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聖女 34 魔力制御
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教会に戻って、私は頭をかかえていた。
「いたいのいたいのとんでけ」は、ただのヒールじゃなかったらしい。
ミルちゃんの火傷だけじゃなく、回りにいた子供たちの、擦りむいた膝のかさぶたから小さな手のあかぎれまで、きれいに治ってたんだ。
「これは広域魔法・・・」
『『エリアヒール』じゃな』
すごく高度の治癒魔法だったって。
私は。生活魔法も、神聖魔法も使えるらしい。
だけど、コントロールできない、
魔法を使わない世界で育った私は、魔力を感じたり、使ったりするための感覚が、ゼロなんだそうな。
なのにたくさんのギフトと巨大な魔力をもらった私は、詠唱もなしにふとしたはずみに魔法を発動させてしまう。
制御できない膨大な魔力。
安全弁のない銃を持った子供。
いや、爆弾抱いた赤ん坊だって。
『なんで自分の中の魔力を感じ取れんのじゃ。不思議じゃのう』
そんな。
頭の上にゲージでも出てるんならともかく、そんなのわかるわけないでしょ。




