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運に極振りしたら大変なことになりました  作者:
第一章~異世界の日常~
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出会い

 トーヤが振り向くとそこには赤毛の少女が立っていた。

 少女はもじもじとしており、こちらをちらちら見ていた。とてもなにか言いたそうな雰囲気だ。


「え、えっと、私はセイナと言います。こっちに来たばかりでなにもわからなくて...」

「なんだ。そういうことか。なら他を当たれ。俺もこっちに来たばかりなんだ」

「えっ、?そうなんですか?じ、じゃあ街までの道を教えてください」

「お前、俺の話を聞いてなかったのか?来たばかりと言っただろ。道なんぞ知らん。これから適当に歩くつもりだった」

「うぅ、じゃあ一緒についていってもいいですか?」

「構わんが、お前職業なんだ?杖持ってるし魔道師マジシャン か?」

「?魔道師ってなんですか?私は、回復師ヒーラーです」

「ちょっと待て、考えさせろ」

「??」


 トーヤは目をつぶり考えた。


(あのガキの選択肢に回復師なんてなかった。考えられるのは三つ。あいつが意図的に教えなかったか。なれる職業は人によってきまっているのか。そしてもう一つが、狭間の世界は一つではない、か。だな。たしかあのガキの名前はーーー)


「おい」

「は、はい!」


 突然声をかけられびくっ、とするセイナ。


「狭間の世界は通ったよな?」

「は、はい」

「そこにいた奴の名前は覚えてるか?」

「はい。たしかレイナードというご老人でした」

「なるほどね。そういうことか」

「えっと、あの、どういうことです?」

「いや、いい。こっちの話だ」

「そうですか...、あ、あの!」

「ん?なんだ?あー、着いてくるのか?」

「えっと、それもなんですけど、あの、お名前を教えていただけないでしょうか?」

「あぁ。名乗ってなかったな。俺はトーヤだ。で、着いてくるのか?」

「はい!よ、よろしくお願いします!トーヤさん!」

「よろしくな。セイナ」


 二人は軽く握手をし、行く宛もなく、てきとうに歩きはじめた。


「......」

「......」


 特に話すこともなく、ただ、気まずい空気が二人に漂っていた。


「あ、あの、トーヤさん!」

「ど、どうした?」


 最初に沈黙を破ったのはセイナだった。


「えっと、えっと、いい天気ですね!」

「ん?あぁ、そうだな。星がきれいだ。あっちでは星なんてみえなかったもんな」

「そうですよね。やっぱり自然が多いからですかね」

「でもよ、なんかさ......」

「??どうしました?」


 トーヤは空を見上げて、


「なんか違うだろ!」

「ま、まぁ、確かにそうですよね」


 そう、トーヤたちが見たのはだった。


「いやさ!もっとさ、なんてゆうかな。光輝いていてさ、『あれがなにであれがなにで、ほら。あれでなに座なんだよ』とかするだろ!なんで『星』っていう漢字が光輝いて散らばってるんだよ!」


 トーヤが思っていたことをぶちまけた。


「あ、トーヤ!あれってさそり座ですよ!」

「なんでそんなことわかるんだ?」

「えっとですね、目を凝らしたら光の線が浮かびあがってきて、その座の説明もしてくれますよ」

「...つっこまないぞ、俺はつっこまないぞ」


 セイナの言葉にトーヤはふるふると震えながら耐えている。


「あ、すぐとなりにオリオン座がありますよ」

「なんでだよ!」


 トーヤは耐えきれずにつっこんでしまった。


「どうしたんです?」


 星座にあまり詳しくないセイナらキョトンとしている。


「さそり座のとなりにオリオン座があるなんてありえん...、セイナ、因みに説明はなんて書いてある?」


 トーヤは頭に手を当てながらセイナにきいた。


「えっとですね、『オリオンは海の神、ポセイドンの息子。オリオンは、巨人のように背が高く、男子で腕の良い狩人でした。


ーーーーー中略ーーーーー


この手柄で、サソリは星座となり天に上げられました』がさそり座ですね」

「説明なげーよ!つーかガチモンじゃねぇーか!」

「ひ!す、すみません」

「い、いやセイナは悪くねーよ。そんな星座をとなりに置いているこの世界に物言ってるだけだ。で、そのオリオン座の説明は?」

「えっと、『オリオンがサソリに刺されるシーン』以上ですね」

「......もうつっこむだけ無駄だな」


 トーヤは異世界の理不尽につっこまないとこころに固く誓った。


「うぅ、すみません。トーヤさん...、私のせいで...」

「いや、気にするな。こういうのを見ると改めて実感するよな。『俺たちは異世界に来たんだぞ』ってな」


 落ち込むセイナにトーヤは優しく笑いかけた。


「トーヤさん......!!」

「ん?おぉ!セイナ!灯りが見えていたぞ!たぶん、いや十中八九街だ!」


 街が見えたことに興奮するトーヤ。


「あ、本当ですね!やりましたね!」


 セイナも同じくはしゃいだ。


「よーし!もう目と鼻の先だ!行くぞ!」

「はい!」


 二人は意気揚々と街へと歩きはじめた。


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