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主人(あるじ)が可愛すぎるので仕方ありません  作者: 桃色みつる


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育てた攻略対象が可愛すぎる11

ご機嫌よう。学園生活もあっという間に1年が経ち、私セルバートは18歳に、ガイ様は15歳になりました。ガイ様は2学年となり後輩達に頼もしい先輩、先輩達には将来有望な後輩と見られ大人気です。ますます大人っぽくなったガイ様ですが、先日私より背が高くなった事が分かった時の嬉しそうなお顔は年相応で胸がほっこり致しました。得意そうにしているその姿が子供っぽく、なんと可愛らしいことでしょう。

と、そんなことより大イベント発生でございます!なんとガイ様がお部屋に初めてお友達を連れてこられるのです。私、ガイ様に仲の良いお友達がいらっしゃるのは遠目には確認しておりました。しかし、私は見守るタイプの教育方針ですので構内では極力ガイ様とも会わない様にしていたのです。クリスチャーノ様はお茶会の件から知見はございます。しかし本日いらっしゃるのはもう1人のご親友の方なのです。

胸を躍らせ待っていますとこんこんとドアを叩かれました。深呼吸を1つして心を落ち着けます。ゆっくりとドアを開け、私はお客様にご挨拶致しました。

「ようこそいらっしゃいませ」

ぱたんとドアが閉められました。

「え。おい、あれ呪いの従者?満面の笑みが逆に怖いんだけど」

ドアの向こうからもそもそと声が聞こえます。頑張って笑顔を作ったのですがやはりわざとらしかったのでしょう。深呼吸を一つ。やはりいつも通りでまいりましょう。

またドアが開かれます。

「いらっしゃいませ」

ドアが閉められました。

「やべ。お前の従者すげぇ胡散臭い笑顔なんだけど。俺呪われたかも」

まったく失礼な方ですね。私はそんな無差別じゃありませんよ。

またドアが開かれました。少し不機嫌なガイ様と彼に首根っこをとられ引きずられる様にお友達が入室されます。ガイ様はわりと気が短いのです。

「お帰りなさいませ、ガイ様」

お二人を窓際のテーブルに先導致します。伯爵家子息の部屋なので寮と言えど格が違います。入ってすぐの部屋はキッチンダイニング。そこから主人の寝室、大きめなユニットバス、使用人の小部屋がございます。

お友達は市井の方でしたか、驚かれた様子で部屋を見回してらっしゃいます。

私はその間にお茶を出し、ガイ様の後ろ定位置に戻ります。

お友達はお茶を飲み、またもや私に視線を向けてこられました。

「ふーん。ガイってすげぇ部屋に住んでたんだな。従者も居るしさ」

「実家のおかげだがな。知ってると思うが従者のセルバートだ。セルバート、こいつはメイス・ラダンだ。あと給仕はいいからお前も座れ」

「はい」

お言葉に甘えて座らせて頂きます。

メイス様は学園入学当初、ガイ様が上級生から守ったという同級生です。赤銅色のざんばら髪に色黒い肌はとても活発そうで、ガイ様程ではありませんが逞しい方です。雰囲気は小さないたずらっ子の様ですが、灰色の瞳はどこか抜け目ない印象を受けます。これは当時先輩に絡まれたというより絡みに行った類ですね。今は楽しそうに私を眺めています。

「初めましてメイス様。セルバート・ケディックと申します」

「よろしくな!実はお貴族様の部屋だし、俺門前払いされるかと思ってたんだわ」

「ガイ様のご友人は大歓迎ですよ」

メイス様のお父様は傭兵ギルドの支部長をされています。そしてご本人はゲームの攻略対象です。つまりは有望株、ガイ様には良いコネクションになりますね。

メイス様は楽しそうに微笑えまれました。

「思ってたよりいい奴だな。・・・良いケツしてるし」

メイス様はガイ様に向けにやりと笑い、親指を立てます。

ガイ様がお茶を吹き出しました。

上流階級では主従で慰める風習があります。また、週末私は諸事情による体調不良で部屋から出ないのは周知の事実だったりします。週末だけで本当に良かった・・・!

「きゃ!ガイくんのえっちーってぃイテテててっ痛えってばっ」

「お前はなんでいつもそう品が無いんだ!」

茶化したメイス様の親指をその手ごとガイ様が握り込んでいました。ガイ様の手には青筋が立っています。あのもみじの様だった可愛いお手がなんて男らしくなったことでしょうか。でもまだそっちの話題はお友達同士でも恥ずかしいんですか。この様子だと普段もいじられてそうですね。仲がよろしいことで何よりです。

お友達同士のスキンシップも終わり、本題です。もうすぐクリスチャーノ様のお誕生日なのですが、お二人は親友として特別なお祝いをする事にされたそうです。お三人とも人気者ですから、周りに横槍を入れられたくなかったのでしょう。完全防音処理されたガイ様の部屋に来たというわけです。

メイス様はお菓子をもりもりと頬張りながら唸っています。

「うーん。あいつん家金持ちだから盛大なパーティーも豪勢なプレゼントももらうよな」

ガイ様もお菓子を齧り、お茶を飲みながら考えています。そして大皿に盛られたお菓子をがっさり掴み、ティーカップが置かれていたソーサーに置きます。メイス様に食べられないよう確保したようです。友人に評判を聞いて買って来てもらったお菓子なのですがお気に召した様で良かったです。今度また買いに行きましょうかね。

さて、お二人がだいぶ煮詰まっている様なので気分転換に私も加わりましょう。

「お二人はどんな事をしたいかイメージはありますか?」

「そうだな、俺達がする初めての誕生祝いだしクリスが絶対喜ぶ事をしたい」

「んでもってさ、なんかこう俺らじゃないと出来ない様な祝い方がしたいんだよな!」

ガイ様に続きメイス様が熱を込めてそう答えます。

クリスチャーノ様が喜ぶ事で、お二人にしか出来ない事ですか。まずはクリスチャーノ様が喜ぶ事。お好きなのはお勉強、お茶、植物・・・。

「そうですね。お三人で森に宝探しに行かれてはどうですか?」

メイス様が訝しむように眉を寄せました。

「はぁ?宝なんざそうそう埋ってねぇぞ」

「・・宝と言っても言葉通りの意味じゃないんだろう」

さすがガイ様、察しが良いですね。

「クリスチャーノ様は植物がお好きと聞きました。森に行って珍しい植物を採取されたら喜ぶんじゃないですか?モンスターが出る森には希少種が沢山有るといいますし。お二人の腕があればある程度まで入れるでしょう」

ファンタジーなこの世界は魔法もあればモンスターも居たりします。私にとってはガイ様が1番素敵なファンタジーなのでどうでも良いと思っています。

ガイ様が渋い顔でこちらを見ています。 別に最近のガイ様に冒険書ブームが来ているからじゃないですから。たまたまですから。

ガイ様がふいと私から目を逸らし、思い出した様にぼそりとこぼしました。

「そう言えば、森の希少種が手に入らないと嘆いていたな。・・それにこの前の授業であった野営というのも面白そうだ」

ね、やっぱり冒険してみたいですよね。行ってみましょう!若い時こそやりたい事はやっておかないと。

メイス様も目を爛々と輝かせています。

「野営とか楽しそうだな!行こうぜ森っ!」

友人と泊まり旅行とは楽しそうですね。お二人ともとても乗り気の様です。何処に行くか計画を立てるお二人もとても楽しそうです。クリスチャーノ様もきっと喜んでくれますよ。

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