聖女 24 ナンドール大聖堂
24
むしろこっちがヨミに謝らなきゃいけない。
成り行きとはいえ、白紙の状態でこの世界に戻してしまった私の責任は、重い。
重い気分のまま目を上げると、広場の向かい側には、白い大きな建物。
高い鐘楼。縦長の窓。
彫刻で飾られた見上げるほど大きな正面の大扉。
市場の喧騒から離れて荘厳に佇む姿は、外国の観光地の大きな教会を思わせる。
「光の女神様を祀る、ドア・ナンドールの大聖堂です」
アンドレアの言葉に、へー、やはり教会かと近づくと、やはり観光地っぽく、土産物を売る屋台とか出てて、お上りさんらしい集団もうろうろしてて。
王宮で会った金ぴか爺さんの、廉価版のような服を着た人々が歩いている。
観光地化した日本のお寺と、ガイドのお坊さんの姿がダブる。
「光の女神っていうのが、あなたたちの神様?」
『世界を統べる六柱の神の一つじゃな』
帽子が補足してくれる。
光と闇、地水火風の六柱の神々。
ルウム大陸の八国と沿岸諸国は、そのいずれかを主神として信仰している。
ここ、ドア・ナンドールの神は神聖魔法の守護者、光の女神。
この大聖堂は国内各地に散らばる光の神殿の総本山だ。
「我等ナンドール聖騎士団の本拠地でもあります」
そして光の女神の現身、聖女の属する所だ、と。
うん、私まだ、聖女宣言したわけじゃないから。
今はただの観光客だよー。と、中を覗きに行こうとすると、アンドレアが私を止めた。
「獣人と奴隷は中に入れません」
なんですとー?




