残念な盗賊
元炎帝?のリュウエンと別れたトーヤとゴーキはセイナを起こして再び歩き始めた。
「元炎帝!?そんな凄い人が来てたんですか!?会いたかったです。どうして起こしてくれなかったんですか?」
「嘘かもしれなかったからだ。まぁ、あの威力の魔法をみる限り本物かもしれん。つーか、なんであの音で目を覚まさない?」
「......どんな人でした?」
「薄汚いジジィ」
「...ゴーキさん、お願いします」
トーヤのひとことにセイナは頭をおさえながら、ゴーキにきいた。
「トーヤの言葉は間違ってないが、説明が足りないな。元炎帝らしいリュウエンというジジィだった。急に空から降ってきたんだが、現炎帝に負けたらしい。そこで吹っ飛ばされたみたいだ」
「ゴーキさん、ありがとうございます。トーヤさんも、もう少しちゃんと説明してくださいよ。ほら、試しにゴーキさんについて説明してください」
「なんだってそんなことをーーー」
「してください」
「へいへい、ゴーキな?そうだな、生命力が高く、しぶとい。そして無駄に早い。だから、壁に向いている。だが、攻撃力が皆無だから戦争向きじゃないな。容姿に関してはーーーノーコメントで」
「できるじゃないですか」
「容姿に関して何か言えや!」
トーヤの説明にセイナは、ウンウンと頷くも、ゴーキは納得していない様子。
「いやー、さ?俺ってつい本音が出るんだよ。だからさ、それで人を傷つけたくないんだよ」
「俺はいままでに口でも手でも傷つけられたんだが」
「それについてもノーコメントで」
「...もういいわ、行こうぜ」
「あぁ」
「今日中に雷帝の山までいけるといいな」
「そうですね、いけるといいですね」
「絶対いけるさ」
「言ったな?」
「言いましたね?」
「え?」
「もし、行けなかったらまた見張りな」
「そうですね」
「ちょっと待て!お前らだって言っただろ!」
二人の言葉にゴーキが異議を唱えた。
「俺は行けたらいいなと、期待を込めて言った」
「私も、期待を込めて言いました。断言はしてません」
「...行ける!行けなかったら見張りでもなんでもしてやるよ!」
ゴーキの言葉に二人は満足して頷いた。
そして、三人は食事をとってから出発した。
十分ほど歩くと、人が倒れているのをみつけた。
見た目からして、十代前半であることがわかる。
「トーヤさん!人がーーー」
「見るな、あれは盗賊の類いだ」
「おいトーヤ、なんでそんなことが言える?」
「あいつをよくみてみろ。倒れているくせに短剣をしっかりと握っているだろ」
「「あっ」」
「後言うならな、あいつ、心配して声をかけてきた奴をすぐに襲えるような態勢をとっている」
「なんか...残念な人ですね」
「盗賊が皆あんな風にわかりやすかったらいいのにな」
そして三人は襲われない距離をとりながら通過した。
そして通過して数秒後、
「なんで声をかけないのだ!」
三人が振り返ると、盗賊らしき少年が立っていた。




