大人げない大人たち
雪の多いこのカルン国では、冬になると誰も彼も家に籠るそうだ。
冬越しのため秋は商人が増えるらしいが、今はもう仕事の口が無い。
すると宿の主人、ギィが、宿代を下げるから春までいればいいと言ってくれた。
そんなわけで当分は留まる事にした。
と言ってもじっとしていては暇だ。
何か仕事は無いか、と歩いていたら、三人のガキに雪を投げられた。
「お前があっちこっちで手伝いしたから、オレたちおだちんもらえなかったんだぞ!」
と言いがかりをつけられた。
面倒なので大きな雪玉を作って投げると、負けじと投げ返して来た。
そうして雪の投げ合いが始まった。
投げ合っているうちに、ガキどもは雪で壁を作り始めた。
俺も真似して壁を作ると、騒ぎに気付いた街の人間たちが集まって来た。
これはさすがに苦情を言われると思ったら、一人の男が俺の隣に立った。
ガキどもの方には、女が一人加わった。
そして一人、また一人と、大人たちが加わって来た。
家に籠っていて鬱憤でも溜まっていたらしい。
終いには壁を作る奴と投げる奴に分かれて、街中の大人たちが雪を投げ合っていた。
日が暮れてようやくお開きになり、宿に戻るとギィが迎えてくれた。
「お帰り。今日は何して遊んできたんだい?」
とにこにこしながら、彼は全身にかぶっていた雪を払ってくれた。
まるで親のようなその口ぶりに、俺は恥ずかしいような嬉しいような、妙な気分になった。




