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2、チート転生

6/25 誤字修正、微調整を行いました。

 

 よし。これで8つ。スキル名しか解らないけど、強くなりそうだし、そう簡単には死なないだろう。このスキル選びに関しては、神様は一切答えてはくれなかった。どんな効果があるか とか、どの組み合わせがよいか とか。それでも、8つも選ばせてくれるんだ。感謝しないとな。


【おっ。選び終わったみたいだね。といっても、死にスキルはほとんどといってないから、ある程度は強くなってるんじゃないかな。】


 ほとんどって……死にスキル、あるにはあるんだな。この8つに入ってないですよね?……もちろん答えられない?……ですよねぇ……わかってましたよ。


【準備ができたみたいだね。それじゃ、転生させるよ。向こうについたら、とりあえず『メニュー』って念じて自分のステータスを確認してみてね。それじゃ、またね♪】


 あ、はい。……ん?またね?……また会えるんだろうか?……それって死んだら会おうねってことか……まぁ、やりたいことをやりきって、また神様に会えるといいな。


 ゆっくりと辺りが輝きだし、温かいナニカに包まれる。

 意識がしだいに薄らいでいく。

 そして、全ては白く塗りつぶされていった。



†[悠真を送り出したあと、自称神様の独り言]



【ふぅ……やっと転生したみたいだね。結構、スキル選びに時間かかってたみたいだけど、

 一部を除いて名前だけはほとんどその効果なんて解らないのに。

 まぁ、なんにしても、今回の転生者は()が高かったからいい線まで行けると思うんだけど

 何選んだのかな……なになに……えーと、うんうん……えっ!?……これは……

 ま、まぁ、強くなるんだろうけど……うーん……はっ!?……これ大丈夫か!?

 う、うん!き、きっと大丈夫さ。

 そ、それじゃー、もう1人くらい転生者の候補を探すかな~。念のためって大事だよね。うんうん。】





 近くで水の中れる音が聞こえる。遠くで鳥の鳴き声。さらに遠くからは遠吠えが……


 遠吠え!?


 一気に意識が覚醒していく。頬にはしっとりとした苔の感触があり、胸には石のようなゴツゴツとしたものが当たって、少々痛い。どうやら、うつ伏せになって倒れていたようだ。

 ゆっくり起き上がると、周囲を確認してみる。深い森の中のようだ。ジブ〇のなんとか姫にでてきそうな深い森。近くには大きな池があった。


 僕は、池の淵まで行き、覗き込んで見る。

 きれいだ。澄んでいて底に生えている水草まではっきりと見えている。


 これは飲んでも大丈夫そうだな。ん?


 水面に自分の顔が映る。若い。そこには、高校生だった頃の自分がいた。


「はぁ……やっぱり転生したのか。やっぱり、若返るってのはいいねぇ。」


 一通り、若返ったことに感動した後は、自分の持ち物をチェックしないとな。えーと、トレッキングシューズにカーキ色の分厚い生地のズボン。白の長袖シャツ。で、リュックと……

 いやいやいや、これ僕が持ってたものですやん。異世界っぽい剣とか鎧とかあれへんのかい!!

 ちなみに、リュックの中にはタオルとTシャツ、パンツが数枚ずつはいってた。これ、完全にハイキング行ってきます的な恰好になっている。財布、スマホなどはなかった。それはいいとして、丸腰だ。普通ナイフの1本でも初期装備として持ってるもんじゃないのか!?……いや、普通の転生者の基準はよく解らないけど。


「とりあえず、メニューだっけ?これを念じてステータスを確認するんだったかな?」


『メニュー』

・『ステータス』

・『???』


 念じると、半透明なウィンドウが現れた。完全にゲームのそれだ。なんか『???』があるけど、今は『ステータス』をさらに念じてみる。



――――――――――――


■ステータス

名前/有村 悠真

Lv.1

種族/人間   年齢/18歳  職業/無職

HP 10/10

MP 20/20

腕力  10

体力  10

敏捷度 10

器用度 10

知力  20

精神力 30


加護:神祖(しんそ)の大いなる加護

称号:転生者

装備:ハイキングルック(笑) 丸腰(爆笑)

スキル

-EXスキル【教育者】【学習者】【超健康体】【ステータス倍化/Lv.UP】【限界突破】

-ユニークスキル【極運】【ファミリア】【看破】


――――――――――――


 うん。いろいろツッコミどころはある。職業無職……まぁ、これはいい。実際無職だし。ただ、ステータスが低いように感じる。比較対象がいないから解らないが、チート転生で無双だオラオラ!!とはお世辞にもできそうにない。あ、あの神様は神祖(しんそ)っていうのか。それも置いておいて、装備だ。なんだ!?ハイキングルック(笑)って!丸腰(爆笑)って!!丸腰なら装備欄に記載の必要皆無だろうがっ!!完全に悪意を感じる。犯人は解っている。ヤツだ!!文句を言ってやりたいが、そのために死んで会いに行くというのもバカらしい。覚えとけよ!!


 とりあえず、ステータスの確認はできた。次はスキルだ。恐らくだが、【看破】を使えば、スキルの能力は解るものだと信じたい。とりあえず、その辺の草を調べてみるか。【看破】!!


【ラファール草】:レアランクC。薬草。精製すればポーションの原料となる。そのまま使用することでも効果あり。


 おぉ!!薬草ゲット!!ん?このラファール草結構あるな。採集しておいて損はなさそうだな。


 ブチっブチっブチ……っと


 ん?この草は、ちょっと違うな。いろいろあるな。なんかオラわくわくしてきたぞ!!【看破】!【看破】!!【看破】ーー!!!


【エアイル草】:レアランクG。食べると軽い下痢を起こす。便秘の方は挑戦してみるのもアリかも……


【サーグル草】:レアランクG。強い匂いを放ち、虫よけの効果をもつ。


【フマ草】:レアランクF。若芽は食用可能。若干苦味が強いが、通にはたまらない一品となる。


 うーん。微妙だ……外れか……一応、採取っと。

 おっ!こっちのはうっすら光ってるし、レアな感じがするぞ!!【看破】!!


【魔寄せ草】:レアランクC。自生している状態だとうっすら光を放ち、周囲の魔物を引き寄せる。精製すると【魅了玉】の原料となる。


 うおっ!?これ光るのはヤバいのか。抜いたら……おっ、光らなくなった。これで問題ないはずだな。

 うーん……なんか一気に疲れた気がするな……


『ステータス』

MP 15/20


 MPが減ってる……【看破】ってMP消費するのかよっ!!確認してみるか。【看破】!


【看破】:(使用MP1)対象のステータスや情報を知ることが出来る。さらに使用することでより詳細な事象を知ることが出来るが使用MPが10倍となる。


 看破を看破してやったぞ。言っていることはよく解らないが、意味は解るだろう。そして、解ったことは看破にはやはりMPが必要だということだ。詳細でMP10、さらに詳細に知りたかったらその10倍でMP100消費するってことだろうか……そんなMPないぞ……うーん……MPって回復するんだよな。ゲームとかだと寝ると回復とかだったが……確認してみるか。【看破】!!


【MP】:マジックポイント。魔力の量を表す。魔法や一部のスキルを使用する際必要となる。MPの回復にはマジックポーションなどの魔法薬や十分な休息が必要。6時間以上の睡眠でMPは全回復する。3時間以上の睡眠で半分、リラックスした状態なら1時間で10分の1ずつ回復する。


 なるほど、寝るかリラックスするのか。まぁ、こんな森の中じゃ、どっちも難しそうだな。これでMPが13か……一応、スキルだけ簡単に確認して詳しく調べるのは落ち着いてからってことで良さそうだな。


 あらためてメニューを開いてみると


『メニュー』

・『ステータス』

・『インベントリ』


 となっている。『???』は『インベントリ』ってことだったんだな。これって、アイテムとかを収納できる便利機能ってことでいいのかな。よし!看破だ!


【インベントリ】:アイテムとかを収納できる便利機能。最大MPによって総重量が変化する。MP1=100g。なお、インベントリシステムの解放条件は神祖の加護を得ること。


 なんか、解説が雑……というか、ナメられている気がする。が、今は怒りは抑えておこう。

 総MP20だから2kgまで収納可能ってことか。微妙だけど、大事なモノ限定で考えると便利ではあるのか。一応(・・)は、神様には感謝ってことだな。インベントリの中はもちろん空っぽだが……

 よし、残りのMPも気になるけど、残りのスキルも一気に看破だ!!


【教育者】:対象に自らのスキルを教え与えることが出来る。なお、スキル継承の成功率は、対象と接する時間に依存する。EXスキル、ユニークスキルの継承は不可能。


【学習者】:対象のスキルを自らのモノにすることが出来る。なお、スキル学習の成功率は、対象と接する時間に依存する。EXスキル、ユニークスキルの学習は不可能。


【超健康体】:病や状態異常に極めて強い耐性を持つ。また、状態異常に陥った場合も、自然回復される。


【ステータス倍化/Lv.UP】:レベルアップ毎に、ステータスが倍化される。


【限界突破】:種族の限界を超えて、スキルやステータスの上昇が可能となる。なお、このスキルはステータスを強化するものではない。


【極運】:極めて運が良くなる。


【ファミリア】:眷属契約(消費MP100~)、眷属召喚(消費MP50~)を行なえる。


 ん?


 ん~?

 

 うーん……これは……いやいやいや、そんなはずはない。いや、これは、弱いのか……

 現状、丸腰でステータスも低く、眷属もMP不足で呼べず、スキルを学習するにも相手がおらず、ただ健康で運がいい一般人。そして、ここは人気のない深い森。

 いやいやいや……ヤバいヤバいヤバい……【限界突破】って、もっとこう、ドカーンと強くなるスキルとかじゃなかったのか!スーパーな野菜みたいな宇宙人みたく……


 また、遠くの方で遠吠えが聞こえる。


 とりあえず、何か武器になりそうなものは……あ、あった!


 ただの棒切れだけど、何もないよりマシだよな。

 

 ぶん!ぶん!ぶん!


 一応振ってみる。もちろん剣道経験者でも棒術や槍術をたしなんでいるわけでもない。ただ、少しだけ気持ちを奮い立たせることはできたみたいだ。


 よし、移動だ。えーと……池があるってことは、川が流れている可能性があるわけで……川下に行けば、人里があるはず!!あるんだ!!あるに決まっている!


 川……川……川……あった!川だ!!これを辿って、下っていけば…きっと…


森の獣の遠吠えが時折聞こえる。心細さがさらにかき乱される。棒切れを杖代わりに、ただただ川下を目指し進んでいく。


「ふぅ……さすが現代技術の結晶のトレッキングシューズだ。まだまだ歩けそうだ。実は、ステータス高かったのか?……いや、それはないな。うん。確実にない。」


 独り言が思わず口をついて出てくる。しゃべってないと心が折れそうだ……


「よし、川幅も心もち広くなったようだし、そろそろ人の形跡があってもいいんだぜベイビー♪

 カモン、人家!せめて整備された道!いや、整備されてなくてもいいから道っぽい何かぁ!!」


 魂の叫びも虚しく、ただただ広がる森の木々。風景としては最高に綺麗だ。写真には興味はないが、カメラがあれば撮ってしまうほどに……


 ここが本当に異世界“ラクリア”か……もう疑っても仕方がない。


 現にこうして、大地を踏みしめている。


 体の調子もすこぶるいい。以前の身体のような常に疼くような痛みがない。


 若返ったこともあり、まだ疲れらしい疲れも感じない。


 やっぱり、あの神様には感謝しないといけないかもな。


 そんなことを考えながら、歩き続けていると、河原の傍に、何かある。


 赤い斑点。


 これって、血……だよな。川と直角になる森の方角に、続いているな。 

 どうする?人?野生の動物?怪我してるのか……怪我を負わせることができる何かが近くにいる。

 遠吠え……どうする?これが人だった場合、僕にとっては非常にありがたい。でも、これが野生の動物や魔物であったら……


 幸い、もう遠吠えは聞こえてこない。大丈夫だ。危なそうだったら、逃げればいい。そう自分に言い聞かせながら、血痕を追っていく。しばらくは、同じような森の風景だったが、5分ほど辿っていくとすこし開けた場所にでた。そこには、一人の人型の何かが横たわっていた。


「おい、大丈夫か。」


 努めて冷静に声をかけてみる。すると、その人型はガバっと体を起こし、こちらを睨み付ける。

 手には、ボウガンのようなものを持っている。


「××××××××!!×××!!」


 何を言っているかわからない。異世界言語……言葉の壁……盲点だった……

 改めて人型の様子を見てみると、姿はほぼ人間。ただ、なんとうか、全体的に小さい。130cmくらいだろうか。耳も若干とがっている。髭が生えていることからどうやら男性のようだけど、これって、いわゆる……


「ドワーフ!?」


 突然あげた大声に、向こうも驚いたのかボウガンを構える。

 立ち上がろうとするも、足を怪我しているのか上手く立てないでいる。


「×××!!×××××!×××××××!」


 こういう時は、敵意がないことを示すしかないよな。とりあえず、手に持った棒切れは足元に捨て、両手をあげてみる。


「大丈夫だ!あなたを害するようなことはしない。ボウガンを下ろしてくれないか?」

「………。」


 おっ、様子を見てくれたな。ここはあと一歩ってところか。ゆっくりとリュックを下ろすと、中から先ほど採取したラファール草を取り出してみる。

 ドワーフの男は、リュックから何が出てくるか警戒していたようだが、それが薬草だとわかったようだ。


「××××。×××ラファール××××、×××××××う。」

「このラファール草を使ってくれかまいません。といっても、この薬草をどう使えばいいか解らないですが……」


 ラファール草をぐっと差し出すと、ドワーフの男は頷きながら、それを受け取る。

 どうやって使うんだろう。見ると、いきなりラファール草に齧りついた。


 食べるのかよ……と思っていると、口で咀嚼した薬草を吐きだし、それを足の傷に塗り付けている。

 ほうほう。そうやって使うんだ。なるほどなるほど。


--ピロリン♪スキル【薬草術/Fランク】を習得しました。--


 ん?なんだこれ?『メニュー』っと


 おっスキル習得したみたいだな。【学習者】のおかげってやつだろうな。でも、出会ってそんなたってないのに覚えることができるんだな。そこまで難しいスキルではないってことか。


 ついでに、この男のステータスも覗いてみよう。看破だ!!


――――――――――――


■ステータス

名前/ガンファ・ドスティアームズ

Lv.3

種族/ドワーフ   年齢/52歳  職業/ハンター

HP 15/43

MP 13/23

腕力  23

体力  20

敏捷度 12

器用度 19

知力  11

精神力 23


称号:ガート村一の狩人

装備:ボウガン、黒熊の毛皮

スキル

‐【弩術/Cランク】、【薬草術/Cランク】、【絡繰り術/Dランク】


――――――――――――


 第一異世界人発見。チクショー、ステータスほぼダブルスコアで負けてるし……っとまだ、薬草が必要みたいだな。全部渡してもいいだろうか…あと、4つか。ええい。すべてプレゼントだ!!

 ヒゲのオッサンの好感度上がっても、これっぽっちもテンションは上がらないが、生き残るためだ!

 リュックからすべてのラファール草を取り出すとすべてガンファというらしいオッサンに差し出す。


 すると、オッサンは嬉しそうにモサモサと全ての薬草を齧る。

 うわっ♪ かわいい♪  ってなるかーーー!!  モサモサモサ  モサモサ  モサ

 はぁ……半分は傷に、もう半分はそのまま食べたようだ。 食べても効くんだね……その薬草。 


「×××××、ガンファ××××、ありが××う。」

「えっ?あぁ、私は悠真。ユ・ウ・マ。どういたしまして。ん?でも、今ありがとうって言いました!?」

「××!?ユウマ××××?×××ありがとう××通じる××?」

「通じる?なんでちょっとずつ日本語話せるようになってるんです?スキル……じゃないよな。そんな持ってないし……あっ!?もしかして、僕の方の【学習者】が発動してるのか?」

「なんじゃ×××××。スキル××××××こちらの言葉が解る×××××。はっはっはっ!!すごい××××。」

「おぉ、どんどん言葉がわかるぞ。ガンファさん。もっと話してみてください。できれば、人がいるような場所……ガンファさんの村に連れて行ってもらえると助かるんですけど。」

「ワシの村××××いいのか?もちろん×××××。にしても×××ここにワシがいる××解っ×?」

「えと、どうしてガンファさんがここにいるか解ったか……かな。ガンファさんの血の跡を追ってきたんです。」


 そう言って、血痕を指さしてみる。するとガンファの顔色が一気に青ざめる。


「いかん!!早く××××離れ××!!血の匂い××××グレイウルフ×××××寄せるんじゃ!!」

 

 Wuuuuuuooooooooooooooooooooooo!!!


 それまで静かだった森の中に、先ほどの遠吠えが再び響きだした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


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