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俺は、ショタコンじゃねぇっ!!!!!!  作者: 陽日
1章-2節:ブリア王国編-平穏な町ツヴァイ
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28話:●●からの呼び声

バカでも分かる。

夜、わざわざ幻まで使って呼び出された町の外れで、語りかけてくる声なんて──明らかにおかしい。

表立って町の入り口を潜り抜けることもできず、こうして裏口から町に入れてというなんて。相手が"良くない存在"であることは、明確だ。


だけれども。

本を両手で構えながら、俺は一歩一歩と近付く。床がみしりと音を立てた。


分かっている。

万分の一だろう、この先にいるのがただの子供である確率は。


コンコンコン


「だれか、だれかいるんだよね?」

「だれかいるんだ、ここをあけてよ!」

「あけて、あけてほしいな。外はあぶないから」


コンコンコン、コンコンコン


鉄扉の前まで辿り着く。

「……誰だ?」

ノブに手を伸ばしながら声をかけた。

すんと沈黙。数瞬、扉を叩く音も、先からの声も聞こえなくなった。なんだ、怪異らしき存在も驚くのか。可愛いところもあるもんだ。


コン……コンコン


「……いれて、いれてよ。外はさむいよ」

「外はさむいから、ぼくをたすけて」

「たすけて、たすけて!」


ここにもし、子供たちのうちの誰か一人でもいたら。俺は決して、この扉を開かなかっただろう。俺は全能じゃないもの。

だけれどここには今、俺しかいない。幻に騙されノコノコと、寂れた町外れまで連れ出されてしまった俺だけだ。

ならば俺は、


ゆっくり、ノブを下げる。

ウカ曰く、表通りから入れない立場の人々はこうした空き家とかからコッソリ、町に入ってくるらしい。地下に張り巡らされた下水道や、城壁に空いた穴、異様に伸びた木。まぁ、そんな場所から入り込んでくるのだと。


なれば。

わざわざ、こちらに開けさせようとしてくるコイツは──いったい何者なんだろうな?


怪しんでいる。俺ですらこの先にいる存在を。

だというのに、見捨てられない。

"悪意ある存在"だとしても、本当に子供かもしれないのだから。


それが俺だった。


ギギ……と扉が軋み音を上げて開いていく。うすらと、生温いそよ風が神殿内に吹き込み、埃が生命を得たかのように舞い上がる。堪らず、けほりと咳をついた。

果たして、扉の先から足を踏み入れて来たのは。


「わぁ、ありがとうお兄さん」

「お兄さん、ワタシをまねいてくれるんだ!」


立て続けに言葉を連ねる、本当に真白いひとりの子供だった。


透けたヴェールを被りうっすらと隠してはいるものの、病的なほど白い顔の半分を覆った痛々しい火傷跡が真っ先に目につく。胸ほどまであるレースのヴェールを越えるほどの長さの白髪は、うねり、ほつれながら無造作に揺れる。

どこかのお貴族様のような、ひらひらしたフリルがふんだんに使われた真っ白な服が、より少年を暗闇の中から引き立たせていた。


また、幻なのかもしれないけれど。

だけど、本当に幼い子供だったなんて。


「……迷子か?」

「うん、グリムはずぅっとまいごだよ!」

「グリムは迷子だから、お兄さんを探しに来たんだ」

「私を、探したって……お前たちのことは何も知らないぞ」

ひとまず、この子はグリムというらしい。

ぱっと思い浮かぶのはグリム童話の作者でお馴染みの、グリム兄弟だけれど。彼は一人ぼっちだ。少し、話し方は特徴的。


「お兄さんは見えるからね」

「見えるから、おれのところに来てもらったんだよ」

「ならば、先程の幻はお前の仕業か?」

うん、と真っ青な唇が歌うように朗々と言葉を紡ぐ。きゅっと俺の手を掴んできた手は、氷のように冷たかった。びくりと肩が震える。


「お兄さんはしってる?」

「知っているよね、貴方なら」

「なんの話──、」

ぐいと腰ほどの背の高さの子供が、俺の腕を引く。見た目に似合わぬ、コチラが倒れてしまいそうなほどの力に振り回され、月夜の下をぐるりと何回転。

ギシギシと床はその度に軋み、あってないような天井からは木屑がバラバラと降ってきた。


くるり、くるりと世界が回転する。

おい、と抗議を情けなくしてみるが、聞き入れられることはない。少年は鈴を転がすように何度も笑う。

周りの畑からの虫の音、開きっぱなしの扉の先からの魔族か動物かの唸り声。気になって仕方がない。


「ねぇ、お兄さん!」

「お兄さん、教えてよ」

子供がふいに小さな手を離す。ぶんっと、俺の体は遠心力に操られるまま。腐り落ちた壁に軽く追突した。

痛みに小さく呻いていると、子が笑う。


「──魔王のころし方を教えてよ!!」

喉は一つ。

だというのに二つの声が重なるように、小さな唇から溢れた。



真っ赤な血と共に。



「……あ、…………っ」

突如ときて真白いシャツの上に咲いた、恐ろしいほどの真紅の花。胸部にはその小さな身体を貫いた、黒金の矢。笑みを浮かべたまま、目を限界まで見開きながら倒れてくる子供の姿に、血相を変えて必死に駆け寄ることしかできない。釘がところどころ飛び出した床に打ち付けそうになる体を、なんとか滑り込んで庇った。

ぐねり、と足首から変な姿勢に悲鳴をあげる。どうやら捻ってしまったようで、激痛が走った。

HPがぎゅんと下がって、冷や汗までもが額を垂れるが、そんな場合では全くない。


倒れた少年の奥に、新たに矢を弓につがえた男の姿が見える。隣で相方の女は下卑た笑みをニヤニヤ浮かべ、両手に持ったナイフをチラつかせた。

「悪いねぇ……アタシら、PKなんだ」

「こんな場所でふらふらしてた自分たちを恨むんだな」


この子は多分NPCだぞ!?というか無抵抗の、子供を攻撃するなんて!自分の先ほどまでの疑念はすっかり棚に上げ、腕抱えたこの子を抱きしめる。体温は凍るほど。この子は先程から反射か何かで、微かに口をはくりと動かし血を溢しているばかりで、生きてるだなんてまるで思えない。木目に血が染み込んでいく。

だけど、まだきっと生きてる。白濁した瞳が微かに揺れ動く。でもその揺らぎは、どんどんと消えていくばかり。

零れ落ちる命を必死に抱えた。


だけれどもPKらがこちらへ、わざわざゆっくり歩いて向かってくる。ツルを張り、刃を月光にチラつかせて。

「ま、自分たちの弱さを呪いな!」

ギャハハハハ!!

下品な笑い声。こういうRPがあることは認めよう。

楽しみ方は人それぞれだから。

だけど、


咄嗟に俺ができたのは一つだけ。

「──【幻式】!」


俺たちを覆い隠す、幻を生み出すこと。

動転した意識の中で濃い霧を生み出し、すぐには俺たちを見つけられないように。


「うわ、毒か!?」と警戒してくれるのは、このスキルにたぶん知名度がないから。助かる。だが実際にはそんな高性能なものではないので、時間稼ぎにしかならないだろう。

真っ白な霧の中、アイテムボックスから取り出した最後の回復薬を、少年と己の足にかける。大蛇との戦いで使い過ぎてしまっていた。


だが動けるようになった己の足で、この場から彼を抱え逃走を図ろうにも。

俺たちの体重を支えた床が軋む。子供にあげられた回復薬のランクは低すぎるせいか、この子の全く傷は良くならず、顔色はさらに悪くなるばかり。くたりと伏せた首から、かけていた何かが床に滑り落ちていく。トスッと軽い音を立て、ソレは床に突き立った。


足がもつれる。

「そこだな?」

と射られた矢に太ももを貫かれて。俺の幻は、まだ音まで覆い隠せない。

集中力が途切れ、幻はその形を維持できず。霧はさぁっと晴れて、そこには一気にHPの半分を持っていかれ、ぐしゃりと頽れた俺と腕の中の子供だけ。


このゲームの遊び方は自由だ。


冒険者として町を巡り様々な魔物を倒すのも。どこかにある学校に入学して、学生生活を送るのも。商人として商売をしたって、農家として畑を耕すのも自由。

ある程度の不便を受け入れるなら、自由に暴れる悪人となるのも。こうしてPKを楽しんだって良い。

確かレベル上げだけを本気で考えるなら、序盤はむしろ悪人プレイの方が良かったはずだ。どこかで、代償を支払らうことになるのが大半だけれど。


俺だって、他人は好きに遊べば良いと思う。

俺も好きに遊ぶ。ソロのはずが、こうして子供たちと旅することになっているが……まぁこれも選択の結果だ。後悔はしていない。


だけど、だからこそ。

俺は、子供を傷付ける彼らを許せない。

この腕で抱いた少年が、明らかに"普通の子供"ではないとしてもだ。


振り返った先。少年の首からするりと落ちたものが、月光を反射しキラリと光る。

床に突き刺さっていたのは、麻紐に括り付けられた一本のナイフだった。大理石のような真っ白な柄には豪奢な紋様が刻まれている。大輪の花がいくつも絡みつく、ドラゴン……?


きっと子供にとっては大切なものなんだろうに、容易く彼らに蹴飛ばされる。


カラリと軽い音を立て、床の隙間へと落ちていった。見えていなかった刃のもう半面は、完全に茶色く錆びついることに気付く。意味はないけれど。


これから、どうなるというのだろう。

俺たちに、逃げられる暇はない。

俺はまだまだ弱いから。


だけどせめてと、動かないこの子を自分の体で守るように抱え。目を伏せた。



「──グリムと遊んでくれるんだね?」

「あそんでくれるんだ。やくそくだったもん!」

「約束だったのだから、」


俺の下で全く動かなくなっていたはずの子供が、いつのまにか声を発していた。瞳は真白く濁ったままに、口も喉も一切動いていない。だというのに、交互に繰り返すかのような。朗々と歌うような声が、辺りにこだまする。


「──いっしょに、さいごまであそぼうね!!」


また、二重に重なるような声が飛び出す。と同時に、子の姿が物理法則を無視して、ふわりと宙へ浮き上がった。糸の張られていない操り人形のようにだらりと手足を垂らし、ガクリと首を動かして。


キャハハハハッ──!!


甲高い笑い声の後、頭上にHPのバーがぐーんと伸びて現れる。


ーうつろわぬモノ 魔王グリムー



なんか変な子供だとは思っていたが、こんな幼い子供が魔王なんか!?!?さっきの魔王の殺し方って、つまり自分の殺し方を探している……?


情緒がシェイクされたまらない。

だが呆然と宙を見上げている暇は、実はなかった。


どこからか鳴り出した子供の歓声が混じる不協和音のBGMと共に、くいと子が指を上げる。

声はなかった。


一陣の風が吹き抜ける。


次の瞬間。

木の床から、空いた穴の中から、扉の向こうの草原から、無数の腕が飛び出してきた。ぼこり、ぼこり。

不吉な音が辺りに響く。


地面の底から現れたのは、果たして、想像したものであった。


ボロボロに腐って溶けた身体、コンプライアンスに引っかからない程度にしか身に付けていないぼろきれ。「う゛、あ〜」と呻き声をあげる彼らを、形容するならば。


「ゾン、ビ……!?」

「きっもい!!何こいつら!?」

蘇った死体。まさしくそう称するしかない存在は、魔王グリムの笑い声に共鳴するように体を揺らす。ぼとり、ぼとりとその度に身体の一部だったものが落ち、とても不気味だ。


青白い月に照らされた少年が宙で嗤う。


「ぼくらとあそぼう!ね、ね?」

「おねえさん達が遊んだから、今度はワタシたちの番だよ」

「ワタシたちの番だから……どうかずっとあきらめて」


諦める?何をだ?

思考する間にも、少年の綴るような甲高い声が風に乗り、辺りに響く。醜い呻き声をあげながら、女性らにゾンビは迫った。必死に引かれる弓矢や、ナイフは彼らを切っても突き刺しても意味がない。


だってもう死んでいる。

既に死んでいる生き物に、腕や足をもぎ取るような攻撃もせず、彼らを止めることができるだろうか。そもそも、今も大地から新たに生え出してくるスピードは変わらない。どんどんと、視界を埋め尽くすほどにソレは増える。


HPバーは動かない。

苦し紛れに男が少年へ放った矢も、するりと魔王はかわしてしまった。ああ、避けもしなかった蛇と違って、ダメージは多分通るのね。


「やだ、やだ助けてぇっ!!」

自業自得な悲鳴が彼らからあがる。だから俺は助けない。足を引きずり、床を這った。

逃げるためじゃない。俺はきっと逃げきれない。子供と違い減り続けるHPバー。手持ちの回復薬はもうない。


ゾンビにたかられ、PKと名乗った彼らは粒子となり消えてった。ちょっとしたホラーゲームより恐ろしい体験だったろう。自分が選んだ遊び方なんだから、報いも含めて受け止めて欲しい。


ずりずりと身体を這わせる。太腿からズキズキと痛みが襲った。HPバーは二割を切っている。だがそれを無視して、空いた床下へと手を突っ込んだ。蜘蛛の糸のような感触が手に絡む。


ぐるりと、ゾンビどもはこちらへ振り向いた。

そりゃそうだ。なにせ相手は魔王だもの。俺たち冒険者とは敵対する存在なんだし、こちらを見逃す道理はない。

くるっと、少年も合わせて宙を舞う。


「もう終わっちゃったね」

「おわっちゃった!まだまだだったのに。あそびおわちゃったから、次はアナタの番!!」

迫るゾンビの群れ。俺のすぐそばからもボコリと腕が生え、現世へと蘇ってくる。だが俺の手は、目的のものへと触れた。


「貴方の番だね──邪神様の寵児」


ラン、ランランラン、ランラン。奏でられる子供の不協和音のBGMと共に告げられた言の葉。動揺してせっかく捕まえたものを取り落としかけた。

いつの間にか獲得してしまっていた、謎の称号が頭を過ぎる。やっぱ俺って勇者とかじゃなくて、そっち寄りなの……?


ふわりと、いつの間にか目前に迫っていた子供がヴェールの下で笑う。痛々しい火傷の跡が、口角に合わせて歪んだ。

俺の顔に小さな手が添えられる。ヒヤリと、氷のよう。


「あそぼう。かわりばんこだ、」

「──もうしぬから遊べない。だけど、これは返す」

半面が錆びた何かの儀式ナイフ。両の手に握りしめた落とし物を、少年へと差し出し、俺は目を伏せる。


ドクドクと流れ続ける命は捨てた。あの子達の誰かがいるならいざ知らず、この場にいるのは俺だけだ。

ゲームで一切死なないプレイなんて。そんな芸当ができるほどの腕はないから、怖くない。今まで、別ゲームでだって、何度も何度も死んできたもの。

今更だ。


自分が招き入れてしまった魔王に勝てるビジョンは見えない。だって俺はサポーターだ。当初の予定とは裏腹に、ソロをやる気がないスキル構成に今やなってしまっている。


それに、そもそも勝とうという気が起きなかった。何も罪を犯していなかったあの時に、撃ち抜かれ死んでしまった"ただのグリム"を想う。


「──あそばないの?」


頷く。

両頬から氷のような手は離れることなく、だが俺の手の平からナイフの軽い感触は消えた。


「かってにやめちゃうの?」

「ああ……もう動けなくなるからな」


HPバーは一割を切った。これ、どこで復活になるのだろう。アインツの町だったら、少し怠いな。【騎獣】は先ほど覚えたとはいえ、肝心の獣も手元にいない。


「そっか。それなら仕方がないね」

「しかたがないの?そうかな、そうかも!」

一人で納得をしてくれて何より。ここで見逃されても言葉の通り、間もなく動けなくなって死んでしまうのだろうけれども。

だけどその前に、一つだけ聞きたい。瞼を開ける。


「……ところで、邪神の寵児ってどういう」

「なら、うごけるようにしてあげなくちゃっ!!」


言葉を遮るように。開いたばかりの俺の瞳──グラス越しに飛び込んできたのは、グリムの背から生えてきた無数の腕だった。

それらはまるで蝙蝠の翼か何かのように、少年の背後で異形を形作る。小さな子供の手が互いに押し潰し合うかのように、絡み、捩れた。


目を開き茫然と見つめていると、背の上の腕が一本ひょいと飛び出る。まるでしーっと子供に言い聞かせるように、人差し指を立てられた。気が付けば、無数の歪な人間の腕だったニセモノの翼は、ただの翼に変わっている。何事もなかったかのように。


また幻か?ゲームジャンルが違うし、グロ映像を見ないで済むのは助かる。子供はグロとかと並ばず、平和に生きてほしい。

HP無くなりかけの薄れた視界。

最期に映ったのは、宙へと再び羽ばたく真っ白な少年の姿と。


「げんきになったら、またあそぼうね」

「遊ぼうね、それまではずっとさようなら」

「──【血術】」


少年のからからとした笑い声。人間、最後まで残るのは聴覚らしい。消えていく命を抱え、意識は闇へと沈んでいった。










筈だったのだが。

割とすぐに目が覚める。ウィンドウで確認するに、ほんと一分も経っていないと想う。HPバーは真っ赤っかで、残りはミリしか残ってない。


場所は変わらず廃神殿。ボロボロの木の床の上に、俺は一人横たわっていたようだ。見回してもゾンビの姿一つなく、あの子供の姿は勿論ない。不協和音な専用BGMも消え、辺りは風が吹き抜ける音と獣がどこかで唸る音ばかりだ。



―●●クエスト≪魔王からの呼び声≫が開始しました―

―●●クエスト≪魔王からの呼び声≫を特殊クリアしました。

 特殊クリア報酬:5,000M、称号【グリムからの視線】―



たぶん、俺は死んでいない。傷は塞がっていた。太ももには、ベッタリと血がついている。【血術】なんて言っていたし、まさか助けてくれたのか。


【グリムからの視線】は、邪神の興味を引いた者が獲得する称号【邪神の視線】の、グリムバージョンのようなものだった。興味を持たれてるらしい。

ただしステータスへの補正は、プラスマイナスどちらへもなし。今のところは。


あの子はただの普通の子供では、勿論なかったということか。あからさまに怪しい登場をしてたもんな、そりゃそうだ。

だが、それでも子供だ。俺は少なくともそう感じた。だから、きっとこれで良かったのだ。

ほうと、息をつく。


次も同じ選択をするかは分からない。むざむざ殺されるのは怖いし、もしその場にレメ達がいたら、俺はたぶん抵抗する。容易くプレイヤーを殺していた姿は、虫の羽をちぎっていくような、子供の残虐性そのものだったから。


でも今日だけは、俺だけなら。

これでいいやと思えるのだ。ああ、ただ。次回はもう少し話せたらいいな。何も知らずに批判も肯定も、したくはないのだ。


それにしても、少し疲れたな。

大蛇との戦い、畑作り、アーサーに遭遇してしまい、講座を受けたら、お次はグリムとの遭遇だなんて。短時間で詰め込まれるには、内容が濃過ぎた。


少し、休もう。

本当は、しっかり家に戻ってからするべきだったろうが。まぁ横着。俺はこのまま、廃神殿の片隅でログアウトをしていくのだった。






個人ブログ考察ページより抜粋

『【幻式】と【幻術】について』


幻系統を扱うことができるスキルだが、直接的な脅威にはなりづらい。

そんなイメージが先行して、優先的に取得されることが少ないこのスキル群だが、私にはそうは思えない。

まだ【幻法】までは取得できていないが、ここではこのスキルの可能性について語っていきたいとおもう。


幻を発生させるスキル。目眩しや何かには使えるかもしれないが、あくまで補助的にしか使えない。他の方法で倒しに行かなくてはならない。そもそも実践レベルで扱えるようになるまでに、かなりの修練を積む必要がある。

おおよそ、この認識は正しい。【幻式】の話だけをするのならば、だ。


【幻式】と【幻術】。

このスキルの差はより詳細な幻を、長時間見させられるようになること。何より視覚だけでなく、聴覚、嗅覚も騙せるようになることだと、多くの者は考えているだろう。

だが実際は大きく違う。


確かに上記も正しい。だが何よりも大きな違い。

それは【幻式】は術者の考えた幻を押し付けるように展開するものであり、【幻術】は受け手側の認識にも合わせた幻を展開できることにある。


例をあげよう。

幻が見破られる大きな要因は、受け手側が違和感を覚えることにある。突然、道のド真ん中でぴちぴちと跳ねるマグロでも落ちていたら、何かおかしい、引っかかると一般的には注意を引いてしまうだろう。その瞬間、幻は破られると言ってもよい。


だが道のど真ん中に落ちているのが、木の葉だったら。果たしてどれだけの人がそんなものを気にするだろうか。

何も考えず、その上を歩いてくだろう。


つまりはそういうことなのである。そこにあってもおかしくない、こんな現象が起きても不思議じゃない。無意識レベルで知っていた知識にすら干渉して、幻を展開できる。それが【幻術】なのだ。


見破られないというのは、とにかく強い。

メインメンバーこちらで全員登場です

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく読ませていただいてます! 続きが楽しみです♪ 今回のお話を読んでから、某風の谷のレクイエムが頭から離れません…。私だけ!?
メインメンバーが出揃ったのですね! 謎が多いので解き明かされていくのを楽しみにしてます。
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