聖女 21 王都ナンドール その3
21
生まれた時から授かって持っている能力をギフト、後天的に努力して手に入れる能力をスキルと言うらしい。
面白くなって、気持ち悪いのを我慢して、煎じ薬用の昆虫や爬虫類、硫黄や石灰、瑪瑙の粉や琥珀など、薬屋に在るものを片っ端から調べていたら、ピコンピコンと『動物鑑定』『無生物鑑定』が来て、最後にピコンと『鑑定』というスキルに統一されたとお知らせが。
『薬師』と『調合』があるんだから、『鑑定』は絶対必要だよね。
でも『ステータス鑑定』は別物らしいし、触って集中しないと発動しないみたい。
「ねえ子爵、屋台を覗かない?」
と。手を取ると。
『人間族・雌・二十五才』
と、動物としての情報だけが。
わ。年まではわかっちゃうんだ。ごめんなさーい。
私より年下なのね、アンドレア。
屋台は・・・うん。屋台だね。
中華街みたいに上から吊るしてある物を、あんまり見ないようにして、鶏や家鴨や豚の串焼きのお味は・・・。
・・・うーん・・・。
塩気がほとんどないんだよ。
塩は貴重品らしく、もったいぶって上からぱらっと振ってくれるだけ。
香辛料も使ってない肉は、筋張って、固い。
熱いうちは食べられるけど、さめると獣臭さが残る。
「貴族用に良いエサで太らせた家畜ではありませんから」
野生の獣の肉も売られるけれど、質の良いものはほとんど上街の肉屋に流れ、下町には流れてこないという。
人の良さそうなおばちゃんからパイみたいなものも買ってみた。
ラードで練った生地に、玉ねぎと叩いた肉。
うん、これはおいしい。
・・・っ。
粉の精製が下手なのか、皮にもみ殻が混じってる・・・。
現実はゲームの世界みたいにゃいかないか。
と、現代日本の食文化のすごさをつくづく感じながら、ちょっと残念な屋台巡りだった。




