!あれは、なんだ?フリスビー?なんかインドかどっかの武器にあんなのあったな……えと……チャクラムだったか……うへー……こんなの当たったら死ぬよな。どうやって投げるんだ?こう?こうか?解らん……むずい……


「……それ初心者は無理だ。ナイフを適当に見繕った。あと、弓と鎧も色々揃えた。奥に見に来い。」

 いつのまにかツムラーがやってきていた。奥で準備をしてくれていたらしい。

「あ、ありがとうございます。今行きます。」

 俺は周囲にある武具に目移りしながらもツムラーについていく。奥は工房兼倉庫になっているようで、京都の町屋のように店の間口の割に奥に深い作りになっていた。所謂、ウナギの寝床ってやつだ。

「えっと、俺の連れが隣のカムラーさんところで服選んでるんですけど、合流してから弓とナイフをみたいんで、まずは俺の鎧を見たいんですが……」

 するとツムラーが歩くのをやめて、指をさす。そこには、色々な鎧が並べられている。

「……ユウマ。お前の戦闘スタイルが解らない。気配の消し方、歩き方は狩人のもの。だけど弓を引く手じゃない。剣使いの歩き方はしているが、同じく剣を握り慣れた手じゃない。お前、アンバランスだ。ボウガンを使うのか……トラップ主体か……やっぱり解らない。」

 突然話し出したツムラーに驚くと同時にその指摘の正確さに舌を巻く。その通り、俺の手は武器らしいものに触れて間もない。スキルの補正でそれができるようになっているんだから。

「勘はいいほうだといわれてますから。でもほとんど初心者ですよ。でも、できれば音が出ないような鎧がいいんですよね。」

「……そうか。なら、これを持ってみろ。」

 ツムラーが指さす方向を見ると、巨大なハンマーが置かれている。戦槌というやつだろう。こんなもので叩いたら大抵の扉はぶち破れるだろう。っていやいやいや、鎧をお願いしてたんだけど……

「……いいから持ってみろ。」

 怪訝な顔をしている俺に、さらにツムラーは持てと言う。しかたなく、俺は巨大なハンマーを気合いを入れて持ち上げる。ひどく呆気なく持ち上がってしまう。筋力のステータスによるものだろう。この違和感がいまだに慣れない。モンスターをハントするゲームに出てくるような巨大ハンマーを片手でヒョイと肩に担げたのだから……

「……ふむ。解った。ユウマ、お前にはあの鎧がいいだろう。」

 ツムラーは並んでいる鎧の一番奥にある重厚な黒い鎧をさす。いやいやいや、あんな全身甲冑、音がガシャガシャなるだろうに!

「えっと……音が……」

「この鎧を分解して、部分的に着ればいい。胸甲と手甲あとは、膝当てと肘当てのみ。それぞれに消音加工すれば、ほぼ音は無くなる。さらに防御力を得たいなら肩甲を部分的に使えばいい。着てみろ。」

 俺は、言われるがままに頷く。鎧を着るなんて初めての経験だ。それに、こんなにたくさんの鎧を見たのも初めてで、テンションも上がりっぱなしというものだ。


 ツムラーが色々と手伝ってくれて、ようやく着ることができた。これ、一人では無理だな。アイリに手伝ってもらおう。おっ、なんかいいかも♪出勤前に奥さんに背広を着せてもらう的な……


「……で、どうだ?動けるか?」

 そんなことを妄想しているとツムラーが着心地を聞いてきた。

「とってもいいですね。動きやすいですし、鎧に守られてるって感じしますよ。」

 と軽くジャンプしたりフットワークをしてみる。うん。軽いな。鎧ってもっと重いイメージがあったのに……きっと軽いファンタジー素材か何かなんだろう。と、ツムラーを見てみると唖然としている。ん?なんかやらかしたか?

「……それはアダマンタイトでできた超重量の鎧だ。普通の者なら身動きが取れないはずだ。例えそれが部分鎧だったとしても。ユウマ、お前、名のある冒険者か?」

 うん、やらかしていたようだ。巨大ハンマーを持たせたのはそれが理由か。

「いや、力自慢なだけの初心者ですよ。えーと……これ、いくらくらいするんですか?高そうですね?」

 こういう時は話題を変えるに限る。

「……フル装備で8万Gだ。部分鎧でも……5万だな。」

 あぁ、完全に足が出た。足りないな。

「すいません。それじゃ、ぜんぜんお金が足りないですね。あの、部分鎧で鉄製のものならいくらくらいするものですか?」

「……それなら700Gだな。」

 ツムラーは少し残念そうな顔で俺に値段を告げる。


『ユウマさーん、いらっしゃいますかー。カムラーですー!一度、こちらにいらしてください!』

 外からカムラーさんが呼ぶ声がする。俺は、ツムラーに後で戻ってくるからと告げて、カムラーの店に戻った。


 そこには、若干高揚しているカムラーさんがいた。

「あ、ユウマさん!いらしてくださったのですね。えー……ゴホンでは、魔鋼糸の買い取り価格なのですが、えっとですね。全部で8万でどう……でしょうか?」

「はっ!? 8万!?」

 俺は思わず声を上げてしまう。

「えっ!?いや……で、では8万5000でどうでしょう?このあたりが限界ですが……」

 あ、また額が跳ね上がった……そんな高価な素材だったのか!?今の俺なら、気絶するまで糸出し続けたら、さっきの量くらい出せるぞ!……いや、出さないけど。

「えーと……はい。その額で大丈夫です。あの、本当にいいんですか?」

「いいんですか……とは……他の店に持ち込まれるということですか?」

 カムラーさんの顔が完全に引きつっている。完全に勘違いされている。

「いやいやいや、そうじゃなくてそんな高額で引き取ってもらえるんですね。俺、この糸の価値そこまで解ってなくて……。」

「はぁー……そういうことでしたか。この素材は、めったに出回らない素材で、王族の方の正装にも採用されるほどの品になるんですよ。これはオークションにも滅多に出ない量ですから……」

 そんなすごいものが自家製ですーなんていったら俺、一生飼い殺しにされるんだろうな。

「そうだったんですか……教えてくださってありがとうございます。もし、また手に入ったらこちらに持ち込ませてもらいますね。」

「あ、ありがとうございます!!えーと、お嬢さん方のお買い物が終わったようです。少し予算をオーバーされているようですが、ここは全部丸ごと込み込みで8000Gとさせていただきます。」

 カムラーさんの意気込みがすごい。色々とサービスしてもらっているようだ。


「ユウマさーん!これっ!見てくださいっ!!どうですかー?似合ってますか?」

 店の奥から奥さんに連れられてアイリがやってきた。薄桃色のチュニックに銀色のチェーンベルトをつけ、白のベストを上に着込んでいる。とっても清楚なアイリにぴったりだ。

「おぉ!!すごいよく似合ってるぞ!!どこかのお姫様みたいだ!!」

 実際、お姫様なんだけどね……

「あ、あ、ありがとうございます!!」

 アイリは顔を真っ赤にさせて喜んでいる。これだけ喜んでくれればプレゼントし甲斐があるってもんだ。


「ユウマー!!サフィーナのも見て見てー!!」

 奥からサフィーナが飛び出してポーズを決める!どこのウサ〇ン・ボ〇トだよ!!

 サフィーナは全身が白で統一されていた。シンプルな白のワンピース、以前着ていた服とあまり変わっていないようだが、そこには繊細なレースが施されており、高級感がある。丈は長く、足首近くまでフワとしたキレイな白い生地が覆っている。

「やっぱりサフィーナは白がよく似合うな。もっとお淑やかいしていればお姫様なんだけどな。」

「ぶー。」

 ぶーたれているサフィーナの頭をポンポンと撫でる。

 二人はそれ以外にも包みを持っている。おそらくそこに着替えが入っているんだろう。俺も適当に着替えを購入する。その時間30秒。これが男と女の買い物の違いなのか……


「にしてもカムラーさん。あの二人の服って普通の服に見えるんですけど、やっぱり魔物素材とかですか?」

 見た目も大事だが、性能ももっと大事だ。今着ている服は命を守る物なんだから。

「はい。これらは同じく魔法糸と呼ばれる魔力を込めた糸で織られています。普通の布の数倍丈夫ですし、貫通耐性があり、破れにくいんです。さらに魔力を通すことで強度を増すこともできるすぐれものです。お二人とも魔力は潤沢にお持ちなので、十分着こなすことが可能ですよ。では、こちらが買取代から今回の代金をお引きしまして77000Gのお返しとなります。」

 そういってカムラーが金貨7枚と大銀貨7枚を持ってくる。ん?これであの鎧買えるよな?ずいぶんと都合のいいことだ……あ、【極運】のおかげか!!


「カムラーさん。いろいろとお世話になりました。じゃ、今度はお隣のツムラーさんのお店に行ってきます。」

「またのご来店をお待ちしています。」

 うん、とってもいい笑顔だ……きっと魔鋼糸はもっといい値で売れるんだろう。まぁ、いいけど。

 アイリとサフィーナはチュニックとワンピースを着たままついてくる。よっぽど気に行ったんだろう。


「ツムラーさん。戻ってきました。それからあのアダマンタイトの部分鎧買います!買いますからー!」

 そう言いながら店に入ると、ツムラーさんはすさまじい勢いで飛んできた。

「……そうか。すぐ準備する。」

 それだけ言うと、また店の奥に引っ込んでいった。


「あのユウマさん。さっきの人がツムラーさんですか?」

 アイリは呆気にとられている。サフィーナは周りに飾られている武器を見て目を輝かせている。ここにもロマンを共有できる同志がいたようだ。

「そうだ。ちょっと変わった人みたいだが、歩き方見ただけで剣術スキルや気配消失スキルを見破ったからすごい人だと思うぞ。」

「それはすごいですね。アダマンタイトの鎧?ユウマさんが着るんですか?」

「そ、そうだけど……なにか?」

 ん?なにかやらかしたか?

「い、いえ、とっても重いって聞いたことがあるので、さすがユウマさんです♪」

 おお、癒される。アイリに褒められるだけで俺はやっていける!


「……ユウマ。準備ができた。奥に来い。」

 ツムラーが声をかけてくる。俺たちは2人を連れて、奥に入っていく。

 そこには弓が数張りとナイフが10本ほど並べられていた。ナイフの形状も刃渡り15cmほどのダガーから40cmほどのマチェット、サバイバルナイフに似たものまで色々ある。

 俺がそれらに見とれていると、さっそくサフィーナが手に取ってナイフを振り始める。

「……そのマチェットなら剥ぎ取りでも接近戦でも使える。いざというときは投げてもいい。1本あればいろいろ使える。あ、そのダガーは投擲用に特化してるから投げた時のブレも少ない。数本持っていてもいいだろう。」

 おぉ……ツムラーがいっぱい喋ってる。サフィーナもウンウンと真剣に聞いている。

 今度はアイリが弓を手に持ち、引いている。身近に狩人たちがいたのでナイフより親近感があるのだろう。するとススーッとツムラーがやってきて解説を始める。

「……それはロングボウ。かなり力がいるからよっぽど鍛えていないと厳しいぞ。射程は50mほどだが威力はある。取り回しは大きいからそれなりに難しい。そっちの小振りなのはコンポジットボウ。これなら引けるだろう。やや癖があるが、慣れると連射も可能だ。弓の張り加減はある程度調節できるが、弱く張ると威力も弱く、射程も短くなるからな。」

 ツムラーの解説に熱が入っている。まだ、弓術も投擲術のスキルも持っていないので、なんだか申し訳なくなってくる。差し当たり練習用のものを……なんて言い辛いな。

「えと、ツムラーさん?ナイフは護身用の物をそれぞれ1本づつ、それから投擲を……その、練習用に3本ずつ、それから……これも練習用の弓を3張り、矢も36本ほど……これで見繕ってほしいんですけど……。」

 すると、ツムラーは意外なほどあっさり頷き、ナイフ、弓を選んでいく。たまに、俺やアイリに弓を引かせてみたり、ナイフの重さを確認していく。そして数分後、俺たちの目の前にマチェットナイフ3本、投擲用ナイフ9本、そして弓が3張り、矢が36本が用意されていた。そして、それぞれを収納するベルトや矢筒なども揃っていた。

「……全部で1200G、部分鎧5万、しめて51200Gだ。」

 俺は、先ほどカムラーから買い取ってもらったお金を出した。本当に買えたよ鎧!

「えと、着て帰りたいんだけど、大丈夫ですか?」

「……よし。着て帰れ。毎度あり。」

 ツンデレなのか!?このドワーフツンデレなのかーー!!でも、待望の鎧だー!!黒いぞー!強いぞー!カッコイイぞー!!

 と、いそいそと着替える俺を若干冷たい視線が刺さる。ん?なんだ?俺おかしいのか?


「どーだー!俺も鎧を着てみたぞー!似合ってるだろ?アイリ!サフィーナ!!ほれ!これすごーく硬いんだぞ!アダマンタイト製だぞー!!しかも動いても、ほら!ほらー!音しないぞー!すごいだろ!!」

 素晴らしい、黒いマントに黒い鎧……うん。カッコイイぞ!!これで仮面とか被っちゃおうかなー♪

 ん?  なんだよ?  なんでそんな困った目で見てるんだよ!アイリ!! 

 あっ、サフィーナなら解ってくれ……てないね。完全に冷たい視線だよね。


「えーと……ユウマさん。そのー……なんて言うか……いかにも……と言うか。」

 ん?アイリ、何が言いたいんだよ。ハッキリ言わないと解んないだろ?

「真っ黒で暑苦しー、悪い奴みたい。」

 うわっサフィーナ!!ハッキリ言っちゃったよー!!ハッキリ言うなよー!!そんなことー!!

 えっ?まさか、アイリも同じように思ってたのか!? アイリの方をゆっくり見ると……

「あは…あはははは……。」

 アイリが全力で愛想笑いをしていた。


 ダメなの!?この恰好……いいじゃん!秘められた力が湧き出てきそうでカッコイイじゃん!

 

 えっ?ダメなの?  ねー? なんでなの?ツムラー!!あんたなら解ってくれるよねー!!


 ぐはっ……目逸らされたぁーーー!!!

最後まで読んでくださってありがとうございます。

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