白山熊と魔法灯
北へと向かう荷車は、初めて見る動物に引かれていた。
体じゅうが白い毛に覆われた、鳥のような頭に熊のような太い足をしている生き物だ。
翼はあるがとても小さく、飛べるようには見えない。
北では「白山熊」と呼ばれている生き物だそうだ。
見た目は肉食動物のようだが、白山熊は草や木の実しか食わないという。
ただし気性は荒いので、気に入らない相手が近付くとつつかれるそうだ。
試しに頭を撫でてみろと商人に言われ、やってみることにした。
すると俺は平気だったが、フランは頭突きする勢いでつつかれそうになった。
「そこまで嫌われるのは珍しいな」と商人は大笑いした。
明日には次の国、ハラドに着く予定だ。
だが今夜の宿に旅小屋に入ると、妙な灯りを見つけた。
ぱっと見は普通のランタンだが、火が燃えている様子はなく、光だけが宙に浮いていて、手を近づけても熱くない。
首をかしげていると、フランが「魔法灯だよ」と教えてくれた。
大陸の北東の山にはドワーフ族という、人間の半分くらいの背丈の種族が住んでいるそうだ。
山を掘ってその中に国を作って暮らしていて、最近人間に発見されたという。
彼らは手先がとても器用で、不思議なからくりをたくさん作るらしい。
この魔法灯もその一つで、魔法使いでなくても魔法の灯りをともせる道具だという。
説明しながらも「北には謎が多いんだ」と目を輝かせるフランは、いつになく学者っぽく見えた。




