聖女 40 たくらみ その3
40
金髪王子と銀髪眼鏡。
後ろからガダンとアンジェロ。
そしてフードをかぶった魔導師らしき一団。
もお、大仰なことで。
「アンドレアから聞きましたよ、こともなげに『エリア・ヒール』を使われたとか。
さすがは召喚者。素晴らしい能力だ」
「しかし使い魔も使役するし、水系の魔法も使ったというではないか。
まったく、聖女なのか、魔女なのか」
ん?
アンドレア、ヨミの事をシェイプシフターだと報告していないのか。
彼女こそ敵なのか、味方なのか、気になるわね。
「神聖魔法を使えるのです。
見た目を整えれば、十分聖女で通用しますとも」
「ふむ。もっと高貴さと言うか、神聖さが欲しい処だが」
「初々しさのない聖女なんて・・・ぐすっ」
言いたい事いいやがって・・・こいつら・・・。
「さて、動けず意識も朦朧としているこの状態なら、我等の術もかかりやすくなっているはず。
魔力の一番高い私が、『幻惑』いたしましょう。
念のため、補佐の陣を組ませます」
銀縁眼鏡が合図すると、魔導師たちがソファを取り囲んだ。
「私の声が聞こえますか?アルカ様」
私の名、アルカじゃないんだけど。
意識も朦朧どころか、怖いし警戒してるしで、びんびんに冴えわたってますけど。




