P計画 序章
パンゲアというものを知っているだろうか。
気の遠くなるような古代、この真っ青な星にあった唯一の超大陸である。その後、地殻変動によっていくつかの大陸に分かれ、最近ではその大陸すらも姿を消した。
百年ほど前、世界中で真っ黒な雨が降り、世界中で人殺しの風が吹いた。
大量殺戮兵器が飛び交う戦乱によって大気は汚染されたことも理由の一つになり、青い星は発熱。気温と共に上昇し続けた海水位によって、ついに人類の生活領域の大半は人工的に建造されたいつ沈むとも知れない幾つかの島に限られた。
限界を迎えた世界で、ある男が言った。
「パンゲアは、人が作ったのではないか」
聴衆はどよめいた。
男は、どよめきなど気にすることなく、熱く呼びかけた。
「もしも、パンゲアが、人が生き残るための方舟だったなら……私たちは、パンゲアを作る義務があるのではないか? だから――パンゲアを、造ろう!」
それはこの星の運命を握る計画のはじまりだった。
計画は、「P計画」と名付けられた。
プロジェクトパンゲア。それは、パンゲアを造る計画。
超能力が当り前のように存在するようになった大洪水時代。
人が生き残るために。
全てはP計画のために。
これは、何十万人もの超能力者の中から選び抜かれた者達の物語。
青い海に浮かぶ小さな島、オレンジの砂の真ん中に「超能力学校」がある。その隔離された学校で育つ、未来のP計画を担う者達の物語である。
――閉ざされたのは、未来への道。拓かなければ、滅ぶだけ。不安を除く、そのために、はじまりの地を、もう一度……。