冒険者 19 エルフ
19
つ、ついについにーっ!
エルフーっ!
いや、こうしてみると、あの映画のお兄ちゃんは人間だったってよくわかるわー。
華奢な骨格が、人間とはまるで違うもの。
お兄ちゃんの仲間たちも、ごつかったしねー。
私のごひいきは馬好きのあの方のほうで、惚れ込んでしばらく追っかけを・・・いやいやいや・・・。
ところで。
降りた二人は私の後ろにかたまって、鎧姿のヨハン君を怖そうに見つめているんですけど。
何やったの?ヨハン君。
「さがしてるひと、いない」
「さらわれたおんなのひと、いなかった」
騎士たちの仲間が攫われて、探しているの?
しかも、女性?
そりゃ、心配でたまらないでしょうね。
それで奴隷商人と出会ったのじゃ、手荒く聞き込みでもしたのかもね。
「あなたたちは冒険者と言ったな、二人だけなのか?
ほかにパーティーの仲間は?
か弱い女性を、こんな危険な目にあわせるとは」
あー、『瘴気酔い』してたから弱っちく見られてるよねー。
「だからレベルを上げに来たんです。
これでも冒険者、そんなに弱くありません」
「ああ、失礼した。
では。改めてお願いだ。
街道までご同行願えないだろうか。その子たちが」
と、私の後ろを指さす。
「あなたには、懐いたようだ」
振り向くと、二人のミニエルフがキラキラした眼で私を見返してきた。




