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聖女 29 ナンドール南教会 その3
29
しばらくして、扉が開かれ、僧服らしい地味な服に短いベールをかぶった女性が出てきた。
アンドレアを見て両手を拡げ、近づこうとするが、顔を見てその足を止める。
「やっと来てくれたのですね、アンドレア。
ずっと待っていたのですよ」
小柄な女性は六十歳くらいだろうか。
ベールからわずかに覗く髪は白いものが目立つが、その声は若々しい。
小柄で、優しそうな笑いじわが目立つ顔は、中背の子爵の肩のあたりにある。
しかしアンドレアは直立不動を崩さず、固い声で言う。
「この方を、ご紹介しにまいりました。
アルカ様。こちらはナンドール南教会の教母、マデリーン様。
私たち姉妹の名付け親で、姉の先達でいらっしゃいました」
そして、私の事は。
「王宮の客人であらせられます、アルカ様です」
聖女関係のごたごたは、伏せて。
「マデリーンとお呼びください。
この教会と、隣の施療院の責任者をしております」
大口の寄進者とでも思ったのだろうか、頭を下げて、営業スマイルでにっこりと笑いかけた女性は、しかしはっと口を押えた。
「あらっ!あらあらあら」
思わず漏れる、地の声。
えーと・・・。
『ばれたな、こりゃ』
帽子がささやいた。




