冒険者 21 カラハンの騎士
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エルフたちとお手々を繋いで、街道の方へ歩き出した。
ヨハン君が先頭、ヨミが後ろ。
森の出口はすぐそこらしいが、とげだらけの藪やら、ねじくれた根っ子やらあって、歩きにくい。
子供たち二人は柔らかい皮の靴なので、ヨミと二人で藪をよけたり、抱きとってもらって根っ子を越えたりしているうちに、ヨミが二人を抱き上げて、さっさと歩きだしてた。
あたりに魔物はいないとマントも言うし、うん、助かった。
しかし、何て絵になるんだろう。
背の高い端正なヨミが、両手に花じゃなくて両手にエルフ。
男の人が怖いわけじゃないのか、と思ったら、子供の一人がヨミにそっと聞いた。
「あなたは、とら?それとも、しし?」
ヨミはちょっと驚いたが、ヨハン君に聞こえないようにそっと言った。
「虎族のヨミだ。森の愛し子たち」
そうか、シェイプシフターなら、怖くないのか。
っていうか、よくわかったね、あなたたち。
しばらくして、振り向いて気が付いたヨハン君は、すごーくうらやましそうな顔をしてヨミを見てた。
森を出てしばらく歩くと、街道に出た。
馬車が二台並んで走れるくらいの、土を固めただけの道。
そこには壊れた馬車と、騎馬の一団。
地面に転がされている人やら、囲まれて騒いでいる人やら、ごった返し。
おお、熊さんがいる。
相変わらず目立つこと。
ヨハン君と私たちに気付くと、馬に合図してこっちにやって来た。
ヨミがエルフっ子たちを降ろすと、二人は私に駆け寄って、ぎゅうとしがみついてくる。
まったく、こんなに怖がらせて、何やってたのよ、あの騎士共は。




